姑獲鳥の夏のレビュー・感想・評価
全10件を表示
見どころは猫がかわいいところくらい
評判の悪さは聞いていたので一種の怖いもの見たさで見てみましたが、かなりひどいですね。原作の魅力の一割も表現できていないと思います。
まず、キャスティングがおかしい。中善寺は偏屈具合が足りないし、木場刑事はガサツなだけだし、関口は単に無口なだけ、と演者だけの責任でもないのでしょうが、原作のキャラクターの複雑な内面を理解せずに似た部分が一つあるだけの単純なキャラ造形になっています。シリーズのアイドル敦子にしても見た目はいいですが、物言いがきつくて愛嬌がないし魅力をスポイルしてしまってますね。邪推するなら、原作通りではつまらないから少し「外して」みたのかもしれませんが、いらぬ努力です。まあ、単に読み込み不足なだけかも。
映像も変というか、やたらと点滅させたりカメラワークに凝ってみたりと怪しい雰囲気を出そうとしていますが、効果的というよりわかりにくいだけに見えます。あと、めまい坂のセット丸出しのチープ感はもう少し何とかならなかったのか。
演出も丁寧さが足りません。とあるキャラがナイフで人を刺すシーンのあっさり感は唖然としました。それまで積もり積もったものがあるにしろ、過激な行為に至るには感情の高まりがあるはずで、いきなり刺したのでは何が何やらです。
最後の赤ん坊を渡すシーンにしても涼子の心境の変化を表すのに間を持たせず俳優の演技に任せていますが、原田知世さんには少し荷が重たかった気がします。舞台になる病院のスケール感のなさもあって、どうにも安っぽいシーンになっているのがもったいない。
原作はただのミステリーではなくて、キャラクターの内面描写など抒情的な面も魅力なのですが、そういう部分が表現しきれずに趣味の悪い怪奇映画(もどき)にしかなっていません。音や色がない漫画版のほうがはるかに出来がいいので、そちらを読んでもらったほうがいいと原作ファンとしては思います。
オドロオドロしくない…
この映画「オドロオドロしく」ありません。
原作小説が好きで、期待して観に行きましたが、ガッカリです…
ネタバレになるので、あまり書きませんが、原作は最後に
「あるモノが産まれる」のがクライマックスでしたが、映画では
その産まれる場面が、産まれてくる様に見えません。
キャストだけは、やたら豪華です。 顔と名前がよく知られる俳優が多いです。
映画の製作費のうち、俳優へのギャラだけで、かなり持っていかれたのでは
ないでしょうか?…全然その豪華キャストを活かしていません…
「ホラー映画」として、全く怖くありません。
「『ホラー』ではない『怪談』だ」と、主張するのでしょうか?
「怪談映画」としても、全く怖くありません。
冒頭に書いた通り「怪談映画としての『オドロオドロしさ』が全く無い」
のです…
うーん、やっぱり無理。
とても残念。
走らない堤真一には魅力がない!
目まぐるしく回転するカメラとサブリミナル効果のようなフラッシュ映像。そして、なぜか首を傾けたくなる斜めアングル。効果音にはウルトラマンで使われるような懐かしい電子音で脳髄を刺激してくる。昭和20年代の古き町並と室内小道具が目にやさしい反面、カエル顔の連続映像によって目がチカチカしてきました(眠かったせいもある)。京極作品は全く読んだことがないのですが、雰囲気だけはよく伝わりました。
正直言って、ストーリーそのものや20ヶ月妊娠、産院での子の死亡などの謎解きに全く興味が沸かず、妖怪が登場しないことにも愕然となってしまいました。そうです。「世の中には不思議なことなど何もないのだよ、関口君」の言葉どおり、不思議はないということを忘れていたからです。冒頭の京極堂による長台詞の中で、徳川家康と妖怪の信憑性については「今度使わせてもらおう」と思ったほどインパクトがあったのに、人の記憶が見えてしまう榎木津の非科学的要素により理解不能に陥ったのも原因の一つかもしれません。
堤真一は難しい内容の長い台詞をよく覚えたもんだ。田中麗奈もよかったし、原田知世だって『時をかける少女』や『天国にいちばん近い島』からみると格段に上手くなっている(いつの時代だ…)。なんといっても京極夏彦のカメオ出演が不気味でよかったですね。クレジットには水木しげると書いてありました。『妖怪大戦争』の前哨戦といった雰囲気ですよね・・・宮迫も出演するし・・・
ところで、20ヶ月の妊娠ってのはどうなんでしょう?「ブラックジャック」のピノコだって大人になるまでお腹の中にいたんだし、ちょっと物足りないような気がする。変わったところでは、井上ひさし著の短編集「他人の血」の中の一篇「他人の臍」には17年間妊娠している女性が登場する。胎児は子宮の中で大人になり、喋るし、タバコは吸うし、雑誌まで読んでしまうという、とんでもないナンセンス・ブラックなのだが、これが実に面白い。読んだことがある人はいるでしょうか・・・
〈2005年映画館にて〉
なんと言いますか
どこか退屈
全10件を表示




