イカとクジラのレビュー・感想・評価
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様々な思いが交差する家族模様
「マリッジ・ストーリー」がとても良かったので、同ノア・バームバック監督作品をさかのぼって鑑賞。
おぉっ、ファッションやカルチャー、そして映像までも徹底的に80年代を再現している感じがビンビン伝わってくる。このキュンキュンくる懐かしい雰囲気が、観ているだけでもタイムトリップさせてくれる。
そして、ストーリー的にも家庭のゴタゴタを思春期の少年目線から描いているため、さらにノスタルジックな気分に。気が付けば自分はお父さんではなく長男に共感しており、ずいぶん若返ったものだと思わずひとり苦笑い。
本作は、誰が良くて誰が悪くてとかはあまり考えずに、自分の若かった頃と照らし合わせながら観るのもいいのかも知れない。
ところで、博物館の展示物から引用したこのタイトルの本意はいかに。
真水みたような映画
よくわからない…でも、一つ教訓を得た。
アメリカあるある?
何が言いたいんだろうと思ってレビューに来てみたが、何もわからないですね。ただ普通の映画じゃなくて音楽の入り方、カメラの切り替え方など、良い意味で不安定で良かった。煮え切らない映画だなと思いますが、謎に見てしまった。
私は母子家庭で、小さい頃に実際に母とニューヨークの博物館でイカとクジラの模型を見たのですが、主人公と同じようにドキドキしていた記憶があります。なので自分と重寝て楽しめましたし、アメリカの子どもからしたら親とのあるあるのエピソードだったりするのかなって感じました。(共感性が高いから流行ってるのかなみたいな)
加えて、他の人も書いてましたが、弟の奇行の時のBGMが個人的にはゾクゾクして好きでした。
アイゼンバーグがまだ小さくて美少年で、見れて嬉しかったです。
イカって…
離婚の哀しみとおかしみ
ウィル・ウィートンの再来
【”ちょっとイタイ”両親を持つ兄弟の姿を”悲喜劇”要素をブレンドさせてノア・バーム・バック監督が描く。両親の離婚は、子供には何の罪もないのに大きな影響を与えるというメッセージを発信する作品でもある。】
”イタイ人々の関係性”を描かせたら、この人 ”ノア・バーム・バック監督” 初監督作品。
(彼の最高傑作は(4作品しか監督していないが・・)2019年、ネットフリックス公開の”マリッジ・ストーリー”と言い切る私である・・。)
しかも、制作は愛するウェス・アンダーソンである。(但し、シンメトリックに拘る映像的なウェス・アンダーソンワールドは今作にはない・・。)
■主な登場人物
・バーナード(父)
・ジョーン(母)
・ウォルト(長男)(若き、ジェシー・アイゼンバーグ。嬉しい・・。)
・フランク(次男)
両親とも、文筆業だが、父を追い越し、今は母のほうが売れっ子になっている。面白くない父バーナードだが、大学の講師として、他の作家には一過言持っている。
ーファーストシークエンスの”ママ組(ジョーン&フランク)とパパ組(バーナード&ウォルト)のダブルスシーンから家族の雲行きは怪しい。-
そして、家族会議で両親から告げられる言葉。泣き出すフランク。
が、徐々にフランクの素行に問題が出始める。(未だ小さいのに、昼間からビールを飲んだり、学校で自慰行為をして、ロッカーなどに塗り付けたり・・)
それを知らずに、バーナードとジョーンはお互い、新しい恋人を作りながら、”共同監護”で揉めたりしている・・。
ウォルトも同級生のソフィー(雀斑のある、可愛い女の子)と恋に落ちるが・・。
-バーナードとウォルトは気性が似ているなあ・・パパ組だね。-
ウォルトも発表会で歌った歌で賞を貰うが、ピンクフロイドの歌詞の盗作だったり、(そりゃ、賞貰うよね・・)レポートも盗作であることが判明し・・。
我慢に我慢をしてきたウォルトもついに泣き出す。そして、幼い頃、母ジョーンから語られた”イカとクジラ”の話が怖かったと話す・・・。
ラスト、博物館でその話のモデルとなった”巨大なイカとクジラが揉み合っているような”像をジョーンは無言で見つめる・・。
<イカとクジラの像はウォルト達の両親の”象徴”であり、且つては怖かったが、今では”愚かしきモノ”になり下がった、と見えてしまった作品。
それにしても、両親の離婚は(母ジョーンは”私たちの問題よ!”と劇中言い切ったが・・。)、子供には何の罪もないのに大きな影響を与えてしまうという事をノア・バーム・バック監督は言いたかったのだろう、と思った作品でもある。>
ー今作が、”マリッジ・ストーリー”の下地になっているのは、間違いない。-
「マリッジストーリー」からの鑑賞
ノアバームバックの作品は、浮気が原因で別れるパターンが基本なんだろうか。
そう思うほど、マリッジストーリーと似たような別れ方をする。
しかも、突然に。
しかも別れる直前から見せられても、こちらとしては勝手にしてくれって感じにしかならんと思うのよね。
