戦場のメリークリスマスのレビュー・感想・評価
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極限の果ての愛
恥ずかしながら大島渚監督の映画は見たことがほぼなく、唯一見ていたのが「御法度」だった。
御法度と戦メリに共通することを探しながら見ていて、これらの映画は同棲愛を描いているのではなく、常に生と死が隣り合わせの極限の状況の中で生まれる愛を描いているのだろうと思った。
愛に戸惑い不器用になってしまいながらも他人に魅せられていく、そんなキャラクターたちを、演技未経験の坂本龍一や北野武が演じているのが、良いのか悪いのか分からない。
棒読みで動きも固い坂本龍一の演技は、その固さが、愛に戸惑うヨノイそのもののようにも見えたし、でもそれは少し酔いすぎた見方かとも思ってしまう。見ている私自身がその佇まいに動揺し、考えざるを得ないのだ。
しかし棒読み演技をそのように捉える事が出来ることこそ、この作品の魅力かもしれない。演出、シナリオ、そして音楽、これらの強度が高いからこそ、役者のあらゆる姿があらゆる角度で見ている者に迫ってくる。それもまた大島渚監督の手腕であるのだと思った。
御法度でも思ったが、どうしようもなくなっていくキャラクターの心情を、丁寧かつ大胆に描いていくのが上手い。
大きなアクションがあるわけではなく(作品の時代背景や舞台として、誰かが死んだり拷問があるというアクションはあるが)、キャラクターたちは流れる時間の中を懸命に過ごしていく。その積み重ねがやがて大きな感情になっていくのを、この映画はしっかり描いている。これは本当に凄いことだと思う。
誰もそれぞれの思いを言葉にしてはっきりと伝えられてはいないが、その言葉にできない思いが画面から溢れて伝わってくる。そして人はそう簡単に思いを吐き出せないのだと、思い出させてくれる。
異質の戦争映画と偉大な音楽
毎年クリスマスの時期には見る映画です。
異質でありながらも、戦争の本質をついた映画だと思います。
戦争映画でありながら、戦闘シーンはなく悲劇的な女性も描かれません。
そう言う意味では、定石を外した戦争映画です。
勝てば官軍と言う通り、連合国が正義で枢軸国が悪となったわけですが、そこにいるのは同じ人間。
双方の視点をうまく駆使して、戦争が如何に空虚なものかを問いかけています。
クリスマスを祝うシーンが2度あり、セリフとしては似ているシーンなのですが、
ハラ(枢軸国)とロレンス(連合国)の立場がこれほどまでに変わるのは、なんとも言えない気持ちになります。
またこの映画を同性愛の映画と言う人がいますが、そんなことはないと思っています。
戦地という極限状態に中でこそ成立し得る、通常では理解し難い形のリスペクトが非常に綺麗に描かれていると感じました。
戦いをより直接的に描いて感動を誘う戦争映画も好きなのですが、違ったアプローチをしている本作は、
それ故に戦争についてより冷静に考える助けをしてくれるように感じます。
映画館で観られる機会は終わりが近いそうで、見納めにまいりました。 ...
映画館で観られる機会は終わりが近いそうで、見納めにまいりました。
作品は1980年代ですが、4K修復版、主要キャストの表情が鮮明で…
公開当時は、ほとんど音楽ばかりに集中していたもの (まだ子供でしたし)
いま見ると、物語の深さが刺さってきます。
たけしさん万歳!
Sowing the seeds of love and peace
個人的にシリーズ化してるDボウイと坂本龍一作品 今度は2人一緒だよ、せっかくの映画館上映これは見ないと...しかしミュージシャンが出演してる映画って駄作が多いような気がして全篇通してまともに見たことがなかった 大島監督敢えてのキャスティングとかなんとか
下手すれば棒なんだろうけど、切腹やら手合わせやら外国人にとっては奇行としか捉えられない、分かり合えない感じがこの起用で出ていたと思う セリアズのリアル種には驚いた とにもかくにもメリークリスマスMrロレンス そして誰が主役なんだろう?
