トゥモロー・ワールドのレビュー・感想・評価
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今改めて見ても度肝を抜かれるSF映画の金字塔
キュアロン監督が2006年に描いた「21年後の未来」。それは『ブレードランナー』の2019年よりずっと後の世界ではあるものの、冒頭、カフェを出た主人公を包み込むのは、現代の延長線上にあるリアルな未来絵図だ。通りにはジェット噴射で空飛ぶ車どころか、二階建てバスと、そしてアジアの片隅を思わせるトゥクトゥクが走り回っている始末。この混沌とした手触りがこそが、作り手たちが周到にシミュレーションした証なのだ。
重ねて炸裂するのが驚異的な”長回し”。実はどこかで切れ目が入っているらしいのだが、要は「長回しかどうか」ではなく、それがどのような効果をもたらすのか、に尽きる。いずれにしてもこの映像がもたらした衝撃性は誰もが認めるところであり、その意味でキュアロンはすべての目論見に勝ったと言えるだろう。
ともあれ、本作に触れると映画の見方が180度変わる。当時のオスカー受賞しなかったのが不思議なくらいだ。
アイデア 倒れ
映画界の偉い人はとても忙しい だから 映画界には ログラインというものが存在する 5行ぐらいで 映画 全体を説明する文章だ 超偉い人たちはそれを読んで 映画化するかどうかを決定してしまうという きっとこの作品もそのようにして映画が決定してしまいアイデア 倒れでうまくいかないことが分かっていても止めることができなかったのであろう
【”ノアの箱舟”ディストピアワールドの中多大なる犠牲を払いながら”人類の子供”はトゥモロー・ワールドに向け出航した。今作は、絶望する人類の中に現れた”微かな希望”を描いた近未来SF映画なのである。】
■人類が繁殖能力を失った西暦2027年。
エネルギー省の官僚・セオ・ファロン(クライヴ・オーウェン)は、元妻のジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる地下組織・FISHに拉致される。
彼らの目的は移民が溢れる中、一人の移民女性を逃がすための、政府の検問を通過できる通行証を手に入れる事であった。
迷いながらも協力を決心したセオは、人類存亡の鍵”キー”をめぐる争いに巻き込まれていく。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・作品設定が在り得るかも知れないという”人類が生殖能力を無くす”と言う所から、荒廃した世界観が延々と映される。
夢も希望もない荒涼とした世界・・。
・だが、ある日”キー”と言う黒人女性が妊娠している事が分かり、地下組織・FISHは、彼女が政府に拘束されないように、ゲリラ戦を今まで以上に行って行く。
・そして、FISHのメンバー達の多大なる犠牲の中、キーは無事に女の子を出産する。
ー このシーンでの、赤子を抱いたキーと彼女に寄り添いながら破壊された建物の階段を下るセオ・ファロンに対し、銃を叶えた政府軍兵士たちが尊いモノを見る様に、銃を下げ道を開けるシーンが印象的である。
そこは、直前まで鳴り響いていた銃声は一切ない、荘厳な世界である。-
<そして、セオ・ファロンと赤子を抱いたキーは小舟に乗り海に漕ぎ出す。セオ・ファロンは腹部を撃たれており、血が船底に流れる中彼は絶命するが、そこに”TOMORROW”と船腹に書かれた巨大な船がゆっくりと近づいて来て、シーンは暗転する。
そして、エンドロール流れる中響く、子供達の笑い声・・。
今作は、絶望する人類の中に現れた”微かな希望”を描いた近未来SF映画なのである。>
アルフォンソ・キュアロン監督作。 絶望的な、崩壊した街の風景がリア...
