「善き人であることは抗えない」善き人のためのソナタ redirさんの映画レビュー(感想・評価)
善き人であることは抗えない
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感銘を受けた。ライフタイムベスト映画のひとつになりそうなくらい。思いがけず。ゲルハルトリヒター→ある画家の数奇な運命→善き人のためのソナタ、と同じ監督作品、ドナースマルク監督作品しかもデビュー作?卒業制作?本当かわからないですがそうだとしたら奇跡的なすごい作品でとにかくこの流れで偶然にも見ることができて感謝しかない。
シュタージに支配される重苦しい東ドイツ、おそらく当時の様子がしっかり描写されているのだろう。シュタージのえげつなさ、厳しさと、意外にも無防備なところがある市民。
芸術を愛し人を恋人を仲間を愛し美しいものを愛する人たちを監視するなか、とくにピアノソナタを盗聴器越しに聞いたときの電撃。少しずつ、生きる喜び愛する喜び人間的な感情に触れ震え満たされていくウィスラー大尉。
互いを信じたり疑ったリヒター慰めたりしながら、創作に、変化を起こすことに励むドライマンたち。
保身のため恋人を裏切るクリスタを自らの職業立場を忘れて今のあなたはあなたではないと励ますウィスラー大尉。
最後の本屋のシーンまでじわじわと、誰もが当たり前に持って要るはずの感情を少しずつ動かされて、今は落ちぶれた人生となったウィスラー大尉の、無駄ではなかった彼の人生、組織体制への裏切り人間性つまり芸術への回帰。
全ての人が善き人のためのソナタを聞くことが出会うことができますように。
そしてこのような美しい映画に出会えたことに感謝。
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