スリーパーズのレビュー・感想・評価
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心の傷
ヘルズキッチンと呼ばれるマフィア、殺人が日常茶飯である都市で、<かっこいい>とマフィアに憧れる4人の少年。
ちょっとしたいたずらのつもりでやったことが人を傷つけてしまい、少年院へ収監される。
そこで待っていたのは、看守による暴行、レイプの地獄の日々だった。
身体の傷は、いつか癒されても、心の傷は決して癒えない。
ある日、2人が偶然、最も酷く彼らを痛めつけた看守ノートンを発見し、射殺してしまう。
4人の中でもずば抜けて優秀なマイケル(ブラッドピット)は検事になり、法廷に立つ。マイケルは殺人罪で起訴された2人を無実にするべく、綿密な計画を立てていた。
はたして、マイケルはレインメーカーになれるのか。レインメーカー=干魃時に雨乞いをして、雨を降らせる奇跡を起こすこと。
無実にする鍵を握るのは、彼らの少年時代から見守ってきた神父。この神父がデニーロ。最高の適役、最高の演技。
『聖書に右手を乗せ、真実のみを語ると誓ったあとで、嘘をつけというのか』という神父に、少年院でのすべてを語るシェイクス。あまりの酷さに呆然とする神父。はたして彼は証人として法廷に現れるのか?はたしてマイケルはレインメーカーになれるのか?
予定調和で、結果は予想できる。が、決してハッピーエンドではない。すべてが終わったあと、検事を辞したマイケルは田舎暮らしを選び、結婚もせず、孤独に生きる。それほどに心の傷は深いのだ。法廷で被告側証人になった神父が、これもマイケルの意図なのだが、『どうして、チケットの半券を大事に持っていたのですか?』と尋ね、神父の答えが秀逸。
『念のために。何事にも初めてがありますからね』
【”極悪なる少年院看守に天誅を、そして少年たちを見守って来た神父による赦し。”今作は、罪を犯した少年達を矯正すべき施設で行われた事を映画化した実話ベースの重い人間ドラマである。】
■ホットドック屋でただ食いをしようとした”ヘルズ・キッチン”の悪童4人組マイケル(長じてからはブラッド・ピット)、シェイクス(長じてからはジェイソン・パトリック)、ジョン(長じてからはロン・エルダード)、トミー(長じてからはビリー・クラダップ)は、悪戯でホットドック屋の屋台を地下鉄の階段に落としてしまい通行人に大怪我をさせ、ウイルキンソン少年院に送られる。
 彼らを待ち受けていたのは、ノークス(ケヴィン・ベーコン)ら看守たちの理不尽な性的虐待を含めた虐待の数々だった。
 十数年後、ギャングになったジョンとトミーは、街の食堂で偶然見つけたノークスを衝動的に射殺してしまうのである。
 そこで、検事になっていたマイケルは、彼らを助けようとわざと酒浸りだったダニー・スナイダー(ダスティン・ホフマン)を弁護士として密かに立てて、裁判に臨むのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・”ヘルズ・キッチン”が少年院に入れられてからの、ノークスたち看守の所業は観ていてもキツイ。
 少年院の中で、管理が徹底されておらず、看守が良いように少年たちを嬲っていた事が描かれる。
・だが、その報いは十数年後に来るのである。但し、ジョンとトミーはギャングになってしまっているのである。
■今作の見所は、ロバート・デ・ニーロが演じる”ヘルズ・キッチン”の4人を小さな時から親の様に面倒を見て来たボビー神父が、裁判で証言をするシーンであろう。
 マイケルから、ジョンとトミーを助ける証言をしてくれと頼まれ、彼は暫く姿を消すが、裁判でジョンとトミーのアリバイを証明する証言をするのである。
 そして、陪審員達から無罪を宣告されるジョンとトミー。
 ”ヘルズ・キッチン”の悪童4人組と彼らといつも一緒に居たキャロル(ミニー・ドライヴァー)はかつての様に肩を汲み喜びを分かち合うのである。
<だが、この映画のラストは苦い。悪戯を言い出したマイケルは責任を取るかの様に、検事を辞め田舎に引っ越し結婚もせずに隠遁生活に入り、ジョンとトミーは何者かに殺害されるのである。
 そして、エンドロールで流れるテロップ”今作で描かれるような行いは少年院では行われていないと、関係部門はコメントしています。”
 ”嘘つけ!”と怒りと共に思うのである。
 今作は、罪を犯した少年達を矯正すべき施設で行われた事を映画化した実話ベースの重い人間ドラマなのである。>
清算
いい話ではない
だいぶ昔の作品ですが、当初衝撃を受けたのを覚えてます。 再見しまし...
