「監督はジョナサン・デミ。 トーキング・ヘッズのライブを収めたコンサ...」ストップ・メイキング・センス りゃんひささんの映画レビュー(感想・評価)
監督はジョナサン・デミ。 トーキング・ヘッズのライブを収めたコンサ...
監督はジョナサン・デミ。
トーキング・ヘッズのライブを収めたコンサートムービーで、初公開時以来の鑑賞です。
デイヴィッド・バーンをリーダーとするトーキング・ヘッズ。
1983年に開いたステージは、バーンがステージに持って出たラジカセを伴奏として「サイコ・キラー」を演奏するところから始まる。
ベースのティナ・ウェイマウスが登場し、徐々に舞台セットが整い、ドラムのクリス・フランツ、キーボードのジェリー・ハリソンほかコーラスグループも登場し、パフォーマンスは続いていく。
といった内容で、バーンを中心としたトーキング・ヘッズのパフォーマンスが余すところなくとらえた映像は圧巻。
で彼らのパフォーマンスを賛辞するだけなら映画を観る必要はなく、本物を観ればいいので、映画としての凄さを挙げておく。
2点あって、ひとつは、終盤までカメラが舞台を出ない。
客席後方からの遠景もあるが、観客の反応を映さない。
これは、あくまでも映画の観客は、観客席にいる。
その視点を崩さない。
もう一つは、パフォーマンスを損なわない範囲で舞台を構成するスタッフを撮る。
舞台装置を動かすスタッフ。
圧巻なのはライティングスタッフで、ドイツ表現主義的な影のパフォーマンスを現出してるのだけれど、そんな彼らは黙々と仕事をこなしているのである。
ステージ演出のバーンは、終盤、彼らを壇上に挙げ、観客からの賛辞を受ける。
舞台演出も映画演出も彼らへの賛辞が込められている。
ということで、この2点は映画演出上、素晴らしい。
また、カーテンコール、アンコールもなく終わり、誰もいなくなったステージを写すエンディングも、コンサートムービーかくあるべし、と思うが、すべてのコンサートムービーがこのエンディングである必要もなく、どちらかというと真似してほしくないんだよなぁ、なんてことも思ったりもした。
付け加えると、90分の短尺でもヘビー。
エネルギー量がすさまじい。
こちらも歳を経た。
結果、堪えた。
老いたことを実感した。