「怖いねぇ」それでもボクはやってない じぶさんの映画レビュー(感想・評価)
怖いねぇ
痴漢冤罪を晴らすことの大変さがよく分かりました。
実態として警察や検事の高圧的、決めつけ的な取り調べ、本当なんですかね?
本当だとしたらやばいですねぇ。。
とはいえ、裁判のシーンは意外とフラットな視点だったように思いました。
つまり、裁判官、検事側をそれほど悪として描いていない、というか、例えば瀬戸明日香が決め付けたような尋問に怒っているのを役所広司が「裁判官も悪意を持っている訳ではない」などと窘める的ところや、担当裁判官の弁解?など、一理ある、というより何も間違っていない、と思いました。
裁判所は正しいことを正しいと認めてくれるところではなく、集まった資料から論理的に有罪、無罪を判断するところ、他人が言っている事が真実か嘘か超能力者でもない限りわからない以上、至極当たり前の事だと思います。
客観的な立場からすれば加瀬亮がやってるかやってないかもグレーですよね。
最後のセリフのとおり。本人しか絶対にわからない。
心情描写が入るのでやってない設定なんでしょうが、もしこの映画が被害者側の視点で描かれており、自殺でもしちゃったりして、最後に加瀬亮がニヤリとし日には全く同じ証拠でもまた印象変わっちゃいますよね(笑)
記憶なんて曖昧なものだし、尋問で真実が必ずしも分かる理由でもないですが、少なくとも客観的に、どちらが論理的な整合性、根拠があるか、つまりどちらが嘘を言っているか(可能性があるか)を見極めようしようとしているだけに見えます。
どの立場の人間も何かを決める時は主観、いわゆる心情が入ると思いますが、少しでもそれを排除するよう務める、しかなく、それで判断した結果が合ってるか間違ってるか、は証拠の有無と個々の判事のスキルに拠るのは仕方ない。
もちろん当事者になった場合、冤罪にでもされたら殺してやる!ぐらいに思うし、スキル不足はダメですが、それとシステム自体に対する評価は別に考えるべきだと思います。
(この映画の場合、判決の理由について「被疑者の言動に信用がない点が多々ある」みたいな事についてそれが何かが説明されていない為なぜ有罪なのか納得できませんがそこが問題提起の部分ではないのだろうと思います。)
むしろ、瀬戸明日香のような感情、印象で行動、決断する人間が冤罪を作る可能性の方が圧倒的に高いでしょうね。。
ということが前提(裁判所の基本的なシステムは当たり前の事)として、問題は、
決断に十分な根拠がない場合、「有罪」としているのか?
取り調べ内容を調書に記載するかどうかが警察の胸先三寸なのか?
無罪とすると問題がある、というようバイアスが判決に影響するのか?
などが事実ならば怖い事だと思います。
せめて痴漢と間違えられないように気をつけようと思いました。
あと、役者さん、特に加瀬亮さん、役所広司さん、それから前半な判事さんが良かったです。
割と淡々とした映画をとても楽しく見られたのは役者さんたちの演技がとても素晴らしかったからだと思います。