「たった独りで立ち向かったヒロインの姿に心揺さぶられると同時に、男共、何やってんだ!?(怒)」スタンドアップ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
たった独りで立ち向かったヒロインの姿に心揺さぶられると同時に、男共、何やってんだ!?(怒)
世界初のセクハラ訴訟の実話を映画化した2005年の作品。
夫の暴力に耐えかね、二人の子供を連れて故郷の炭鉱の町に戻ってきたジョージー。子供たちを養う為、炭鉱で働き始める。しかし、そこは男社会。陰湿な嫌がらせを受ける…。
まず男を代表して言わせて頂ければ、男共、何やってんだ!?(怒)
何て情けなく、馬鹿丸出しで、恥ずかしい。同じ男としても弁護・反論の余地ナシ。
男共は結託して否を認めない。
会社は守ってくれない。
同僚の女性従業員は報復や失職を恐れて賛同してくれない。
誰一人味方は居ない。
そんな苦しい状況の中で、たった独りで立ち向かったジョージーの姿に心揺さぶられる。
仕事に男も女も関係ない。分け隔てようとするなら、それこそ差別だ。
ましてや女が男社会に入ってきて、面白くなくて、セクハラや嫌がらせをするなど、言語道断。紛れもない社会悪だ。
女性の社会的立場は守られて当然で、男はそれをわきまえるべき。
共に働く“仲間”なのだから。
ジョージーを演じるシャーリズ・セロンが二度目のオスカーノミネートも納得の熱演。
その同僚で難病を抱えるフランシス・マクドーマンドは相変わらず巧い。
マクドーマンドの夫役にショーン・ビーン、ジョージーに味方する弁護士にウディ・ハレルソン。どちらかと言うと悪役やアブナイ役が多い二人が善人役で器用な所を見せる。
昔見た時は気付かなかったが、ジョージーに嫌がらせをする幼馴染みにジェレミー・レナー、若い同僚にミシェル・モナハン、少女時代のジョージーにアンバー・ハードとイイ役者が揃っている。
役者陣で特筆すべきは、リチャード・ジェンキンス。ジョージーと確執ある父親だったが、組合の発言の席で娘を庇うシーンは感動的。
セクハラ問題を訴えた社会派ドラマであり、女性の社会派立場を守る為に戦う法廷ドラマであり、家族や親子の絆を描いたドラマである。
見応え充分!