監督が日本人で時々忘れる凄さ
坂本龍一追悼緊急上映とのことで4K版を劇場で。
若い時に見た映画はもう一度は見ないとダメだなと思う作品
坂本龍一追悼ということだがDavid Bowie も、大島渚監督ももう生きてないんだ。タケシは映画監督になり、、、
南の島の緑の下のバラックがゆらゆらの美しい。戦争映画でしか見ない光景なので哀しいがこのゆらゆらとした不安定で不穏な美しさは、地獄の黙示録と同じ気持ちを抱かせる。
音楽が有名になりすぎ、音楽がかなり鳴ってる印象があっだが久々に見てみると、音楽は最低限。双方兵士たちが静かに死んでいく南の島の静寂がある。
捕虜のうち傷病者は衣服を身につけたない人も多くホロコーストを自然と想起する。
食料も乏しいなか風紀を重んじ全く理解できない理由で日本男児として切腹で死んでいく日本兵、朝鮮人軍属、、、
音楽でもセリフでもなく、視線が描く世界、心象、
地球に落ちてきた男の完璧美形であったボウイが砂まみれのこの役を唯一無二に演じている存在感。
タケシと坂本龍一の微熱を帯びたような眼差し、唇や頬や全ての造作が真摯だ。
メリークリスマス!Mr.ローレンス
「メリークリスマス...メリークリスマス!Mr.ローレンス」
"教授"坂本龍一の追悼上映として鑑賞。
道理で世界的にウケるわけだ。
上の感想にはいい意味と悪い意味の両面がある。
本作で描かれている日本軍と、その精神性は、謂わば新渡戸稲造が「武士道」で描き、(読んでいないけど)恐らくベネディクトが「菊と刀」で紹介した、「外国向け」の日本人の精神がベースになっている。
なので日本軍の胸糞描写と同時に外国人からすれば死と隣り合わせの「ジャパニーズ・スピリット」に美を見出したはずだ。
だが同時に、それはサムライの時代が終わってから創り出された幻の精神であり、実際の日本人のそれとは異なる。
だから日本人が本作を観ると良さ以上に違和感が浮き彫りになってくるはずだ。
当然、大島渚監督もそれは承知の上で、葛藤もあっただろうが外国人の原作に従った描写をしたのだろうと思う。
そしてこの「幻のスピリット」がセクシュアリティと結び付くと、いよいよこの差は歴然としてくる。
+に+を掛けるか、-に+を掛けるかでこの乖離はさらに大きなものとなる。
なので僕としては美しさ以上に不気味さや気持ち悪さを覚えた作品だった。
ひとついただけなかったのはキャスティング。もはやこのキャスティング以外考えられないというステータスまで来ているが、ゼロフラットで考えてみると何故ここまでミュージシャンの起用に拘ったのかは疑問が残る。
何故かと言われれば、バラエティ慣れしていないせいか、とにかく日本側の滑舌が悪く日本語なのに聞き取りにくい場面がいくつも見受けられた。滑舌の悪さをモノマネのネタにされている北野武の喋りが一番まともに聞こえたくらいだから相当なものだったと思う。
これを本業の俳優で製作したらどういう作品になったのか、却って興味をそそられた。
天才たちが集った、凄い作品。
なんとなく今まで観ることを避けていたが、坂本龍一への追悼の意味を込め、初めて鑑賞。
予想以上にものすごい作品で、奇才・大島渚の世界観に飲み込まれた。
デビッド・ボウイはもちろん格好いいが、武も坂本龍一も存在感あり、異彩を放っている。
個人的には、セリアズ少佐の弟のエピソードも心に残った。
メッセージ性が強く、数日この映画の事が頭から離れなくなるくらいインパクトがあった。
そして、やはり、音楽がいい。メインテーマがあってこそのこの作品で、完成度を高めている。
個人的には北野武監督の映画が大好きでたくさん観ているが、映画監督としての北野武も、映画音楽作曲家としての坂本龍一も、この映画から始まったと思うととても感慨深く、凄い作品。
究極のカルトムービー
坂本龍一さんが亡くなったので
何十年ぶりで見直してみた。
何が言いたいのか