結局、誰も成長している気がしないし、全員がその時の感覚とか直観で生きている感じが否めない。あんなにインテリ風に語る父親とかも結局周り見えていない、過去にすがっている男だし。すべてがうまくいっていないのに、淡々と描かれるから余計に怖い。
ジェシーアイゼンバーグ、今作が史上最強にハンサムでした。
ファッションがちょうどいい加減のだらしなさで好きだった~。
ああいう役が似合い過ぎてるよね。あの自分が悪いことしてる自覚のない素で嫌な奴を演じるのが本当にうまい…。フェイスブックもそりゃ出来ちゃうよね…。あの変に愛想笑いとかしない感じがまた人に嫌われるんだろうな~…。でもモテるんだろうね…。てか彼自身がそういう奴に見えるくらい似合う役ですね。
タイトルからしてイカ臭かったのに、内容もイカ臭かった
両親が共に作家である一家。突然夫婦が離婚することを宣言して、二人の息子は両親の家を行ったり来たりの生活をすることになった。16歳の兄ウォルト(ジェシー・アイゼンバーグ)は父親(ジェフ・ダニエルズ)が好きで、父の小説論の受け売りで読んでもいない小説の評論までしてしまう。この性格はやがてピンク・フロイドの曲をオリジナル曲として発表してしまう小さな事件にまで発展するのですが、アイデンティティの欠落と自然史博物館でのトラウマを克服が映画の重要なテーマとなっていました。
離婚の原因は母親(ローラ・リニー)の浮気と彼女が夫よりも作家としての仕事が増えたことが大きかった。弟フランク(オーウェン・クライン)はそんな母親の素行をものともせず、ナッツを鼻に入れる癖を叱られてもしっかりと彼女になついている。彼の問題は思春期特有の自慰行為であったけど、公共物にソレをにじりつけたりすることだった。
妻の浮気癖と夫の不甲斐なさ。そしてウォルトのガールフレンドや二股をかけようとしていた相手が父親と関係を持つという男女の関係。家族の崩壊を食い止めようとするアットホームな温かさよりも、ぎくしゃくとした中での子供たちの苦悩のほうがよりクローズアップされていました。そんななか、現代的な家族の姿をリアルに描き、映画や小説のネタをふりまいて楽しませてくれました。
タイトルなし
潔い位に冷たい
余計なものを削ぎ落とした作品
なかなか難しい問題というか、個々の抱える問題と なかなか向き合えずに、自己主張ばかりですれ違いの夫婦と、子供達。
上の息子は父親似で、自己主張が強く余り思い遣りのない頭の硬いタイプ。
下の息子は母親に似て柔軟で奔放そうなタイプ。
でも、本人の気付かないところで それぞれに深刻な悩みを抱えているのが良く解る。
最後、元旦那はやり直しても良いと思っていると伝えるけれど、それを聞いた元妻は、元旦那は何も理解していないとばかりに笑いが止まらない。
なんとなく解るw
このタイトルにもなっている「イカとクジラ」って、人には解らない 心の奥深くで、みんな何かしらと戦ってる…それを、深海で行われている マッコウクジラとダイオウイカの死闘に置き換えてるのかなーって、思った。
素晴らしい家族ドラマ
久々に最初から最後まで食い入るように見た映画でした。
どこかの家族の様子をのぞき見ているような。けれどちゃんと映画らしい脚色もあって退屈しない。すばらしいと思います。
どうしようもない父。いい年して愚痴やひがみばかり口にし、自分よりも作家として売れている母のことを受け入れられない様子。
そんな父に疲れた母は、母ではなく女として近頃は生きている。
長男は父親側で母を軽蔑し、二男はその逆。
大人になった今だからこそですが、どの人物の気持ちもわかるんですよね。子供にはわからないこと、男にはわからないこと、女にはわからないこと・・・。もつれにもつれていく家族。そのことが影響して各々の生活もなんだかこんがらがっていく。
これだけ胸にくる描写が続くと、しんどくなりそうな気もしますが、まったくそんなこともなく。作品の長さが80分というのはちょうどいいと思いますし、BGMやテンポのよさが、見やすくしてくれていた気がします。
一番最後のシーン、様々な味方ができるのではないかと思います。
長男のまなざしが「強い意志」にも見えるし、昔とは印象が違っていたという「あっけにとられた」ようにも見える。
いずれにしても、もう一度見たことで彼や次男はたくましく生きられるだろうという希望を、見ている人に与えてくれるラストだったと思います。
親離れ、子離れ
ジェシー・アイゼンバーグ(猫背)
ばらばらになった家族が、ばらばらのまま成長していく映画です。
思いのほか、引き寄せられ最後まで一挙に見せられました。
長兄役の青年がいい演技しているなー、というのとどっかで見たことあるなーと思っていたら、今年のオスカーの大本命、フィンチャーの「ソーシャルネットワーク」の主役でした。
おすすめです。秋の夜、静かに見てください。
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