劇場公開日 2007年11月10日

「限られた空間と出演者で、ハラハラドキドキさせられるサスペンスを作り上げたところがスゴイです。」ディスタービア 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5限られた空間と出演者で、ハラハラドキドキさせられるサスペンスを作り上げたところがスゴイです。

2008年4月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 舞台は、自宅監禁処分中の主人公。足首には監視システム行動範囲は半径 30m。退屈しのぎに密かにはじめた覗き見ゲームが話の筋だから、覗ける範囲は隣近所限定。従って登場しうる人物も、ライブな芝居並みという三谷幸喜の映画に近い限られた空間と出演者で、ハラハラドキドキさせられるサスペンスを作り上げたところがスゴイです。

 書いて説明するよりも、見てドッキリ驚いていただいた方がいい作品なので、詳しくはカキコしませんが、ここんところ何本もの映画を見まくっている小地蔵が、絶対面白いと太鼓判を押す映画です。さすがに全米でヒットしただけのことはあります。

 あの残り7分の何とやらで、サスペンス映画に幻滅した人でも、きっとお口直しできますよ。

 この作品の巧みなところは、「行動範囲は半径30m」という主人公ケールの制約です。普通は動けない主人公だと場面転換しようがないので、どうしても単調になりがちです。ところがどっこい、この制約が後半になって大変意味を持つようになります。その辺の活かし方のアイディアが気に入りました。
 またケールの覗き見ゲームも単なる覗き魔でなく、そうなるためのいきさつもきちんと描かれます。あとバイオハザードのように何分かに1回はドッキリさせてくれます。それも、観客の想像しているシーンからいきなり別な展開をぶつけることでドッキリさせるのです。描かれていることは何でもないことが多く、凄惨なシーンもほとんどないのですが、表現の綾でドッキリさせてしまうので、見ている方でも否が応でも緊張と集中が高まっていきました。
 犯人役は、この人だろうという存在を序盤から暗示させるのですが、ストーリーではどんどん、この人はシロだという筋を出していって、観客の予想を外していきます。それで真犯人は、意外な人物にどんでん返しするのかどうかは、直接画面で確認ください。

 それでいて、ちゃんと筋道付けてラブストーリーにもなっているから、たいしたもんです。

 ミス・ターナー役デビット・モースは、アンソニー・ホプキンスの似た雰囲気があって、いかにも胡散臭そうながら、善良な面構えでポーカーフェイスを決め込む絶妙な演技をしていました。ケール役のシャイア・ラブーフは、この作品で『トランスフォーマ』に抜擢されただけに、か細そいのに勇敢に真犯人と対峙する時の意志の強さと変化をよくアピールしていると思います、あと、アンシュリー役のサラ・ローマーは抜群にかわいかったです。彼女が隣に越してきたなら、きっと小地蔵でも覗いちゃうでしょう(^^ゞ

 あるようでない覗きに適した、あのケールの家をロケハンで探すのは、大変だったでしょうね。

流山の小地蔵