何を表現したいのか
まったくわからない
なのに引き込まれる何かがある。
大好きなDevid Bowieの若き日の姿を見れたことと
坂本龍一の演技にも心を動かされた。
たけしも個性が強かった。
坂本龍一さんを偲んで
坂本龍一さん
2023年3月28日東京都内の病院で癌のため71歳で他界
世界的な音楽家
バラエティーでたけしやダウンタウンなどと度々絡んだりしたわりとお笑い好きな人
政治的発言も話題になったが自分は原発が安全なら再稼働しても良いし明治神宮外苑の再開発にしても手つかずの森と違い街路樹には街路樹の生き方がありスワローズファンとしては新神宮球場完成が楽しみだから賛成
しっかり最初から最後まで観たのは今回が初めて
日曜洋画劇場だったと思うがラストシーンでたけしが笑顔で言い放つ「ロレンス!」「メリークリスマス!ロレンス!」は何度も観たし1番印象深い
とにかくテーマ曲が素晴らしい
監督と脚本は『飼育』『愛のコリーダ』『御法度』の大島渚
脚本は他に『地球に落ちて来た男』のポール・メイヤーズバーグ
大島渚監督の代表作
傑作の部類と言って間違いない
映画館に行って4Kで観ても損はしないはず
大東亜戦争真っ最中1942年ジャワ島レバクセンバタ俘虜収容所での出来事
外国人俘虜たちと日本兵士たちの文化や考え方の違いによる衝突が面白い
知的なやりとりが醍醐味
原題は『Merry Christmas Mr. Lawrence』だがロレンスはデヴィッド・ボウイの役名ではない
日本のタイトルは戦場とあるが回想シーン以外の舞台は俘虜収容所であり戦場での戦闘シーンはない
ゲイっぽい指摘もあるがその方面のえぐいシーンはない
俳優としてはズブの素人のビートたけしや坂本龍一の芝居は武骨な軍人という役も手伝ってそれほど悪くもなかった
演技指導が厳しいとされる大島監督にしごかれたら辞めようと2人で決めてたそうだがそれを知ってか監督は代わりに助監督を叱ってたらしい
たけしと坂本は存在感で多少の演技力不足なんて吹っ飛ばしてお釣りが来てしまう
あえて苦言を呈するならジャック・セリアズの少年時代のシーンは全てにおいていらなかった
あくまでも自分の好みであり反論はあるだろうがそれで考えを変えるつもりは微塵もない
島でのやり取りには一切女性は登場しないが教会のシーンで数人の女性や女児がカットされずしっかりと出演してる
内藤剛志や三上博史も出ていたんだね
三上はキスシーンに登場している
三上寛は名前が似てるが全くの別人で身内でもなんでもないようだ
間違えてキャスティングされてジャワに来ちゃったからせっかくだから役をつけたのかもしれない
『八紘一宇』という言葉が飛び込んできた
世界は一つという意味のようだ
なぜか東京ディズニーランドを思い出した
『八紘一宇』も『共産主義思想』もそれ自体立派な思想でその言葉そのものに罪は無いんだけどな
ジャック・セリアズ陸軍少佐にデヴィッド・ボウイ
レバクセンバタ俘虜収容所所長ヨノイ大尉に坂本龍一
ハラ・ゲンゴ軍曹にビートたけし
ジョン・ロレンス陸軍中佐にトム・コンティ
ヒックスリー俘虜長にジャック・トンプソン
拘禁所所長に内田裕也
イトウ憲兵中尉に三上寛
朝鮮人軍属カネモトにジョニー大倉
オランダ軍兵士カール・デ・ヨンにアリステア・ブラウニング
ウエキ伍長に飯島大介
ヤジマ一等兵に本間優二
ゴンドウ大尉に室田日出男
軍律会議通訳に戸浦六宏
軍律会議審判長のフジムラ中佐に金田龍之介
軍律会議審判官のイワタ法務中尉に内藤剛志
軍律会議検察官に石倉民雄
俘虜収容所勤務の兵に三上博史
セリアズの弟にジェイムズ・マルコム
異文化交流INジャワ島捕虜収容所
第二次大戦下の大日本帝国ジャワ島捕虜収容所を舞台に、イギリス人捕虜と日本人兵士の交流を通して当時の相容れない両者の思想、価値観の齟齬を如実に表し、やがて互いを理解しあうという物語。たぶん。
