劇場公開日 2007年11月10日

ディスタービア : 映画評論・批評

2007年11月13日更新

2007年11月10日より有楽町スバル座ほかにてロードショー

「裏窓」の設定を借りてはいるが、新しいアイデアが生きている

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ヒッチコックの名作「裏窓」に設定を借りてはいるが、新しいアイデアが生きて、上出来のサスペンスになった。そのアイデアとは主人公ケールの足首につけられた監視用のセンサー。高校生の彼は教師を殴って3カ月の自宅謹慎を食らい、半径30メートルの外に出ると警察のアラームが鳴ってパトカーが駆けつける仕組みなのだ。血の気の多い高校生を家に閉じこめておくのにこれ以上のアイデアはないし、隣に可愛い娘が引っ越してきてつい覗き見するという流れも自然だ。しかも30メートルの境界線を挟んで、かなりスリルのあるバトルも展開。

後半、絶体絶命のピンチに追いつめられたケールが、パトカーに来てもらいたくて必死にその境界線を越えようとしたり、そんな時に限って、今回は見逃してやろうという警官の温情が仇になったり、なかなかハラハラさせられる。「裏窓」では、カメラがジェームズ・スチュアートの部屋から一歩も外に出ないのだが、ヒッチおじさんの名人技に対抗しようとなんて野心を捨てて、仲良くなった隣家の娘や同級の親友を動かすことで、素直にカメラの行動範囲を広げた演出も感じが良い。そもそもケールが暴力沙汰を起こしたのは父親を交通事故で失ったトラウマからだが、事件を解決して足のセンサーがはずされた時、そのトラウマからも立ち直るという自己再生を織り込んだことで、映画の土台がしっかりした。

森山京子

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