クイーン・オブ・ザ・ヴァンパイア : 映画評論・批評
2002年9月17日更新
2002年10月12日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてロードショー
今回のレスタトは“無茶王子”
あの「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」から8年ぶりの続編であるにも関わらず、そのことを考えずに本作を「1本の独立したバンパイア映画」と捉えれば、これは「とってもチャーミングな吸血鬼映画」である。
アン・ライス原作のファンであれば、主人公の吸血鬼レスタトが如何に破天荒な“やんちゃ王子”であるか認識済みであろうと思われるが、今回の彼は更に無茶王子。そもそも吸血鬼は永遠の命を保つために厳しい掟が沢山あるのだが、本作のレスタトはまるで“掟破りキング”。彼は100年ぶりに目覚めるのだがその理由も超お手軽。なにせ墓場で眠る彼を目覚めさせるのはロック♪なのだ。
背徳の匂いがあり、常識を打ち砕く強烈な怒りを含み、蠱惑的でカリスマに成り得る吸血鬼とロックスターは意外なほど相性がいい。吸血鬼の秘密を歌詞に盛り込み、本当のことを唄うほど曲は大ヒットする。例えは宜しくないがその様は最盛期の「聖飢魔IIの閣下」みたいだし、レスタトのライブは「プリンセス引田天功のマジックショー」みたいに楽しげだ。前作で言うところの萩尾望都の「ポーの一族」的な耽美なサジ加減は消滅したが、よりB級ホラーの匂い漂う仕上がりになっていて面白い。
(大林千茱萸)