アルフォンソ・キュアロン監督作。
絶望的な、崩壊した街の風景がリアルに描かれるが、今現実に起きていること。
映画としての中身に乏しく、逃避行のサスペンスも、伏線も、捻りもなく、残念。酷評ごめんなさい。
この話、四年後なんですよ
ヤバイな、でもまだリアルワールドは子供生まれてるから大丈夫ね。
ウィルス?の影響で人類に子供が産まれなくなって18年が経過した世界のお話。
秩序が崩壊しつつある世界の中でも比較的治安が維持できているイギリスに住む主人公のセオは、バツイチで自堕落ライフを満喫しているが、コネだけはちゃんとあって仕事もきちんとある。
国内は治安の維持に必死で、移民を厳しく取り締まっている。
人類の最後の希望と言われていた人類最年少のアルゼンチンの青年が刺殺され、全世界が悲嘆に暮れたその日、彼の元妻ジュリアンが率いる組織の人間に拉致される。彼女は移民政策に異を唱える反乱組織のリーダーで、ある移民のために、国外に脱出するための通行証を都合して欲しいと、コネのあるセオに求める。
なんとか通行証を手に入れたセオだったが、その移民には大きな秘密があった。
舞台設定が大変面白い。先進国各国でどんどん深刻になりつつある少子化問題であったり、またなんとなく仄めかしているウイルスの世界的蔓延、またその生殖機能への影響だったり、近未来の話でありつつも現代で起こっている話がベースと言ってもいい。
最初は及び腰で手伝っていたセオだったが、ジュリアンの死がきっかけで、この大きな秘密を命がけで守ろうとする強い意志を持って行動しているところに共感した。
そりゃそうなるよね、命を懸ける価値がある。
後半の見せ場になる戦闘シーンはほぼ戦争。セオは一般人だからもちろん銃を持ってバンバン殺していくわけではなくひたすら逃げ回るしかできず、それでも命からがら移民を助けて自分も逃げるんだけど、その時周囲もあることに気づき、一斉に戦闘の手が止まる。鳥肌が立った。
エンディングも救いのあるもので、前半のぬるい展開からは予想できないいい映画だったな。
しかし、マイケル・ケイン御大、ここにも出てましたか…。
無慈悲な世界
紛争や戦争(の一場面)を描いた映画は数多存在する。それらの中で本作よりも戦闘描写や戦争の悲惨さが忠実に映されている映画もそれは沢山あるだろう。
だがそれらひっくるめても本作を語る上では外せない、終盤のあるワンカット。それはSF的な"そこに至るまで"のカタルシスによって素晴らしいシーンになっている。
命が軽い、だがそれは大人に限った話で本作で子供の命は何よりも重く尊い。
監督は本作の後『ゼロ・グラビティ』『ROMA』とより知名度を上げていくが、本作の時点でもっと製作費をかけることが出来ていればSFドラマの傑作としてもっともっと評価されていたと思う。
もっと有名であるべき作品。
子供の生まれない世界
地球にとって人間が悪性ウイルスとしたら、災害や病気で根絶できないとなれば、ウイルスが増えない様に対処するなんらかの処置を行うかもしれない。
しかし、産まれた赤子の泣き声を聞くと、本来人間は良性なウイルスと感じる。
何故大人になるにつれ、国や人種や組織等の対立が生まれ悪性ウイルスになっていってしまうのだろう?
そんな感想が浮かんだ映画だった。
TOMORROW
命が生まれ出るシーンが神々しい。
SF的要素が強めの作品かと期待して観始めたが、リアルな殺戮シーンがウクライナ、ガザ地区のドキュメンタリー映像と重なり、観ていて辛くなった。
クローン技術が加速してそう。
BS松竹東急を録画にて鑑賞 (吹替阪)
臨場感がもの凄いディストピア
近未来のイングランドが舞台の作品です。
初っ端のシーンから一気に引き込まれますが、最後まで集中して観ることは出来ませんでした。恐らく暗い世界観が原因かと思います。俳優の皆さんの演技は文句無しで、緊張感が伝染する長いワンカットシーンが随所に散りばめられ、クライマックスでは、さながら『プライベート・ライアン』の再来すら感じてしまいました。
希望の光が微かに見えるラストシーンに少し安堵しますが、彼女たちの行く末を想像し胸が苦しくなりました。
2006年の映画とは思えない古さを感じさせない作品です。お時間のある時にご覧頂ければと思います。
もうすぐ2027年‼️
この作品は21世紀に作られた最高の近未来SF映画の一本‼️急激な出生率の低下の果てに、ついに人類が繁殖能力を完全に喪失した未来‼️どうしたの、男たち⁉️それから18年後の2027年。人類最後の子供を妊娠した女性を、秘密の支援団体に送り届けることになった官僚のセオは、政府軍と反体制勢力との衝突で戦場となった街中を必死でくぐり抜ける・・・‼️2027年は3年後‼️出生率の低下、繰り返されるテロ活動、荒廃した街並みみたいな映画で描かれる "2027年の未来図" が決して空想ではなく、現実的でリアルなものとして描かれていて、チョー震えます‼️公開当時から、ワンショット撮影の迫真性が絶賛されていましたが、冒頭の爆破テロシーン(爆風によろめくクライヴ・オーウェン)‼️乗用車が襲撃されるシーン‼️出産シーン‼️そして10分以上の長回しによるクライマックスの街中を脱出するシーン‼️どのシーンも見事と言うしかないのですが、特にクライマックスのシーンは凄まじい戦闘シーンと、赤ちゃんを見た敵方の兵士たちが一斉に戦闘を止めるシーンに代表される、"希望への祈り" みたいな崇高なシーンが平行して描かれ、新たな命へ差し出す人々の手や視線は、荒んだ人間関係を超越した感動に満ちていて、涙なくしては観れませんでした‼️音楽をキングクリムゾンやローリング・ストーンズ、ピンク・フロイドをはじめとする70年代のロックが使用されており、世紀末というか世界の終末観というのがよく出てると思います‼️そして極めつけはラスト‼️波間に揺れる母と赤ん坊を乗せた小船の前に現れる「トゥモロー号」という船‼️役目を終え息絶えるクライヴ・オーウェンのカッコ良さ‼️赤ん坊の「泣き声」が「笑い声」に変わる最後の瞬間も、いつまでも胸に残るチョー名作‼️素晴らしいです‼️でも2027年はもうすぐですよね‼️
考えるな感じろ!
