劇場公開日 1974年6月15日

「華麗なる仕事師」スティング とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0華麗なる仕事師

2020年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

萌える

有名なテーマ曲に乗せて、幾重にも入り混じった糸が見事に交差していく。まるであやとりのように、思いもよらない場面が、次々目の前にさっと提示されたかと思えば、次には別の形をみせる。
 初見では、えっ!どういうこと? えっ!そういうこと? ラストには大喝采を送ってしまう。
 そして、二度目には仕込みの巧みさに唸り、
 それ以降は、各役者の表情や、場面の作りこみを楽しむ。
 家の中で回るメリーゴーランド。
 ポーカーのたねは何度見てもわからない(笑)。

「ルーサーのために!」
しくじれば、命だって狙われかねない仕掛けに、皆、嬉々として参加する。
 エリー・キッドも頑張る。
なんて大掛かりな仕掛けなんだ。

ルーサーの温かさ。
そのルーサーの紹介で、ゴンドーフの元を訪れるが、あのゴンドーフのありさまに怪訝な表情を隠せないフッカー。けれど、だんだんとゴンドーフを見る目が変わり、だのに、ルーサーの妻と引き換えに苦渋の…。
 そんなフッカーの表情が…。20代の設定なのだろうが、まるで少年のようなうぶな瞳が愛おしい。(それでいて、胸毛・腕毛もさもさの”男”なんですが(笑))

そんなフッカーに対して、ゴンドーフの、1歩も2歩も先を見通す眼。それでいて茶目っ気も振りまく。さすがの大勝負の前は緊張して眠れない様子すら素敵。アンダーウェアにサスペンダー姿まで決まる。

脇を占める仲間は、己の仕事を淡々とこなす。そのアンサンブルが心地よい。

そんな彼らが張り巡らせた蜘蛛の巣にからめとられるロネガン。
二人の男を常に従え、たくさんの手下を使い、大物ぶりを見せてくれ、
大物としてなりあがるにふさわしい警戒もみせ、
仕掛けが成功するかと、はらはら…。
そこを切り返す詐欺師グループの手腕が見事で笑える。
慎重なはずのロネガンが、ゴンドーフに手玉に取られ、けしかけられて、負けず嫌いでプライドの高さをくすぐられ、欲にかられ、ますます深入りしていく…。
そんな駆け引きが面白い。

ロネガンの片腕も印象に残る。

そんな筋に、冒頭の事件がらみの面々が絡み、どこで周到なる計画が、蟻の穴から破城するのか、ドキドキ、はらはら…。(フッカー=ケリーとばれたら一貫の終わりだし)

主要な女性二人もクールで「姐さん」とお呼びしたくなるほど魅力的。

筋だけ知って、観た気になると勿体ない。
軽妙なテーマソングに影響されているのか、遊園地に招かれたような心躍るひと時。
楽しまなければ、損。

(蛇足)
ニューマン氏もレッドフォード氏も、私にとっては往年の名俳優としてひとくくりしていたけれど、11歳の差があるんですね。だから、映画の中ではゴンドーフに比してフッカーが小物(弟子)のように描かれているんですね。知らなかった。

とみいじょん
琥珀糖さんのコメント
2023年9月29日

こんにちは
お邪魔します。

軽快なテーマ曲に心躍ります。
内容は騙し騙されのテクニックが、隅々まで手が混んでいて
少し難しかったです。
ポール・ニューマンのサスペンダー姿、粋でしたね。
レッドフォードはこの映画で既に36歳位なんですね。
少年のような眼差しでしたね。

琥珀糖