スタンドアップのレビュー・感想・評価
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職業人としての女性のたたかい
2011/5/7 08:33
評価: 80点
確かに、男性中心の荒っぽい職場では、女性が労働者として進出することに歓迎しない空気があるかもしれませんね。
角界でも、女性を土俵に上がらせないという仕来りがあり、賜杯の授与のために大阪府の太田知事(当時)が土俵に上がることに異を唱えた相撲協会の対応の是非が問題となりました。
また、トンネル工事の現場などでも、長らく女性が立ち入ることは禁忌とされてきたと思います。
それは、別に女性を忌み嫌うということではなくて。
男性には「すけべ心」がありますからね。多かれ少なかれ。
紅一点で、男性労働者が中心の職場の中に女性労働者がいれば…。
職場の緊張が弛緩してしまうというのは、ある意味で真実だろうと思います。
ちょっとおどけて女性労働者の関心を惹こうとする男性労働者が必ず現れて。
土俵の上にしろ、トンネルの工事現場にしろ、そして、この作品の舞台となる鉱山労働の現場でも…「怪我がつきもの」の危険な職場ですからね。
その職場の緊張が弛緩することは、労働安全上、少なからぬ問題があったのでしょう。
科学的な根拠のない、古い因習だけが理由というわけではなかったと思います。
もっとも、この作品の場合には、あまり「正当化」もできませんけど。
不況で仕事が減っていることの「はけぐち」を、男たちは彼女たちに押し付けていたような気配もありますから。
そういう意味では、他のレビュアーさまが適切に指摘をしているとおり、かえって男性労働者連中の「弱さ」が、その横暴な態度から、透けて見えているのかもしれません。
それだけに。
高給に引かれて、そういう職場に入ろうとした以上、さぞかし大きかったことでしょう。
ジョージーに対する職場の拒否反応というものは。
会社は、性別による差別を禁止する連邦最高裁の判例の手前、彼女たちの入社を拒むことができなかったのでしょうけれど。
そんな中で、苦労をしながら、女性労働者としての立場を確立してきたジョージーたちの苦労と努力には、敬服すべきものがあります。
ひとりの人間、ひとりの労働者、否、一人の女性としての存在を懸けて。
それがある故に、ジョージーに賛同して原告団に加わるべく、傍聴席から起立する仲間が次々と現れるシーンは、胸に痛いものがあります。
観終わって、気持ちの晴れる、素晴らしい作品だったと思います。
なお、蛇足を加えれば。
苦渋の決断でジョージーの弁護を引き受けたビル(ウディ・ハレルソン)の役柄は素敵でしたね。
法律的な知識には必ずしも明るくないジョージーのために、堂々と法廷での論陣を張る。
在野の法曹として、そんな仕事をすることができれば。
その意味で、彼の役どころも、強く印象に残りました。
自身が法律屋である評論子は、その印象を大切にしたいと思った作品でもありました。
(追記)
実話に基づく作品ということで。
原題は「north country」となっています。
「(小さな)北の町から」といったところでしょうか。
あるいは邦題よりも原題のほうがよかったか。
「小さな北の町から起きた、大きな女性の社会進出のうねり」という意味では。
しかし、最後の法廷の場面だけでなく、差別に負けないで立ち上がったジョージーなど、いろいろな意味で「スタンドアップ」というのは、むしろ、この作品にはフィットしているのかもしれません。
(追々記)
「女性が職業をもつこと」、「女性の社会進出」ということでは、たまたま、2本の作品を続けて観ることになりました。本作品と『隠された日記 母たち、娘たち』が、それです。
どちらも感慨深い作品であったことは、映画ファンとして、しあわせだったと思います。
先陣を切る難しさ
アメリカで初めてセクハラ裁判に勝利した主人公を描く物語。
すこし「エリン・ブロコビッチ」に似ている映画ですね。
シングルマザーの彼女達。厳しい境遇にめげず、そのバイタリティで逞しく生きていきます。
法廷闘争がメインだった「エリン~」と比較して、本作は「人間ドラマ」がメインの印象。
凄まじい鉱山でのハラスメント描写。それに打ちひしがれる主人公。プライド高き鉱山労働者の父親との確執。母親への中傷で傷つく息子とのすれ違い。
そして同じ被害者でもある女性達から得られない共感。
四面楚歌のような主人公の状況が、重く圧し掛かります。
それだけに、裁判からクライマックスへの展開はカタルシスを感じるものでした。
ただ、法廷劇としては、やや弱さを感じます。
説明が端折られていいたり、大袈裟過ぎたり・・・少し勿体なく感じ、評価をやや下げました。
新しい権利を獲得することの難しさ、古い固定観念を覆ることの難しさを感じさせる良い映画だったと思います。
人権を守るためには戦うことが必要なの、だ‼️
D V、ハラスメント、いじめ、昔も酷いが、今もあるし、今後も無くならない。
カスみたいなやつはどこにでもいる。
男も女も関係ない。
弱い者は、被害を最小限にするため、逃げる、戦う、それが全て、我慢してたら地獄行き、だ。
自分もD Vで殺されかけたが、逃げて、裁判で勝つ、ちなみに私は男。
戦うには、勇気がいるし、偏見もある、でも、必ず味方は現れる。
どんなに不遇でも、幸福になる義務がある、権利じゃない。
この映画がそれを示している。
製作者とセロンを評価する。
地味だが真摯な姿勢で作られた映画には好感が持てる、
真面目な方は、是非。
永久保存版🙆♂️
もう15年前の作品だが、こんな名作を見逃していたとは。昨今のハラスメントを過剰に騒ぎ立てる風潮は気に入らないが、この作品の舞台となっている1970年代の女性差別、軽視、迫害はあまりにも酷い。勇気ある1人の女性がその悪しき習慣を破壊する壮絶な物語。
シャーリーズ・セロンの魅力全開でした❣️ シビアな現実の先に感動の...
