「よくぞこのタイトルを付けて下さった」善き人のためのソナタ 猿田猿太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
よくぞこのタイトルを付けて下さった
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これが映画としても文学であっても素晴らしいタイトルです。「この曲を本気で聴いた人は悪人にはなれない」――それほどの音楽を聴いたことがあるだろうか。それほど、音楽を本気で聞いたことがあるだろうか――。最後の本屋の店員さんとの遣り取り、「これは贈り物ですか」「いいえ、私のための本です」――シリアスジョークとして上手すぎます。ズシッと心に刺さりました。
その他、監視社会の問題としても心に重く響きます。たかが、自殺者に関する文書を書いただけで、家宅捜索したり尋問したりする情報統制の下らなさ。こういう下らないシステムはますます力を増して永続するでしょう。今度はネットやスマホを利用して、AIが情報をまとめ上げて報告する。この映画のように、観察者が手心を加えてくれるような、そんな善意は起こりえないと思います。任務を命じられたAI、もとい、任務しか知らないAIは、善意や悪意、人権蹂躙の問題など、理解しようが無いでしょうから。
政治批判などしても仕方が無いですね。これを機に、「1984」を関連作品として読書を挑戦して映画も観てみようと思います。
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