「このバタ臭ささも含めて」少林サッカー ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)
このバタ臭ささも含めて
チャウ・シンチー作品の味なんだよね。
チャウ・シンチーの名を世に広めた、サッカーと少林拳という、リアルワールドでは某国のケンカサッカーを揶揄するときに使われる表現の元となったコメディタッチのスポーツ映画。
黄金の右脚と呼ばれたかつての名選手ファンが、ある試合中の事故をきっかけにその右脚を負傷し引退、今では強豪サッカークラブの雑用担当として雇われていたが、自らのサッカーチームを持つため街で見かけた少林拳の達人シンをサッカーにスカウトする。
一方のシンも少林拳を世に普及する夢があり、シンとファンは共闘、シンのかつての兄弟弟子を誘うものの、今の生活で精一杯の兄弟弟子たちは興味を示さない。しかし、今の生活に忸怩たる思いのある兄弟弟子たちはシンの誘いに応えてサッカーの練習を始める。
全編通して軽いノリ、過剰な演出、今風に考えると若干のコンプラ違反もチラホラな感じの、ちょっとオールドスタイルな香港映画のフォーマットをうまく今風にアレンジしている感じ。ジャッキー・チェンの蛇拳とか酔拳に近いノリかと思う。
だから、それが鼻についちゃうとちょっと観てられない、でもそれをオモローってなれる人はめちゃエンジョイできるかも。私はモロに蛇拳・酔拳世代なので無問題。逆にティーンエイジャーの子供達には、やや胸焼け演出だったみたい。悪役ハンのチャチャチャあたりで、うげーってなってた。分からんでもない…
でも、めちゃ面白いよ!
兄弟弟子たちのそれぞれの持ち味が今の姿とのギャップもあってブッ飛んでいる。軽業のはずがめちゃ重量級だったり、鋼鉄の体やのにボールまで吸い付けたり、どーなっとんの?と思う技の数々。
彼らの最初の試合は、札付きのワル集団チームと。
途中までラフプレーでボッコボコにされるも、そこからの覚醒シーンがなかなかの胸熱シーン。
全編ほぼ悪ふざけ、だけどいらん事考えずにシンプルに楽しめる古き良き香港映画様式をエンジョイできる映画だった。ハマる人にはハマるはず。