当時、出演者であるビートたけし、坂本龍一両氏が自分達で見てもよくわからないと言ったとか。なるほど、よくわからない。
そもそもヨノイを演じた坂本氏がまんまYMOのメイクで登場。この時点ではたして本作を真面目にとらえるべきか悩む。
収容所所長のヨノイは軍事裁判にかけられたジャックに一目惚れ。拷問されたという傷を見せるために肌をさらした姿を見て生唾ごっくんだ。
確かにジャックを演じたデヴィッド・ボウイは美しい。男が見とれるほどの美形だ(それだけに歯並びの悪さが気になったが)。
何としても彼の処刑を免れさせたいヨノイはどのような手段を使ったのか、まんまと自分の収容所に連れてくる。
彼を優遇して何とか捕虜長にしようとするヨノイ。早朝の剣道も彼が嫌がると聞けば素直に控えるというように、まさに初恋の相手に恋い焦がれる乙女のようである。
だが、ヨノイのジャックへの思いがやがて収容所の規律に乱れを生じさせることとなる。ヨノイの従卒が嫉妬のあまりジャックを暗殺しようとしたり、部下のハラは上司を無視して独断的行動を連発する。
規律の乱れを危惧したヨノイは粛清を行うがそれも逆効果。乙女心と所長としての職責のはざまで揺れ動くヨノイ。いつしか彼の捕虜への扱いはジュネーブ条約に反する常軌を逸したものとなってゆく。
それを見かねたジャックは彼の前に立ちはだかり両の頬へキスするのだった。昇天し、その場で腰砕けとなるヨノイ。彼はこの時恍惚とした表情を浮かべていた。
不祥事で解任されたヨノイに代わってやって来た新任の所長により地中に埋められたジャックは息絶える。その彼の髪を後生大事に刈り取るヨノイ。敗戦後、共にジュネーブ協定に違反したヨノイとハラは死刑を待つ身となる。
死刑を待つ身のハラのもとに訪れたローレンス。彼に対して覚えたての英語で話しかけるハラ。
「メリークリスマス、ミスターローレンス」。ハラは皮肉にも死を前にして相手の言語、文化を尊重し学んだのだった。
戦争がなければ、いや、戦争があったからこそ彼らは深く互いを理解し尊重しえたのだろうか。戦争がコミュニケーションの一環とは思いたくないが、しかし、相争う相手同士が深く理解しあえることがあるのも否定はできない。
ちなみに本作では冒頭で、軍属である朝鮮人がオランダ人捕虜に性的虐待をした罪で粛清されるシーンがある。伏線としても見事だが、その当時の日本軍の罪を描いた作品としてはかなり貴重な作品と言えるだろう。
削除されたレビューを復元。
過去に傷を持つ気高い者同士の共感
デビット・ボウイ、坂本龍一、北野武とこれほどの大物を80年代に集結させ、日本人監督でありながらいわゆる日本映画に留まらない作風で描き切った大島渚監督の凄さを改めて認識する。
登場人物それぞれの人間らしさ、運命、想いなどが映像の端々に散りばめられた映画であり、私はそんな万華鏡のような映画が好きだ。
日本と西洋の間にある憧憬や対立は、碧眼のセリアズ少佐と日本軍人ヨノイ士官の面構えだけでも十分に伝わる。私はセリアズ少佐のイングリッシュガーデンの回想シーンが好きだ。日本人には想像しにくい外国の原風景を映像で見せてくれたと思う。私は、二人の関係は性愛的な惹かれ合いというよりは、過去に傷を持つ気高い者同士の共感と解釈したい。
死に急ぐことを否定しない者たちに対してローレンスは生きることを考えているのがもう一つの対比として興味深い。だからこそ彼は実際に生き残ったのだと思う。
40年ぶりに観た戦メリは少しも色褪せず、面白かったですニャ😇
敵軍との大規模な戦闘シーンゼロでも反戦映画が撮れるのを大島渚監督は実証してみせてくれたのだ🫶
ビートたけし、ボウイ、坂本龍一の演技と教授のサウンドトラック、あらためて素晴らしいと思った次第🥹
あまり覚えてないけど、公開当時は日本ではスターに脚光が行っちゃって映画としての正当な評価は得られなかった気がするな(違う?)
