十二人の怒れる男のレビュー・感想・評価
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今見ても色褪せない、新鮮さすら感じる作品
ネットで面白い映画を探していたときに、名作だと名前が挙がっていたので視聴しました。
「白黒映画か」「60年も前の映画か」と、どこか斜に構えて観ていました。
しかし、観ていくうちにどんどんと引き込まれていき、最後まで全く飽きることなく観てしまいました。
12人のオッサンが暑苦しく雁首揃えて議論するだけの映画なのに、何故こんなに面白いのか。汗だくで熱弁する12人のオッサン達が何故こんなにも魅力的なのか。
「古い映画だから」と偏見を持たずに、騙されたと思って観てみてほしい。本当に面白いから。
めっちゃくちゃ面白い。
舞台を見ているような作り、密室劇の神髄
始めて観たのは30年以上前高校生の頃。3本立てのうちの1本でお目当ての映画ではなかった。
ところが登場人物も少ない白黒の映画にあっという間に引き込まれ、二転三転する男たちの意見に、無罪なのか有罪なのかドキドキしながら見た記憶があります。
その後何度か見返してこの映画の素晴らしさが改めて分かったような気がします。
まず俳優たちの演技が素晴らしいですね。それぞれの人の個性が際立っていてアメリカ人のことをそんなに知らない私でも、実際にこういう人物がいそうと、すんなり受け入れられました。クールでありながら正義に対する情熱を持っている8番(ヘンリーフォンダ)は何よりかっこよかった。
演出は最小限の情報を小出しにすることで、観客の想像力を掻き立て、そのあとの展開が気になり前のめりにさせる。こういった手法は映画作りでは基本的なことかもしれないが、ここまでシンプルに作って成功している例は、未だ見たことがないですね。(下手をすれば序盤で観客が興味を失ってしまうリスクがある)
それから計算しつくされたカット割り。時には長回しがあり、いつの間にかスッとカットが入っていたり。舞台を見ているときの観客の視線を意識しているように感じられる。
密室劇の金字塔
飽きない名作
陪審員制度、始まってもうどれくらい?やりたい!絶対やってみたい!仕...
陪審員制度、始まってもうどれくらい?やりたい!絶対やってみたい!仕事もサボれるし(笑)しかし、周りでやった人とかあんまりいないなあ、なぜだ?
陪審員制度啓発はこの作品一つで十分。
話し合い、始めは酷いもんです。遊んでるやつもいる。早く終わって帰りたい奴もいる。どっかの職場の会議みたいです(笑)
ストーリーが進むにつれ、どんどんのめり込んでいきます。いい加減だった人を含め、意見が変わっていく過程が面白すぎます。そして結末は…
必ず見るべき名作です。ドラマや演劇でもあるようです。それだけ話が面白いんです。
教訓
・議論はなるべく感情的にならぬよう注意しなければならない。しかし、場面によっては感情が効果的なこともあり。バランスが難しい。
やはり話が上手な人は得ですね。この映画は正義なのだが、口の上手いだけの弁護士とかにたぶらかされる場合もいっぱいあるんだろうなと、ちょっと制度への疑問も感じたりもしました。
私生活でもおおいにありそう。真実を見抜く冷静な判断力を身に付けたいものです。
一言の重み。
シンプル
内容はとてもシンプルですが、とても楽しめるし為になる作品でした。
証拠を反芻して意見を言い合うだけなので密室での会話劇ですが、舞台でいいのでは?と思える映画もありますが、これは映画だから良いのだと思います。
まず冒頭ののスムーズな登場人物の何気ない会話でキャラクターがわかります。
そして議論が始まると実際に議論をした際のあるある、偏見、思い込み、強弁、放棄、人格攻撃、論点のすり替え、ずれ、事実と意見の混合、根拠の無い主張などなどが各キャラクターに合わせて繰り出されます。
そして前提のずれ。
無罪というのは映画冒頭や主人公が言っているように「殺していない」ではなく「殺したと確信できる根拠がない」ということで、
「どこまでを確かであると見なして共有し、
どこからが意見の相違となるか」
を合意しようとしただけ。
他の陪審員は徐々に根拠が曖昧なことに気づき、自分の意見に自信がなくなったり苛立っ行く様子が表情や態度に表れてきます。
