サスペクト・ゼロ : 映画評論・批評
2005年2月1日更新
2005年2月11日より有楽町スバル座ほか全国東宝系にてロードショー
サイコ・キラー映画に食傷気味のファンも思わず唸る
ニューメキシコ州の片田舎で、不可解な猟奇殺人事件が連続して起きる。やがて、その被害者たちの誰もが、連続殺人犯であることが判明。殺人鬼を狩る殺人鬼? そして、異様な事件の先に、浮かび上がる政府の過去の極秘プロジェクト“イカロス計画”とは?
謎また謎のこのサスペンス・ミステリーを監督したのは、E・エリアス・マーヒッジ。ホラー映画の古典「吸血鬼ノスフェラトゥ」が、実は本物の吸血鬼を起用して作られたという魅惑的な奇想伝奇ホラー「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」をものした監督だけあって、サイコ・キラー映画に食傷気味のファンもうならせる熱い映像とストーリー展開は、さすが。捜査ミスから左遷され、新赴任地で事件を追うことになるFBI捜査官に「ペイチェック」のアーロン・エッカート、その相棒に「マトリックス」のキャリー=アン・モス、そして事件の陰に潜む謎の人物に、ますます「新スタトレ」のピカード艦長に似てきたベン・キングスレーと、キャストも渋い。
キングスレーの最近作は失望続きだったが、本作は違う。ちなみに“サスペクト・ゼロ”とは容疑者ゼロ=FBIのプロファイリングにもひっかからぬ無差別殺人犯のことだそう。
(高橋良平)