「過去に傷を持つ気高い者同士の共感」戦場のメリークリスマス Kさんの映画レビュー(感想・評価)
過去に傷を持つ気高い者同士の共感
デビット・ボウイ、坂本龍一、北野武とこれほどの大物を80年代に集結させ、日本人監督でありながらいわゆる日本映画に留まらない作風で描き切った大島渚監督の凄さを改めて認識する。
登場人物それぞれの人間らしさ、運命、想いなどが映像の端々に散りばめられた映画であり、私はそんな万華鏡のような映画が好きだ。
日本と西洋の間にある憧憬や対立は、碧眼のセリアズ少佐と日本軍人ヨノイ士官の面構えだけでも十分に伝わる。私はセリアズ少佐のイングリッシュガーデンの回想シーンが好きだ。日本人には想像しにくい外国の原風景を映像で見せてくれたと思う。私は、二人の関係は性愛的な惹かれ合いというよりは、過去に傷を持つ気高い者同士の共感と解釈したい。
死に急ぐことを否定しない者たちに対してローレンスは生きることを考えているのがもう一つの対比として興味深い。だからこそ彼は実際に生き残ったのだと思う。
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