天国の口、終りの楽園。 : 映画評論・批評
2002年8月1日更新
2002年8月10日より恵比寿ガーデンシネマほかにてロードショー
ゴキゲンなメックス音楽、男の子たちの快演がすこぶる愉しい
メキシコの「レッチリ」こと、モロトフ&ダブ・ピストルズのテーマ曲が爽快だ。セックスにしか興味がない若造2人(ガエル・ガルシア・ベルナル&ディエゴ・ルナ)と美しい人妻(マリベル・ベルドゥー)による甘く切ない、ひと夏のロードムービーに酔った!
ジョディ・フォスター主演の「君がいた夏」同様におセンチな主題なのだが、こちらの気分を快々とさせるのは、ごキゲンなメックス音楽(ライ・クーダー好きならご存じの御大フラコ・ヒメネスの音楽も登場)とチン●丸出しで(ボカシはやめましょう、映倫さん)元気いっぱいにはしゃぐ2人の男の子の快演による。トリュフォーの「突然炎のごとく」的な男2人女1人の“黄金の三角関係”が画面に緊密感をあたえて、すこぶる愉しいのだ。
それにしても、メキシコとはあんなにも美しいのか。(「大いなる遺産」でちょっとミソをつけた)アルフォンソ・キュアロン監督が美しいメキシコの色を、空気を、匂いを見事に点描した、“奇跡”の映画といえる。
なお、キュアロン監督によると、エンディングを飾るフランク・ザッパの「ウォーターメロン・イン・イースター・デイ」にインスパイアされて脚本を書いたそうだ。いい音楽は素晴らしいイメージのルーツになる!