シャーリーズ・セロンの魅力全開でした❣️
シビアな現実の先に感動のクライマックスが待ってました。こういう時代を経ての現代。感動のノンフィクションでした。
鉱山で働く女性に当たり前のようにセクハラが繰り返される。 社長は「...
鉱山で働く女性に当たり前のようにセクハラが繰り返される。
社長は「嫌なら辞めろ」と平然と言い放つ。
生活のために耐えるしかない女性たち。
1989年にこんな状況だったとは信じがたいが鉱山という閉鎖的な社会ではあり得る話だ。
訴訟に勝てたのはラッキーな側面もあり、結果オーライだが、娘を否定的な目で見てきた父親が最後に味方になってくれた瞬間はよかった。
再鑑賞。シャーリーズにミシェルモナハンにフランシスにアンバーハード...
再鑑賞。シャーリーズにミシェルモナハンにフランシスにアンバーハード...女性陣だけでもキャストが豪華。酷いセクハラを扱った社会派ドラマです。特にシャーリーズとミシェルモナハンが可哀想すぎます。イジメが下品で底辺すぎて大人のやる事と思えない。最初は冷たかった主人公の父親の心情変化は見どころです。弁護士役のウディハレルソンの熱弁も良かった。優しいショーンビーンだけは癒されました。だけどこんな卑怯なジェレミーはもう観たくないですね。
One after another
群れから離れる1人の行動に、皆が心に秘めていた矛盾が引っ張られ、連鎖的に雪崩れをうつ。社会が変わる。群衆の心の綱引き具合が実に巧みに描き出される。個々の引っ張られ具合が微妙に異なる。母と父、若き女とベテラン、男の中でも個々に紊れる。
それを充実の役者陣が演じわける。見どころ多し。ジェレミーレナーを挑発するウッディハレルソン、父リチャードジェンキンスの演説、若者を諭すショーンビーン、そしてフランシスマクドーマンドがカッコいい。見事なアンサンブル。社会の変化が何によってもたらされるのかを示す。
ラストの父親の話がたまらない。
まだまだ女性蔑視の劣悪な時代に、男臭い職場で働く主人公に引くほどのセクハラの嵐。
未だにこれほどのセクハラが行われているところは無いと思いたいが。
炭鉱で働くのは男の仕事とばかりに、新入りのジョージーを苛めでは済まされない程に嫌がらせする炭坑夫たちと、挫けそうになりながら女性の働ける職場改革を目指すジョージーを応援したくなる。
ラスト、炭坑夫仲間の手前、素直に娘を支援できなかった父親が立ち上がる。
DVD108円ゲットシリーズ。こいつは隠れた名作ではないか、超、超...
DVD108円ゲットシリーズ。こいつは隠れた名作ではないか、超、超お買い得だった。
世界初のセクハラ裁判の実話を元にしたお話。現代ではちょっとしたことでもすぐセクハラ、大げさ過ぎると感じることも。
しかしこれを観るともう文句は言えない。すさまじいセクハララッシュ。もう完全なイジメでもあります。あまりのひどさに胸が苦しくなってきます。
孤立無援となった主人公は…
感動すること間違いなし。号泣必至。
シャーリーズ・セロンが素晴らしい!
