バベルのレビュー・感想・評価
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モロッコ中部の山岳地帯でヤギを育てて生活する家族。そこに譲られたラ...
モロッコ中部の山岳地帯でヤギを育てて生活する家族。そこに譲られたライフル銃。扱う少年は遠くのバスにふざけて発砲。
夫婦でモロッコを旅行するアメリカ人。2人が乗る観光客バスに突然弾丸が命中する。
東京では聾の女子高生が情緒不安定で友達と羽目を外して遊んでいる。
聾の娘を残して亡くなった母親の夫は刑事に捜されている。
アメリカではメキシコ出身の家政婦がアメリカ人夫婦の幼い子供2人の子守をしているが、息子の結婚式に行かなければならない。
日本の刑事はある事件の捜索の為に事情聴取したい男を訪問するが会えない。
外国で事件に巻き込まれ足止めを食ったバスのツアー客達はしびれを切らして、、、
メキシコで深夜、車でサンディエゴに戻ろうと国境に差し掛かった男が、飲酒運転をしていた為に停められるが乗っている幼い2人の子供を送り返さないといけない、、、
天にも届くバベルの塔を建設することで「名を上げて散らされるのを免れよう」とした人々の企てに対し、神は人間の傲慢さを罰する事にし、人々の言葉をバラバラに乱し、互いに理解できなくすることで、彼らを打ち砕いた。
バラバラの人間たちはお互いの文化や価値観も理解し合う事が難しく、負傷したアメリカ人女性の救助がスムーズに行かない。
当時この映画を観て驚いたのは「日本の描写がとてもリアルであった事」だった。
「違う国で起こった一件バラバラな出来事が、実は結びついていた事」では無かった。
そして世界が注目したのは菊地凛子だったらしい。
私は凛子が演じる不安定なチエコが相変わらず理解不能だったが衝撃は凄まじかった。全く知らなかった凄い女優が突然に世界の映画界に飛び出した印象だった。
アメリカ人夫婦をブラッド・ピットとケイト・ブランシェット。家政婦をアドリアナ・バラッザ、幼い女の子をエル・ファニング、『アモーレス・ペロス』のガエル・ガルシア・ベルナル達が名演技で観客を引き込む。私は引き込まれっぱなしだった。
何年かに一回見直したくなるイニャリトゥ映画。
撮影監督は有名監督から引っ張りだこのロドリゴ・プリエト。
人類の未来
旧約聖書の「バベルの塔」をモチーフにした物語ですが、想像以上に重苦しい話でした(汗;)。聖書に詳しくないのでざっくりとした理解ですが、天まで届く塔は、言い換えれば、神の領域まで進歩しようとする人類のシンボルで、その行為を快く思わなかった神が人々が結束しないように言葉が通じない世界を創ったという故事がこの作品のベースにあるのでしょう。元々1つだったはずの世界がバラバラにされて、今作ではアメリカ、メキシコ、モロッコ、日本という国々での出来事がバラバラに描かれます。本当にバラバラに描かれるので、「一体、何?」と迷子になるのですが、そこに明確な意図があるので、あとになって納得できます。バラバラに見えていたものが実は繋がっていたということが徐々に判ってくるのですが、そのこと自体はいくらでも作文できるので驚きはありません。見所は、そのことが人類の現在、あるいは未来にもたらす意味にあるように思え、ずっしりと重かったです。バベルの故事に思いを馳せると、神によって分断されているから異国の地で言葉が通じず、諍いが起き、不安や不信感を感じたり、不法入国者として逮捕されたり、言葉が通じる夫婦や親子間であっても心が通じなかったりする、そんなシーンがたくさん描かれます。なぜ、神がそんな風に人間を苦しめるようなことをしたのか、そもそも、なぜ神は人類が結束して進歩するのを快く思わなかったのか、神はいったい何を見通していたのかってことがテーマのように感じられました。しかしながら、久能整くんのように明快な答を言ってくれるわけではないので、スッキリしません。人類はいよいよ生成AIまで作り、言葉の壁を瞬時に乗り越える世界が目前まで来ています。あくまでもバベルの塔を建てようとしているかのような人類の未来はどうなるのか、ということを想起させる作品でした。観ていて全然楽しくなかったのですが、色々考えさせられる作品でした。
これは映画というよりドキュメンタリーとして観ればまだ…
楽しめるというか、観られるか。だがフィクションなのでそれも間違った楽しみ方か…。伝えたいことは分かったが。
運の良し悪しや偶然、運命。一言で片付けてしまうことを膨らませた結果、こんな映画に。つまらなくはないが退屈だ。
あらゆる対比が盛り込まれており、日本(特に当時の日本)を舞台の一つとしたのも分かるは分かるものの、なにかこう必然性というかどうしても掘り下げが深くないためあまり感情が揺さぶられなかった。
公開当時、他の映画を見に行ったらときに本作の予告を見て幼いながら「これは凄そうな映画だ!」と息を呑んだものだが、それから20年弱経過し今観てみると「凄そうだけど、子供の時に観ていた方が良かったかもな」という感想に終始した。
人の優しさを見た
人の手から手へ渡り歩いた銃が、モロッコの山道でいたずらをし、
平凡なアメリカ人の妻が瀕死の重傷を負う・・・
国と国、妻と夫、親と子。
言葉の伝わらないもどかしさはあっても、
すべては一つの糸でつながっている不思議と必然。
アコースティックギターをバックに、
ドキュメンタリータッチのカット展開が人の営みを鮮やかに描き出している。