デジタルリマスター版が出ている今こそ再評価されるべき作品
ビートたけしと坂本龍一を世界に知らしめた映画
ビートたけしにとっても、坂本龍一にとってもターニングポイントになったし、日本映画界にとってもターニングポイントになった映画でした。
『戦場のメリークリスマス』
1983年。
監督:大島渚。
製作:ジェレミー・トーマス。
原作:ローレンス・ヴァン・デル・ポスト
脚本:ポール・メイヤーズバーグ
(俳優をはじめとして国内及び外国資本、製作・脚本と多国籍で作られた
国際仕様の当時としては巨大なプロジェクトの映画です)
今回、日本映画専門チャンネルの4K修復版(放送は2K)が
放映されて、遂に観ることが出来ました。
(ケーブルテレビの場合、日本語字幕が付くのも利点です)
主演の3人。
デヴィッド・ボウイ(撮影時35歳)
坂本龍一(撮影時30歳)
ビートたけし36歳)
世界的ロックスターのデヴィッド・ボウイ。
伝説のバンドYMOの作曲兼シンセサイザーの教授こと坂本龍一。
売れっ子漫才師のビートたけし。
ボウイと龍一は、その美しさで魅了するし、
坂本龍一は【一度聴いたら脳裏に刻まれるテーマ曲】を作り、
後の「ラストエンペラー」でのアカデミー賞作曲賞に繋がった。
ビートたけしは、この映画出演をキッカケに映画に興味を持ち
その後役者に力を入れて、「その男凶暴につき」で満を辞して
映画監督として華々しくスタートして、
「HANABI」「ソナチネ」などを作品多数。
『戦場のメリークリスマス』で現場を完璧に掌握するカリスマ
大島渚への傾倒があったと語る。
この映画の奇跡のキャスティングが実現した第一の要因は、
世界をアッと言わせた『愛のコリーダ』1976年の成功にあるのでしょう。
デヴィッド・ボウイはこの映画出演のために2年間のスケジュールを
あけて待ったそうです。
さて作品はインドネシアのジャワでの捕虜収容所を舞台に
イギリス人捕虜と日本人軍人の交流を描いている。
日本軍大尉や軍曹の横暴かつ野蛮な行いを、やや俯瞰から見た
客間的に描写した映画です。
収容所長のヨノイ大尉(坂本龍一)
ハラ軍曹(ビートたけし)
一番の主役のセリアズ少佐(デヴィッド・ボウイ)で、
セリアズの心の傷・・・弟への悔いが回想シーンで描かれます。
この映画は世界13ヵ国に配給され、国際的プロジェクトが組まれました。
当然「ハラキリ」を入れなければ外国人は満足しないでしょう。
2度ほど切腹の場面がありますが、描写は非常に穏健。
殆ど血が出ません。
切腹の介錯(かいしゃく)も形だけ。
首が転がることはありません。
(R指定を回避したのかと思われます)
ヨノイ大尉のセリアズ(ボウイ)への同性愛的愛情。
これが秘めた恋のように描かれ、セリアズがヨノイを慰めるかのように、
ヨノイの両方の頬にKissすると、なんとヨノイは失神するのです(?!)
(このシーンって日本男児にとってはプライドを傷つけられた、
恥をかかされたシーンなのだろうか?)
そこは正直なところよく分かりません。
日本軍の蛮行の描写もほどほどです。
(しかし俘虜を殴るシーンはとても多かったですね)
かと言って俘虜と日本国軍人ハラと通訳ロレンス中佐(トム・コンティ)
との友情も描き切れてはいるかと言うと、描き切れていない。
人間ドラマとして今ひとつ盛り上がりません。
タイトルは原題が「メリークリスマスMr.ローレンス」ですし、
邦題の「戦場のメリークリスマス」から、俘虜と日本軍人の
心の交流の生まれるシーン、
「クリスマスパーティ」などをを想像しました。
ところが胸熱のクリスマスシーンなんてどこにもでないのです。
セリアズが南国の花(ハイビスカス🌺の花弁)をむしゃむしゃ食べるのと、
酔っ払ったハラがセリアズとローレンスに、
「釈放だ!!釈放しろ!!」と叫ぶシーンが、ハイライト。
【セリアズの処刑シーン】
一体、デヴィッド・ボウイは何時間、
首だけ出して灼熱のジャワの熱した砂の
洞穴に埋められていたのでしょう?
