スタンドアップ : 映画評論・批評
2006年1月10日更新
2006年1月14日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほか全国松竹・東急系にてロードショー
生真面目な映画だが男性もびびらずに見てほしい
セクシャル・ハラスメントというと、日本では「セクハラ」だの「逆セクハラ」だのと軽々しく扱われがちだが、本来はかなりシリアスな問題のはず。この映画は職場でのそれをめぐってアメリカで初めて起きた集団訴訟をベースにした物語。鉱山という「男社会」でのほとんどアビュース(虐待)のようなハラスメントと、それに敢然と立ち向かう女性の姿が描かれる。
シャーリーズ・セロンがオスカー受賞作「モンスター」ばりにルックスダウンして演じるのは、夫の暴力から逃れて故郷に戻った子持ちの女性。10代でシングルマザーとなり「身持ちの悪い女」の烙印を押されている彼女は、告発者としては分が悪い。だが、そうなった過程が明らかになるにつれ、彼女がこれまで男たちから二重にも三重にもひどい扱いを受けてきたことがわかる。またそこには、「我慢しなさい」としか言わない彼女の母親や同僚の女性たちの弱さも描かれる。その意味で、これは単に職場の問題だけでなく、社会一般における女性の立場を今一度問い直した映画といえる。お色気作戦もあった「エリン・ブロコビッチ」よりかなり生真面目だが、女性だけでなく男性もびびらずに見てほしい。
(田畑裕美)