劇場公開日 2024年3月22日

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「組織重視か個人重視の文化の違いを超える物語」戦場のメリークリスマス hiroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5組織重視か個人重視の文化の違いを超える物語

2025年1月2日
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鑑賞方法:VOD

ジャワ島の日本軍が管理する捕虜収容所を舞台に、人間の尊厳や文化の違い、戦争の悲劇を描く映画。

捕虜の中には欧米の幹部もおり、日本兵と彼らの間に深い対立と共感が生まれる。

欧米文化では「個人の想い」が重視される一方、日本軍は「組織のために命を捧げる」価値観を持つ。

欧米兵捕虜にも日本兵にも幹部の中には人間性や深い信念を持つ人物がおり、その姿に感動させられる。

幹部の人間性は異文化を持つ捕虜たちにも理解され、尊敬される場面がある。

しかし、日本兵幹部は組織の意思に逆らえない現実が描かれ、戦争の矛盾が浮き彫りに。

日本兵が崇拝する「組織の神」が、捕虜たちには「悪魔」として映る対比が印象的。

戦況の変化によって捕虜と管理者の立場が逆転し、戦争の無情さが強調される。

過酷な捕虜生活や虐待の中にも、人間としての優しさや尊厳を感じさせる場面がある。

切腹シーンが多く、日本人独特の死生観が鮮明に描かれている。

外国人がこの映画を観ると、日本人に対する「腹切り文化」のイメージが強まると感じる。

戦争の悲惨さと文化の壁を描きながらも、人間の本質に迫る内容で感動を与える映画。

hiro