スマートな復讐劇
デニーロ、ダスティンホフマン、ケビンベーコン、ブラピと豪華なキャスト。少年院での悲惨な体験で負った心の傷をかかえて大人になったかつての少年たち。親友だった彼らはそれぞれ別の道を歩んでいくが、少年時代のまぶしい思い出と心の闇を共有していた。看守への復讐は、表面だけ見れば「犯罪」であるが、その犯行に至った動機を深く掘り下げてみれば、正義であったということもできるであろう。
安定のデニーロ、鈍くさい感じがよかったホフマン、悪になりきったベーコン、やっぱりいいとこもっていくブラピ。総じてよかった。
犯罪を悪としてみる前に、犯人の動機を深く考察してみると、社会にはびこっている問題が少しは見えてくるのかもしれない。
もっともっと仕返しを!
殆ど「スタンドバイミー」
1996年。監督:バリー・レヴィルソン。
ニューヨークのベルズキッチンで育った4人組の少年、シェイクス、マイケル、トミー、ジョン。
あるいたずらが原因で過失傷害の罪を犯す。
その結果、悪名高いウイルソン少年院に送られる。
そのいたずらが酷い。
ホットドッグの屋台のおじさんから、1人が食い逃げして走る。
残る3人が屋台を地下鉄入り口に移動させて、車輪を半分乗つけて逃げる。
地下鉄階段を転げ落ちた屋台が通行人に激突。
見知らぬ人が大怪我を負う。
少年院、そこは地獄。
看守による暴力と性的な虐待の巣窟だった。
悲惨な話しです。
シェイクスのナレーターで過去を振り返る形式は、スティーヴン・キング原作の「スタンドバイミー」を思わせます。
懐かしい少年時代の親友たち。
遊んだ思い出。
そして過酷なその後。
少年4人が、少年院を出た後。
看守のノークス(ケヴィン・ベーコン)を、ジョンとトーマスが射殺したことから、後半は
法廷劇の映画になります。
シェイクス(ジェイソン・パトリック)は駆け出しの新聞記者。
マイケル(ブラッド・ピット)は、検事になっているのです。
その裁判が見ものです。
ちょっと疑問も多々感じます。
幾ら、看守の違法行為を糾弾・摘発する目的でも、黒を白にする。
証人をでっち上げる・・・そんなことが許されるでしょうか?
