ホワイトアウト(2000) : 映画評論・批評
2000年8月1日更新
2000年8月19日より日劇東宝ほか全国東宝系にてロードショー
日本映画史上空前のアクション大作が誕生!
ベラボーに面白い、ブラボーな映画である。
原作は真保裕一のベストセラー。雪に閉ざされたダムが武装テロリスト集団によって占拠され、ダム運転員が孤軍奮闘する。クリスマスだったらマクレーン刑事が登場しそうな舞台設定の中、織田裕二が大活躍。最初はヒヨヒヨの彼だが、だんだん肝が座っていく。冬山や電気に詳しい主人公・富樫ならではの、あの手この手の闘いぶりで敵を消していく。プロットやギミックが巧妙で、脚本がシンプルで力強い。「ダイ・ハード2」や「クリフハンガー」よりも、はっきりいって真剣だ。
対するテロリスト集団のボスを、佐藤浩市がゲイリー・オールドマンのように優雅に演じ、“見えないヒーロー”をやさしく励ます地元の警察署長を中村嘉葎雄が「ダイ・ハード」の黒人警官のように人間臭く演じている。監督は、ドラマ「振り返れば奴がいる」(織田の親友役で石黒賢が登場)の若松節朗。役者陣の個性を極限まで引き出し、これが映画初監督とは思えない熟練の演出力をみせる。
これは日本映画に久々登場した“熱い”大活劇だ。「オレしかいない」と観念し必死の形相でゼリーをすする織田裕二に「許されざる者」のイーストウッド級の“男” を感じた。
(サトウムツオ)