劇場公開日 1974年6月15日

「粋でセンス抜群なジョージ・ロイ・ヒル監督の最高傑作」スティング Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5粋でセンス抜群なジョージ・ロイ・ヒル監督の最高傑作

2020年4月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

作品数は少ないが安定した演出力と粋なセンスの持ち主ジョージ・ロイ・ヒル監督の最高傑作。「明日に向って撃て」「スローターハウス5」「リトル・ロマンス」「ガープの世界」と多彩なジャンルに秀作ばかりで、大好きな監督の一人。騙して大金をせしめる”スティング”ではフィルダー・クック監督作品「テキサスの五人の仲間」があるが、更に大掛かりな仕掛けと時代背景のセンス抜群な美術・衣装、それに音楽で、最高級のエンターテインメントに仕上げられている。1930年代のノスタルジー作品の中でも、演出の巧さと内容の面白さの絶妙なバランス感覚で傑出した作品。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの名コンビが、背景に溶け込んだ演技を見せて、作品の品位を上げる。特に、憎めない愛嬌の良さを醸し出すニューマンの余裕ある演技が素晴らしく、列車内のロバート・ショウとのポーカー対決場面なんて、こちらもニヤリとしてしまう可笑しさに溢れる。贅沢を言えば、女優陣に印象に残るような美女をキャスティングして欲しかった。作品はアカデミー賞の6部門で受賞したが、個人的にはポール・ニューマンに男優賞が与えられるべきと思った。これ以来、アカデミー賞を信用しなくなった。アカデミー賞で客観性が高いものは、外国語映画賞とスタッフの専門的技術の部門に限られる。

Gustav