「観る側の想像力に委ねられる」ブレア・ウィッチ・プロジェクト どすこいたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
観る側の想像力に委ねられる
怖いよ!めちゃくちゃ怖かった!夜寝れなくなっちゃうじゃんすか!いいぃぃぃやあぁぁぁぁ!!!!!
あまりホラー映画に詳しくないので、この映画が後世に与えた影響とかは抜きにして、純粋に作品をレビュー致します。
70年代位までは「今から皆さんが観るお話は実際に起こったことなのです…。イヒヒヒ…。」なんて前説がホラー界で結構あったみたいですが、今作はそれをガチでやろうぜ!というわけであります。求められるリアリティは申し分なし。手ブレピンボケ当たり前。観客が快適に観れるかどうかなんてお構いなしです。
登場人物はほぼメインの3人のみ。この3人が罵り合うシーンが面白いです。観終わった後に「ん?そういえばあれって演技なんだよね?」と思い出して演技力の高さに驚かされます。
この作品に私が入り込めた理由の一つに、山岳部に所属していた(体力無くて1年しかもたなかったw)というのがあるかもしれません。あの人達が背負ってる荷物、何泊かするのを想定しているなら20〜30キロ位はあるはず。そんな重いもの背負いながら、道に迷ったり地図がないとか言い出したりしたら…まあ、ああなりますよね。それに山や森の中で迷うって凄く怖いんですよ、単純に。地図があっても、予定通りに目的地に着かないだけで凄く不安になります。
森の中で謎のアイテムを発見したり、怪異に怯える3人。やり過ぎると嘘っぽくなる、絶妙な塩梅が素晴らしいです。
さて、この「やり過ぎると嘘っぽくなる」というのがこの作品の一番大事なところだと思います。嘘っぽくならないようにした結果、結局何が起きていたのか分からないのです。お化けが出たー!とか、殺人鬼が出たー!とか…そういうわかりやすい答えがないまま終わります。
つまり、怖いかどうかは観る側の想像力に委ねられるのです。怖くなかったという人が想像力が無いとかそういうことではなく、このシチュエーションにどれだけ共感し、感情移入出来るかだと思います。「こいつら何やってんだ?」って思って観てた人はラストシーンでも「?」だったと思います。「共感」は恐怖への入口。そしてその恐怖の中身も人それぞれだったのでは。
全てはラスト5分の為のお膳立て。あのラストでどれだけ怖がらせる事ができるか、つまり、どれだけ観客を没入させる事ができるか。そういう映画だったのではないかと思いました。
残った一人が自分の鼻の穴ドアップで自撮りしながら「オーマイゴッオーマイゴッ」って泣きながらワサワサカメラ振って走って、ついに辿り着いた場所で太ったメンバーが…。
っいう部分だけやたらと頭の中で反復する時があります。
いい怪談知ったときみたいな気持ちになる映画かなと。