「騙されても快感が押し寄せるミステリー映画の傑作」情婦 Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)
騙されても快感が押し寄せるミステリー映画の傑作
アガサ・クリスティとビリー・ワイルダーが生んだ映画の宝物。ミステリアスに登場するマレーネ・デートリッヒの唯一無二の存在感。この謎の女性に翻弄されながら着実にタイロン・パワーを擁護する巨体の老弁護士チャールズ・ロートンの貫禄の演技力、ヒッチコックに勝るとも劣らない演出技巧を披露するビリー・ワイルダーと、すべてがラストのどんでん返しの為に練られ精緻に組み立てられたミステリーの傑作品。演技巧者ではないタイロン・パワーまで名演を残す。デートリッヒは「間諜X27」に並ぶ代表作。負い目を持つ年上の美しき人妻、この難役を他に誰が演じられよう。最後、アットと騙された観客が、結果的に被告人デートリッヒの証人になれる、本編の語り口の巧さ。お見事です。
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