十二人の怒れる男のレビュー・感想・評価
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議論というアクション‼️
十二人の陪審員が一人の少年の有罪か無罪かをめぐって、白熱の議論を行なう。十一人が有罪に投票する中で、残る一人が無罪を投じる・・・1時間35分の間、十二人の男たちの議論だけで物語が進むのですが、なんでこんなに面白いんでしょう⁉️一分の隙もない構成と素晴らしい脚本、俳優たちの演技力、そしてほぼ陪審員室の中だけという密室劇的シチュエーションで、大長編以上の満足感を観る者に与えてくれますよね‼️ヘンリー・フォンダ扮する8番陪審員が有罪証拠の一つ一つを吟味、そのハンドリングはまるでシャーロック・ホームズ、エルキュール・ポアロ、はたまた金田一耕助‼️そして陪審員室を殺人現場に見立てて、被告の行動を再現するところはまるでミステリー映画みたいでゾクゾクさせられます‼️そして繰り広げられるセリフの応酬は、まるでアクション映画のような痛快さです‼️ヘンリー・フォンダはもちろん、特に最後まで折れないリー・J・コッブ、冷静に論理でフォンダに応酬するE・G・マーシャルの2人の演技が圧巻で素晴らしかったです‼️私はこの映画を観るまではデモクラシーというのは多数決なのかなと思っていたのですが、本当は少数派の意見に耳を傾けることであるという事を教えてくれた大切な映画です‼️
いろんな感情が行き交うある意味サスペンス
黒人に対する公民権法制定がまだの頃の話
黒人に対する公民権法制定がまだの頃だから、当然、黒人が陪審員に呼ばれることはないと思う。それで、裁くのだから、この映画以外にも冤罪はあったに違いない。
また、今でも、人種の配分は気を使う様だ。
兎に角、映画はヘンリー・フォンダの正義感満載だが『ウエスタン』の悪役のほうが僕は好きだ。
日本の映画にこの映画をリスペクト、イヤイヤ、パクった映画があるが、きっと版権を買っているに違いない。と思うが、今の旧国営放送の大河ドラマの脚本家とは、日本の映画界も落ちたものだ。
我が親父もリー・ジェイ・トンプソンみたいな奴だったが、 ヘンリー・フォンダが好きで、VHSビデオにとってよく見ていた。
暑苦しい密室での白熱する議論。目が離せないスリリングな展開。
和田誠さんと三谷幸喜さんが対談した「それはまた別の話」という本にこの映画が載っており、何度も観たはずなのにまた観たくなり視聴。
個人的に大好きなこの映画。黒澤監督の「七人の侍」で好きな侍ができるのと同じく、ヘンリー・フォンダ以外の陪審員にも注目するようになっていた(ちなみに、三谷さんは気が弱いながらも次第に自分の考えを持つようになっていく2番陪審員(ジョン・フィードラー)がお気に入りらしい)。
父親殺しの容疑で逮捕された少年の裁判が終わり、12人の陪審員は評決を出すべく、この世から隔離されたかのような蒸し暑い部屋に入っていく。
タイトルバック。錆びた扇風機の上に据えられたカメラ(丁度部屋の全景を見渡せる位置である)は流れるように動いて皆を長回しで映し、我々はこの小さな世界へと引き込まれてゆく。
彼らは挙手制で採決をとり、12人のうち11人が当然の如く有罪に手を挙げる。しかし、ただ1人8番陪審員(ヘンリー・フォンダ)だけが無罪を主張し、この手に汗握る"話し合いのみ"で構成されたクライムドラマが始まる・・・。
カメラワークは文字通り完璧で、実は12人全員が画面に収まるショットは数える程しかなく(その全てが計算し尽くされた見事な構図である)、ほとんどが
・発言している人物のクローズアップ
・机を挟んだ数人のショット
・机を離れた場所でのショット
で成り立っているのだ。
意識しなければそれに気づかせないプロの技が全編通して光っている。
ご存知の通り本編95分間のうち93分がこの密室での議論に費やされているため、最後の裁判所から出ていく場面は身体的、心理的な開放感が見事に描写されており、爽快だ。
陪審員たちは名前さえ明かされないのにも関わらず、キャラクター性が確立しており、議論が進むにつれて彼らの性格、考え方が徐々に露わになってゆく。
偏見の塊のような10番陪審員(エド・べグリー)、
常に冷静で論理的な4番陪審員(E・G・マーシャル)、
被告人を絶縁した息子と重ね、有罪一点張りの頑固な3番陪審員(リー・J・コッブ)
などといった極めて個性的な男たちを相手に8番陪審員はただ1人立ち向かう。
また、効果音が全くと言っていいほど使用されていないのも見どころの1つだ。本編中音楽が流れてくるシーンは(確か)たったの4回で、特に印象的な場面ばかりである。すなわち、
・8番陪審員が自分を除く11人で無記名投票してほしいと持ちかけるシーン
・休憩時間中、8番がトイレで6番陪審員(エドワード・ビンズ)に説得された後のクローズアップ
・10番陪審員が皆からそっぽを向かれるシーン
・ラスト、全員が部屋から退出するシーン
で、そのうち3回は短いながらもオープニング、エンディングで流れてくる静かなテーマ曲と同じもので、感情が揺さぶられる。
同調圧力に負けず、間違っていたとしても自分の考えを持つ事の大切さを、どれだけの人がこの映画から学んだことだろう。
当たり前を疑い、批判を恐れず発言する8番陪審員は偉大なヒーローであり、この映画を見る度に勇気づけられる。
本気で悩んでいる誰かにアドバイスするとき、親身になればなるほど、言...