メキシコの結婚式が人間臭くハチャメチャで面白い。
病院も救急車も無い砂漠の中で、オレの家へ来いと言った一介の男。
ボソッとして愛嬌は無いが、
医者を呼び、手術の介助、通訳、救急車の手はずをするその男。
負傷者に向ける老婆の温かい思いやり。
お茶でもてなす娘の自然さ。
やっと来た救急ヘリでの別れに、
とりあえず差し出した札を受け取らないその男。
この男の一家に、人の良心、躾、の美しさを見て、
豊かな時代しか知らない世代が親になり、
もはや日本から優しさが消えようとしている今、
弱者に対する思いやりを当然のこととして行動できる
モロッコの片田舎の貧しい一家に人の優しさを見てホッとする。
そんな気持ちが伏線となり、
少年の良心がほとばしるラストシーンが涙を誘った。
話題のアカデミー助演賞ノミネートの菊地凛子と、
照明点滅による体調不良については
つとめて知らん振りを決め込んだつもりだったが、
あの『目』の菊地凛子は存在感がありすぎた。
色んな人が地獄みたいな目に合う話
期待してなかったが超オモロカッタ!特に、人生は思い通りにいかないのだ。ツラすぎる。だが、それがいい。例えばメキシコ人の乳母さんや。彼女は息子の結婚式の帰りにエライ目に遭う。マジ災害レベルの迷惑や。各国の人たちもそうだった。日常的なショボい選択をしただけなのに今後の人生がガラリ変わってしまう!彼ら彼女らはコースアウトしそうなマリオカートを真ん中に走らせようとする。逆にドツボにハマる。自分の意図がまったく相手に伝わらない。いや伝わっているのかもしれないけど、相手は応えてくれない。人種の違いや思想の違いというだけじゃない。同じ家族でさえ平気でズレる。人間は他人とズレながら、それでも生きるのだという気持ちをこの映画から感じた。
モロッコ、アメリカ、メキシコ、日本を舞台にそれぞれ別々の物語が進み...
コミュニケーションとは?
天に届くような塔を作ろうとした人間に怒った神様が人間の言葉をバラバラにし、お互いにコミュニケーションが取れないようにした、という聖書のお話「バベルの塔」。
その「バベル」をタイトルにしたこの映画は、多分、国家間、親子間、夫婦間をメインに、人間同士のmiscommunication と communication を描いたのだと思う。
モロッコとアメリカ(メキシコ)と日本がつながり、夫婦や親子や見知らぬ他人がつながる。
場所も時系列もバラバラにされて組みなおされてるけど、案外わかりやすかった。
日本のシーンを本当に日本で、日本人を使って撮ってるから、違和感なく伝わってきたのかも。
「手」で色々なことが表現されてるのも印象的でした。
(手話シーンだけに限らず)
分断
タイトルはバベルの塔を意味するのかな?
元々は同じ発音、言葉を発していた人間が天にも届くようなバベルの塔を建てようとしたが、神の怒りに触れ、言葉をバラバラにされ、意思疎通ができず分断し、建設を中断したという逸話。
今作では、言語だけでなく、障害者と健常者、さらには心の分断をモロッコで起きたある一つの事件を起点に描いている。
まず、日本を舞台にした外国の作品と比べ、ちゃんと日本でロケしてて、片言で変な日本語もなく、ちゃんと日本を描いてくれてたから嬉しい。さらには日本パートで、監督が描きたかった?分断された人々が再び繋がることができるかという重要なテーマを表現していると思ったから尚嬉しい。
個人的にメキシコパートがテーマ的にいるんかなと思った。メキシコ人乳母がかわいそうやなと思った。だけと、メキシコパートないとエキサイトシーンがなくなって更に退屈🥱になるなと感じた。
一つの事件がきっかけで、そこから連鎖的に描かれている作品。物語もバ...
人間達の愚かな行いの負のバタフライエフェクト
あなたも少数派
「バードマン」を観てから、これもイニャリトゥ監督作品だと初めて知り鑑賞。
モロッコの羊飼い一家、アメリカのメキシコ人シッター、日本の聾唖の女子高生とその父親、そこをつなげる、ブラピとケイトブランシェットの夫婦に起こる事故。全ての事象でポイントとなるのは、「偏見にさらされる」「社会的弱者」。
要因としては、言葉が通じない、理解し合えない、だから壁が生じる。
「社会的弱者」というと、どうしても障害者とか、移民とかの少数派になってしまう。でもそれは誰にでも起こりうることだという事例が、夫婦に起こる事故で、全世界の人が括目せねばならない事例だと思う。全ての人がいつでも少数派になりうるという事は、常に少数派の意見は聞かねばならないという警鐘を感じた。
イニャリトゥ深いね。
銃なんてプレゼントするなよ
モロッコ観光でバスに乗っていた夫婦(ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット)は関係修復を図っていたが、妻に流れ弾が当たり、重傷を負う。
サンディエゴに住む不法移民の女性のお手伝いさん(アドリアナ・バラッザ)は息子の結婚式に出るため、育てている子供二人を連れてメキシコに行く。
東京都心に住む父娘(役所広司、菊地凛子)、娘は聾唖でいつも不機嫌、母親がいないことが関係しているらしい。
この三つの物語がつながっていくのだが、見事な構成で観終わった後はとても満足できる。
日本、いる?
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