臨場感を味わう作品
あとは長回しカメラが効果的に使われていますね。
最後に戦闘中の兵士達が赤ちゃんがいるのが分かって一斉に戦闘を辞める場面で自分は謎の感動でめちゃくちゃ涙でました。
なんで自分が泣いているのかを理解出来ないで泣くとか初めての体験かも! 神々し過ぎて感極まったのかな!
原題children of menがどうしてトゥモローワールドに、、、?
SFはフィクションの究極系。
こんなのありえない…と思いながら鑑賞を進めるが
精巧なカメラ回しにまるで世界のニュース映像を観ているかのように錯覚。これほどまでの没入感は稀
2022年(鑑賞年)現在、
ありえないはずの出来事が実際海の向こうで起きていることが信じられない。やはり戦争は許されない。罪のない人間がなぜ政府の犠牲にならなければ行けないのか?一刻も早く平和が訪れますように。胸が張り裂けそうです
人間の欲望というよりは人間の恐怖心によって現代は子供が生まれなくな...
人間の欲望というよりは人間の恐怖心によって現代は子供が生まれなくなっている
この映画には何故、子供が生まれなくなっているのかは物語られていない。
子供が生まれなくなったことで、子供が生まれることに神聖化がもたらされている。
その為に命を賭ける、投げ出す人達。
子供は希望なのだ。
私達の未来なのだ。
その一筋の光は闇の中で輝く星のようなものなのだ。
人間には希望が必要なのだ。
マリア様…誕生
久しぶりに、近未来を舞台とした凄い作品に出合うことができた。
2027年、子供が生まれなくなり、この先に望みもなく、人々は、ただただ年老いていくだけの世界。心も荒み、その中で起こる内乱や戦争、移民問題等、荒廃した世の中を舞台として、重いテーマをずっしりと覆い被せてくる。
不妊となった原因については、遺伝子操作なのか、ウィルスなのかは明確にはしていなかったが、作品の中で、「数年前に世界的に大流行した、インフルエンザ…」というセリフがあり、現在、世界が疲弊している新型コロナの現状を想起させた。
そこに、妊娠した移民の若い女性が現れる。主人公である、イギリス市民のセオが、政府軍、内乱軍の全てを敵に回し、人類にとっての大きな希望となる小さな命とその母を、命がけで守り抜いていくストーリー。
最初は、街も人の心も荒廃したシーンが続き、ホロコーストを彷彿とさせる移民への扱いに、辟易する感覚があった。次第にセオ達も内乱の中に巻き込まれ、後半の街中での銃撃戦は、戦争映画以上にリアルだった。いとも簡単に、無残にも人の命が亡くなっていく様は、テレビ画面で映し出されるアフガニスタンの現状と重なった。自分が戦場にいるかのような、迫力ある映像が、ワンカットで続いた。
そして、ラスト。戦場の中に響く赤ん坊の泣き声によって、銃撃は鎮まり、戦士や移民達が敵味方なく見守るシーンは、何故か、目頭に熱いモノが湧き上がってきた。正に、人類の希望となる、光り輝くマリア様の降臨のようなシーンであった。
本作は2006年作品であり、21年後の近未来を描いているが、2021年の現在にしてみれば、コロナの恐怖やタリバンの復活等、決してSF映画と片づけられる内容ではないような気がしてくる。
生命の希望
人間の子供が産まれて来なくなった世界。人類が絶望した世界。暴力にまみれた世界。それは西暦2027年。
106分間の映画体験だけで、自分の脳内と作品が繋がる。たった106分間で、2027年の世界の全てを理解し納得した自分がいる。やはり生命の唯一の目的は子供なのだ。子供達を育てる為だけに、大人達は存在しているのだ。
人間は見たことのない世界観を理屈だけではイメージできないし、共有もできない。だからSF映画を撮るのは最も難しいと言われる。アルフォンソ・キュアロン監督は106分間という短い時間で、現在進行形の人類と遠くない未来の人類を凡人にも分かる様にイメージさせた。天才としか言いようがない。
傑作
何度も鑑賞した作品だが時折みたくなる。
運命のようなものを感じさせられるような感覚を覚える映画だと思っている。
しょうもない感想かもしれないが、特に出産のシーンで主人公が赤ん坊を取り上げるとき、着ていたコートを下に敷き、ウイスキー(?)のような度数の高い酒で手を消毒するのだが、アル中の主人公がアル中で無ければいけなかった理由がそこに描かれているような気がする。
「起こることには全て理由がある」というのが、映画の中でちょこっと語られている(決してポジティブな意味だけでは無いけど)が、そのコンセプトを大袈裟ではなくサブリミナル的に鑑賞者に伝ようとしている製作者たちの感性が素晴らしいと思う。
私の人生TOP5に入る作品だけど、知り合いに紹介したり、ここのレビューを観てみるとあまり評価が良くなかったりする。
不思議だけどそれが映画や表現された作品の面白い所なんだろうね。
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