「X’masイブに特別運行」ポーラー・エクスプレス odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
X’masイブに特別運行
サンタはフィンランドだと思っていたら元は北極に居たらしい、サンタさんの出発セレモニーに向かう子供たちを乗せたおとぎ列車・北極号(ポーラー・エクスプレス)のジェットコースターのようなアドベンチャー・クリスマス・ファンタジー映画。
まるで銀河鉄道999じゃないかと思ったが原作の絵本の出版は1987年、銀河鉄道999は1977年(宮沢賢治さんの本は1934年)だからファンタジー・トレインでは松本零士さんの方が先駆けだったようです。堺雅人さんの「DESTINY 鎌倉ものがたり(2017)」でも霊界と結ぶ江ノ電が走っていましたね。やはり鉄道は人生に寄り添う特別なメタファーなのでしょう。
なんでわざわざトムハンクスさんをコンピューター・アニメにするのかと思ったら、実写で撮るには子供たちには危険なシーン満載、セットやロケの規模も大変なので納得です、ただ、子供の表情を大人がモーション・キャプチャーしているので気味悪く思えますね、この辺は直球嫌いのゼメキス監督らしさなのでしょう。
トムハンクスさんがゼメキス監督に持ちかけた話のようですが、切符が風に舞うシーンは「フォレスト・ガンプ」の羽根を思わせます。また、わざわざクリスマスキャロルのスクルージのマリオネットまで登場もゼメキス監督らしい演出です。IMDbのトリビアを見たらニュージャージーの妹をいじめる悪い子のスティーブンはスピルバーグがモデルだそうです、友人をネタにするなんてどういう関係なのでしょう。
冷静に考えたら、子供が深夜に親にも告げずに旅に出るなんて狂気の沙汰、トムハンクスの車掌は犯罪者並みの危険人物、ポーラー・エクスプレスは暴走機関車かも知れません。それでも観ていられるのは演出とアニメの効用なのでしょう。子供たちは冒険を通じてサンタさんを信じるかどうかより、思い遣りや感謝の気持ちが大切と言うことを学びましたね、作家性は強いですがこの時期に観て損は無い定番になるでしょう。