「感動」トゥモロー・ワールド 明烏さんの映画レビュー(感想・評価)
感動
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子供が産まれなくなって久しい終末の世界。
移民の排除と弾圧、それに反抗するテロ組織とそれらを悪役として利用する政府。
もう、これでもかというくらいのディストピアです。
そんな中、妊娠した黒人女性を国外へ逃がそうとする物語。
まず素晴らしかったのが、命が生まれるという事の尊さと偉大さを荒廃した居住区の中で感動的なまでに描き切ったところだろう。まさかSF作品でこんな感動を味わえるとは思ってもみなかった。
そして、この映画を映画史に名を残す傑作たらしめているであろう「長回し」も素晴らしい。
厳密に言えば「長回しの様に見せた」シーンなのだが、高度なCG技術の多用によりどこが繋ぎ目かなんて全然分かりません。
凄まじい臨場感を演出していた、銃弾が着弾する時の煙やカメラに着いた血糊までCGであり、ビルのシーンも実は1階しかないセットで撮られたものだそうで、、、。
臨場感を演出する為の貪欲なまでの監督の姿勢に頭が下がりますが、今やオスカー請負人とも言われるエマニュエル・ルベツキ撮影監督の功績がここでも大きい様です。
とはいえ、映像だけの映画ではなく登場人物の心理描写や劇中音楽、ストーリーやテーマ性等、様々な観どころがある映画です。名作です。
細かい演出も好きです。脱走するシーンで逃げる前に他の車のキーを抜いておくとか、バッテリーが弱っていて押しがけをしないとダメで、それもなかなかなかからないとか、、、他ではあまり観ない演出で面白かった。「車はマニュアルの方がいざという時助かるな」って事は教訓になった。オートマだったら逃げれてなかったもんね。
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