劇場公開日 2024年8月2日

  • 予告編を見る

「デビット・リンチの美学と哲学が詰まった唯一無二の世界」デューン 砂の惑星 ヒロピロさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0デビット・リンチの美学と哲学が詰まった唯一無二の世界

2024年8月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

知的

ドゥニ・ヴィルヌーブ版と観比べてからレビューしようと思ったわけだが、鬼才デビット・リンチ監督の方が感情を揺さぶる作品であり、どっぷりと映画の世界観に浸れる映画で面白いと感じました。相変わらず世間の評判は芳しくないのは残念です。改めて三本分を一本にまとめ上げた手腕は流石だと思う。ハルコネン家との対決までのフレメンとの交流生活があっさりとして短い所に賛否両論があるのかもしれない。原作を読んでいない(これから読むつもり)推測でしか言えないが、原作の方が、生態系SFと評されているとのことなので、砂漠での住人との生活面から文化人類学的視点や環境学や生態学等の生物学的考察が反映されているのが原作に沿った「砂の惑星」なのかもしれない。そもそも論として映画を総合芸術としての視点で捉えるなら、デビット・リンチの「砂の惑星」はそれこそスペースオペラと呼ぶにふさわしい作品なのではないか。静寂な宇宙のイメージとアンビエント系テクノの大御所であるブライアン・イーノのBGMが見事な交響曲となり、劇中をTOTOの音楽が盛り上げる。また、演じる俳優陣が豪華なことにも目を見張る。主役のカイル・マクラクランが華々しいデビューを飾ったのは言うまでもなく、名優マックス・フォン・シドー、ユルゲン・プロホノフ、パトリック・ヒューズ・スチュワート等、個人的には「ブレード・ランナー」のレイチェル役のショーン・ヤングの大ファンなので(実際には何かとお騒がせの女優らしいが)美しさが際立っていた。またスティングもポリスからの音楽ファンでもあります。砂漠の背景の中で役者がご挨拶するエンドロールの演出もユニークだと思う。キャラクターデザインや美術も含めて、デビット・リンチの美学と哲学が詰まった唯一無二の世界が本作DUNEである。(※余談だが、ブライアン・イーノといえばWINDOWS95の起動時のBGMに使われていたのが懐かしいですね。)

ヒロピロ