悪態をつかれた主人公が心配された時に返した「(あの人は)普通の人ですよ」
上記のようなことは会議などで本当によく遭遇するもので、自分の意見通すのに必死で、客観的には分からない事が多いですものねぇ(自身も含め^^;)
天気や扇風機などの演出で議論の白熱、暗礁に乗り上げた感じ、終わったあとなどの晴れやかさが伝わってきます。
謎ときとして観してまうとさほど驚くようなものではないですが、観るべきものはたくさんあると思います。
自戒のためにも繰り返し見たくなる、そんな映画でした。
密室劇の原点にして傑作
父親を殺害した容疑で裁判にかけられた少年を巡り、12人の陪審員が有罪か無罪かを議論する様子を描いた密室劇の原点にして傑作と名高い作品。
基本密室劇と聞けばだいたい観たくなる笑。
しかしこの作品は今まで見たことなかった。
密室劇と聞くと三谷幸喜作品しか出てこない見聞を広げるために鑑賞。
登場人物は犯人の少年を裁く権限を持った12人の陪審員。少年が犯人だと裏付ける証人や物証があり皆有罪を確信するし早々に解散したがる中、少年に無罪の可能性があると主張する唯一の人間が現れたことから始まる。
全編通してほぼ会話のみ。
各陪審員には名前もなければ犯人の少年は冒頭の裁判で顔が映るくらいでセリフすらなく、人物像がまったくわからない。
しかしとてもハマる。
証人たちの証言や当時の現場の状況、実際に犯行を行なったとしてそれぞれの行動にかかる時間やその目的に関して検討を重ねることで積み重なって行く違和感。
1つ1つと疑問が増えて行くたびに浮かび上がる本当に少年は犯人なんだろうか?という大きな疑問。
少年が犯人ではない可能性を少しずつ高くしていく緻密で丁寧な検討に思わず鳥肌が立つ。
会話の内容がほぼ事件に関してのことだけなのにそれぞれの陪審員たちの人間性が徐々に明確になっていく点も面白い。
実の息子との確執により今回の事件に強い執着を持つ者、貧困層への露骨な嫌悪感と偏見でもって人を裁こうとする者、適当に切り上げて早く帰りたがる者など十人十色な12人が扇風機が動かない暑くむさ苦しい部屋にて汗だくになりながら討論する様はまさに12人の怒れる男笑。
動きがなく静かに見える作品だが、画面から伝わる彼らの熱量とピリピリした雰囲気に思わず映像にかじりついてしまう。
8番「人を脅す時に殺すと発言したとしても本気で殺すつもりはないだろう」
と3番を説得したのち、中盤で取っ組み合いのケンカになりかけた瞬間3番が発したぶっ殺すという発言に対して
8番「本気で殺すつもりはないだろう?」
とたしなめたあの瞬間、映画史上最も説得力のあるセリフとシチュエーションだったと感じたのは自分だけではないはず笑。
あのセリフには痺れた。。
正直無罪の可能性がある根拠として犯行に使われた凶器と同じものが売っていたからとか弁護士が無能だったかもしれないとかだいぶ無理矢理な仮説を立て過ぎな感じがしたのと最後まで有罪を主張する10番や3番を数で押し黙らせたような感じがするがそれを込みにしてもかなりの完成度の高さ。
今ではどの映画やドラマでもやりがちな当時の状況を説明しながらの事件の再現といったことを一切せずに、視聴者の頭の中で事件の経緯を想像させる作品として史上最高傑作といっていいと思う。
あっという間の90分
あっという間の90分、ずっと集中して観入ってしまった。あっという間だが、とても余韻が残る。
最初、無罪に手を挙げるのは“8番”一人だけで、どうなることかと思ったが、まったく無駄のない展開で次々と同意者が増えてゆく。その展開もとても面白いのだが、やはりすごいのはキャラクターの描かれ方。12人という、決して少なくはない人数。その一人一人の人間性が、限られた時間の中で深く描写されていたように思う。
12人、90分という枠組みの中で、次第に社会が形成されていき、その中で個々人の考え方や人間性が浮き彫りになっていく。多くはない台詞の中から、彼らの生い立ちや人となりを想像するのはとても面白い。
そして“8番”。
彼はその素晴らしい冷静さと知性で、場を動かしていくのだが、その様はかなりかっこよかった。
“8番”のような男になりたいものだ。
汗というリアル
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