地獄の少年院・・・まったく同じ経験をしても、2人は更生し、
2人は悪の道に舞い戻る。
シェイクスのナレーターで語られるジョンとトーマスの4年後。
その前が、喜びに溢れていただけに、悲しみも倍増でした。
復讐を遂げたら幸せになれる訳ではない世の無情を描き切れぬレヴィンソン監督の演出
ロレンツォ・カルカテラのベストセラーを「レインマン」のバリー・レヴィンソンが演出。今年の豪華キャストの話題作。主演がジェースン・パトリック(「ハスラー」の名脇役ジャッキー・グリースンの孫と知って驚く)、共演がロバート・デ・ニーロ、ブラッド・ピット、ケビン・ベーコン、そしてダスティン・ホフマン、子役ではジョセフ・ペリノー、ブラッド・レンフローと揃っている。少年院で看守たちから受けた虐待と性的暴行の復讐を、殺害・摘発・マフィアの罠などによって、しかも殺人罪では神父の偽証で無罪を勝ち取る形の離れ業を貫徹する。ラストのクレジットでは、このような事実は認められないとの司法側の発言に対して、原作者カルテラの反論をわざわざ付け加えるところを視ると、レヴィンソン監督の信念強い制作意図は明確である。しかし、本編の子ども時代の4人の少年と神父の触れ合いを美しく描いてはいるが、ワンカットの思い入れが薄いシーンの連続で人物の表情が描き切れていない。故にラストの法廷のクライマックスが余韻に乏しい終わり方になってしまった。主人公のモノローグも全編に入れるのではなく、最初とラストのみで良かったのではないか。その方がドラマティックな物語の展開に引き込まれるし、最後に残る復讐を遂げた人間が幸せになれないこの世の真実、人生の無情観を見詰めることが出来るのではないだろうか。演出力の点では、この作品のレヴィンソン監督に評価は与えられない。演技ではデ・ニーロが最も優れて、パトリックは少年の繊細さを見せたペリノーに及ばず個性的魅力が足りない。ピットは役柄に合っているが、ホフマンはその巧さを見せつけるシーンも台詞も与えられず、全く生かされていない。駄目弁護士の法廷での哀れで可笑しい姿を描けたなら、少しは厚みが出たであろう。もっといい映画になるべき題材である。
原作既読。劇場公開時鑑賞。
時間の残酷さを感じる映画です。
スラムで育った幼馴染4人組。悪ふざけの窃盗が大事になり少年院に送られるが、そこで看守に虐待を受ける。大人になった彼等は偶然看守を見かけ・・・と言うストーリー。
実力派が揃い、各々の魅力がしっかりと伝わる秀作です。ベストセラーの映画化ということもあり、設定もストーリーもしっかりとしていました。
過去と現代を無駄に行き来させることなく、過去にはモノローグを付けて差別化してくれているので、物語に自然に没頭することができました。
無邪気な少年時代、暗黒の少年院時代、そして進む道を大きく違えた現代。ラスト円卓を囲んだシーンで、時間の残酷さと寂しさが伝わってきます。
看守4名への復讐が達成したことのカタルシスもあり、十分に満足出来た作品でした。
この作品の原作は、フィクションなのかノンフィクションなのかで議論されていたようです。正直、少し残念に思える話ですが、フィクションと割り切って鑑賞すれば素直に楽しめる作品だと思います。
グリーンマイルかと思ったら、スポットライトでした。
看守と少年との話。
印象的だったのは、事件の内容と四人の絆。
そしてフォーシーズンズの「WALK LIKE A MAN」
あれがラストに響く響く…。
事件のフィクション性に関して。
原作が実話ではないのではという疑惑があるらしいですが、そんなの正直どっちでもいいところだと思うんですよね。とくにとの話。
印象的だったのは、事件の内容と四人の絆。
そしてフォーシーズンズの「WALK LIKE A MAN」
あれがラストに響く響く…。
事件のフィクション性に関して。
原作が実話ではないのではという疑惑があるらしいですが、そんなの正直どっちでもいいところだと思うんですよね。とくに映画では。
少年院でああいったことが行われている可能性は確実にゼロではないし。その可能性がある以上は、疑ってかからなきゃいけないと思うんですよね。看守側もある程度は疑われる責任をもってやらねばならないというかね。
我々が映画を観て変わるのって感覚とか見方とかであって、例えばこの映画から変わるのは人に優しく接して生きたいっていう単純なことだったけど、それに対して、これがフィクションであるとかないとかっていうことはどうでもいいんですよね。当人たちにとってはもちろん大事なことではあると思うけど、大勢に人間に影響を与える映画という媒体においては、それは必要ないと思う。
あと、どんな過酷な環境であっても四人の絆だけは途切れなかった。これも素晴らしいことで、絆って本当に希望だなあ、と友達信者の私は心から思えたわけですね。
辛い復讐劇
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