これってある意味、彼女だから、彼女が美しいからこんなにも感情移入したのではないのか?
男ってそんなゲスで汚い生き物なのです。いや私だけか。
強い
これ実話なんですね…。
どうして同じ人間に対して、こんなに卑劣かつ残酷な事が出来るのでしょう。
しかも自分よりも明らかに、力の弱い人に対して。
トイレに閉じ込められて×××塗れにされたり、レイプシーンは特に、きつくて目も耳も塞ぎたくなる程でした。(こういう行為は、殺人と一緒だよ…人の気持ちをぶっ壊して、身体にも精神的にも深い傷を負わせてるんだもの。)
心身がズタボロの状態にされた時にも、味方だと思っていた人にも助けて貰えずに、声をあげる事も許されず、沢山の痛みに耐え続け、生き続けただけでも凄い事なのに「このままじゃいけない。」と、声をあげ戦い続ける彼女は、本当に勇気のある人。
気がつけば主人公を、最後まで応援していました。
たった独りで立ち向かったヒロインの姿に心揺さぶられると同時に、男共、何やってんだ!?(怒)
世界初のセクハラ訴訟の実話を映画化した2005年の作品。
夫の暴力に耐えかね、二人の子供を連れて故郷の炭鉱の町に戻ってきたジョージー。子供たちを養う為、炭鉱で働き始める。しかし、そこは男社会。陰湿な嫌がらせを受ける…。
まず男を代表して言わせて頂ければ、男共、何やってんだ!?(怒)
何て情けなく、馬鹿丸出しで、恥ずかしい。同じ男としても弁護・反論の余地ナシ。
男共は結託して否を認めない。
会社は守ってくれない。
同僚の女性従業員は報復や失職を恐れて賛同してくれない。
誰一人味方は居ない。
そんな苦しい状況の中で、たった独りで立ち向かったジョージーの姿に心揺さぶられる。
仕事に男も女も関係ない。分け隔てようとするなら、それこそ差別だ。
ましてや女が男社会に入ってきて、面白くなくて、セクハラや嫌がらせをするなど、言語道断。紛れもない社会悪だ。
女性の社会的立場は守られて当然で、男はそれをわきまえるべき。
共に働く“仲間”なのだから。
ジョージーを演じるシャーリズ・セロンが二度目のオスカーノミネートも納得の熱演。
その同僚で難病を抱えるフランシス・マクドーマンドは相変わらず巧い。
マクドーマンドの夫役にショーン・ビーン、ジョージーに味方する弁護士にウディ・ハレルソン。どちらかと言うと悪役やアブナイ役が多い二人が善人役で器用な所を見せる。
昔見た時は気付かなかったが、ジョージーに嫌がらせをする幼馴染みにジェレミー・レナー、若い同僚にミシェル・モナハン、少女時代のジョージーにアンバー・ハードとイイ役者が揃っている。
役者陣で特筆すべきは、リチャード・ジェンキンス。ジョージーと確執ある父親だったが、組合の発言の席で娘を庇うシーンは感動的。
セクハラ問題を訴えた社会派ドラマであり、女性の社会派立場を守る為に戦う法廷ドラマであり、家族や親子の絆を描いたドラマである。
見応え充分!
勇気ある女性に敬意を。
ただ鉱山で働く女性の苦労話作品と思うなかれ。
今までなぜ見ずにいたんだろうって思うような作品でした。ただ体力的な辛さを描いたものでなく。要は異常なセクハラに苦悩する女性達の姿。
すべての人の主張や気持ち…理解できないこともない。やり過ぎな部分があるけれど。
臆病になる気持ち・女性に男性の職場を奪われるのではないかという不安。一人疎外されかねない状況。
やはり見所はスピーチの場面。涙が溢れました。
主人公の言えないでいた真実…。
母の優しさ。
父の娘に対する愛。
家族愛。
簡単で1文ずつの改行で申し訳ないですが、それが真実で込み上げてくる感情です。
スタンドアップというタイトルがどうも安っぽいですが、本当にいい作品だと思いました。
立ち上がってくれた女性に感謝・敬意を…。
人間としての当たり前の尊厳や権利
女性監督だけどヒステリックに男を糾弾するというわけでもなく、むしろ人間としての当たり前の尊厳や権利といったものを描いた秀作。男と女ではやはり見方は違ってくるだろうが、これを見て怒る男がいたとしたら、それは単なる被害妄想か、自分自身に思い当たる節のある人ではという気も(笑)。真面目すぎて興行的に苦戦したみたいだけど、こういう映画は多くの人に見てほしいと思うのです。
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