大変な肉体的苦痛を我慢したのは確かです。
デヴィッド・ボウイはこの映画に命懸けで臨んでいました。
脚本的にポイントが絞れていない、
感動ポイントがない、
反戦を伝えたかったのか?
それも不明です。
龍一とボウイの圧倒的な存在感と美しさ。
意外にも坂本龍一は軍服が似合っています。
そして通訳のトム・コンティの確実な演技力。
そして一番の儲け役はたけし。
威張り散らしていても実は小心で人懐っこく憎めない男ハラ軍曹。
たけしの弾ける笑顔と坂本龍一のテーマ曲が流れるラスト。
このラストシーンこそが映画史に燦然と輝いていています。
ラストで余韻に浸れるのは名画の証拠。
一度は観ておくに相応しい印象的な日本映画でした。
ボウイとリュウイチ
坂本龍一はこの映画から認められるようになったんですね~(役者としてはダメだけど)。とにかく、日本語が聞き取りにくい。全て字幕を入れてもらいたいくらいです。
この映画はゲイと切腹がテーマのようにも思える。この映画を観た外国人は「日本の文化は切腹(harakiri)」と勘違いしているのではないでしょうか。地中から首だけ出したデヴィッド・ボウイと、弟との回想シーンがよかった。弟にはずっとあやまりたかったんでしょうね。でも、兵士だと弟と同じ天国に行けるんでしょうか・・・
お気に入りのギャグを何度も使いたがるオヤジ
戦場と言いながらバトルシーンは無く、裏側の兵士や捕虜のみを描写。男しか出てこない。
たけしのコメディかと思いきや割とまじめな作品のよう。
弾は飛び交わないが、心理描写に重きを置いており、兵士という立場上の価値観、そこに愛や友情が交錯する様を描いている。
立場上の価値観は本来フェイクなもので、矛盾の中に思考を置かなければならない環境下の彼らの心情を鮮烈に描写している作品だと言える。
気軽に観るのも悪くはなさそうだが、面白いかは不明である。
良い点
・古い作品だが価値観は新しい
・犯人であろうがなかろうが、そのレッテルを貼られたものが裁かれればよい事
悪い点
・何と言っているか分からない部分も
・回想が異様に長い
その他
・BL
・ツンデレ
・まさかの作曲者
これは確かに、大島渚監督の代表作品と深く納得させられる一作
『愛のコリーダ』(1976)など、最近デジタル修復された大島渚監督作品を劇場で鑑賞できる機会があって、嬉しい限りなのですが、さすが名作だけになかなか席が確保できず何度かの挑戦でようやく鑑賞できました。
誰もが知る坂本龍一の旋律、戦争という極限状態における、錯綜する男達の関係性という大島監督のテーマ、そして(ビート)たけしをはじめとした俳優達の神がかった演技によって、確かにこの作品は大島渚監督の代表作であるだけでなく、映画史に残る作品であることを、現代の観客の目線でも深く納得させられました。
階級と民族性、管理する側とされる側、といった重層的な関係性が織り込まれているのに、作品の上映時間そのものは現代の大作映画と比較するとコンパクトで、それだけにローレンス(トム・コンティ)だけでなくほとんどの登場人物の背景は大胆に省略されていて(日本側の軍人は名字の漢字すら分からない)、「今ここ」の関係、接触に全てが凝縮されています。
北野武は本作によって映画俳優として注目を集め、その後のキャリアに繋がっていったのですが、ハラ軍曹という、残虐かつ冷淡だが、どこか愛嬌と無邪気さがある、という複雑な人物像を見事に演じていて、彼の映画人としての特性を見出した大島監督の慧眼には改めて驚かされました。
デジタルリマスターによって映像の色彩は極めて鮮やかなんですが、たけしと坂本龍一が早口で喋ったときに何を言っているのか分からないところが、『七人の侍』(1954)の三船敏郎を連想して少し笑ってしまいました。もしかしたら公開当時から聞き取りにくかったとか!?
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