「余りに出来過ぎのストーリーにしらけました。~そんなのアリ~って?」NEXT ネクスト 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
余りに出来過ぎのストーリーにしらけました。~そんなのアリ~って?
2分先までの未来が正確に予知できる男、クリス・ジョンソンがテロリストによる核爆発阻止に巻き込まれ、嫌々ながらも阻止に動く物語です。
ただ肝心の「2分先までの未来が正確に予知できる」描写に納得いきませんでした。予知できることとそれに身体の能力がついていくことは別問題です。
しかしジョンソンは、カジノで目をつけられて、大勢の警備員の目をかいくぐり、どんな銃撃も、間一髪かわしてしまいます。それだけではありません。目をつけた理想の女性リズは、その日の内に口説き落として、関係を持つことに成功してしまいます。余りにできすぎた話に違和感を感じました。
FBIとテロリストの追跡から逃れるため、クリスは崖からダイブしたシーンなんか、スナイパーの銃弾を避けながら、山の斜面にわざと車を転落させ、岩石や丸太が転がり落ちる合間をくるりくるりとかわしていくのです。それがクリスの能力なんだといわれればそれまでなんですがねぇ。
それに2分先までの未来しかわからないと知りながら、なんでFBIはクリスの身柄確保に躍起となり、テロリスト側もクリスの暗殺ばかりに囚われるのでしょう。
クリスもクリスで、過去の自分の特殊な能力を使ったことで傷ついたトラウマから散々FBIの捜査協力要請から逃げ回ります。しかし、ことは核爆発のテロですよ。協力しないとクリスも愛するリズも生命の危機にさらされることになぜ気付かないのでしょう。脳天気に逃げ回ります。
そして、散々逃げ回ったあげく、クリスは「俺が間違っていた」と叫びます。でも後悔先立たず。核は爆発し、ジエンドとなってしまいました。これでは何のための予知であったのでしょう。え~うそ~っと叫んだとき・・・(この後は劇場でお楽しみ下さい)
そしてまだまだつっこむところはあります。
クリスを追いかけるFBI捜査官は、クリス以上の「予知らしき能力」があり、クリスが立ち回りそうなところに先回りして現れます。その能力はクリス以上ではないかと思うくらい出来過ぎた出現でした。
ラストでテロリストに人質にされたリズは、一瞬の隙を突いて、なぜかFBI包囲網の方へ駆け寄らず、わざわざテロリストが籠もる建物に逃げ込んで、また捕まってしまいます。これなんかホントテロリストvsクリスたちのバトルの為にわざと捕まったような感じがしてその後の銃撃戦シーンもしらけましたね。
そして何よりもヘンなのは、2分間ルールに原作にない例外を作ってしまったことです。クリスはなぜかリズのことになると2分以上の未来も見えてしまうのです。それについての説明はなし。やはりこの場合も2分間という縛りを徹底すべきでしょう。
また、核爆弾のテロというのも「24」を初め、テレビシリーズや同様な作品で使い古されたテーマです。「24」でもテロのバックボーンには、丁寧な複線を貼っています。 ところがこの作品ではテロリストの正体は皆目不明で、全くリアリティを感じされてくれません。
銃撃戦シーンでは、頑張っているものの何かしらけてしまうのは、こうしたリアリティのなさに尽きると思います。
それでも引退をウワサされるニコライ・ケイジだけに、ファンとしては見納めとなりかねない貴重な作品でしょう。
あまり考えず理屈抜きでアクションを楽しめるので、デートムービーには、いいですね。
とにかくラストの大どんでん返しには、試写会場でも観客一同大きなため息が上がりました。どうひっくり返るのかを楽しみに見に行ってくださいね。