本気で悩んでいる誰かにアドバイスするとき、親身になればなるほど、言葉を選ぶし、自分の助言が少しでも相手に影響を及ぼすのだと考えると、果たしてなんと言ってあげればいいかと途方に暮れることがある。アドバイスをするときでさえ悩むのだから、人の命運を選択するなんて、とてもじゃないが身が重すぎる。人間の要領を超えた域である。
しかしそんな損な役回りを与えられたのが、今作の男たちである。
男たちの議論を通して浮かび上がる性格や倫理観。情緒。
95分というコンパクトな尺の中に詰め込んだのが本当に凄い。
一人の男によって状況が一変するというシチュエーションも、今作に限っては当然の成り行きだと思うかもしれないが、ここまで重要な問題が誰か一人の思惑が伝染し、ガラッと変わってしまうのは本当に怖い展開だ。
これ以上に好きな作品はない
いわゆる裁判もののドラマや映画は、とりあえず見る
その原点である作品です
裁判のシーンも殆ど無く、陪審員が閉じ込められた暑苦しい部屋の中で、淡々と進んで行く作品
正直、キャスト以外はどれだけ低予算なんだ?
と訝りながら、引き込まれてしまう
最初に見たのは、小学生か中学生の頃
起訴されれば、ほぼ有罪
報道や噂に流される思考
水は低きに流れ 人もまた、低きに流れる
真実を見極めようとすれば、自ずと見える筈
「疑わしきは罰せず」けれど
疑わしという事は、有罪の可能性がある
それでも、流れていく水の流れを
どうにか留めようとするたった一人の意思は
濁流さえも清んだ湧水へと導いて行った
司法とは、こうあるべきだ
偏見や歪みを乗り越えて、正しい道を
示すものであるべきだと
この映画は教えてくれる
法に関わる全ての人に、定期的に見て貰いたい
傑作
新参者のハマった落とし穴。。
とても面白かった。大多数が有罪という中で、議論のみで陪審員たちが無罪に転じていく、事件の描写も、法廷での論争も見てないけど、議論だけで事件の経緯も分かりやすく、白熱するやり取りも見応えありました!
が!なんというか、新参者が陥りがちな「あるある」と言いますか、実は目に止まったものから順番に映画を見ていった結果、「ロシア版十二人の怒れる男」⇒「十二人の優しい日本人」⇒本作という順に鑑賞してしまい、なかなか本作の斬新さやオリジナリティを正確に評価できない感じになってしまいました。。
特に、「十二人の優しい日本人」とは、出てくる登場人物の性格や言動がかなり似ていて、もはや新しい作品を見たという感覚自体が希薄でした。。しかも、「十二人の優しい日本人」は、陪審員が日本人で、日本人である僕には、こちらの方が見やすく、登場人物の心情も理解しやすいので、「十二人の優しい日本人」の方が面白かったと感じたのも正直なところ。。
なんだか古典名作に対して失礼な鑑賞となってしまい、恐縮至極でした。。新参者として、古い作品を鑑賞する難しさを改めて感じました。。
人間の心だけを描いた映画
これを映画にしたのはすごい
これを映画にしたのはすごい。
一部屋の中、見たわけでもない裁判の内容を、陪審員の面々が、思い出していく。思い出して、本当に有罪かを問い直す話し合いを延々と続ける、それだけの映画。
それを100分弱もの間、見ていられるかという話だが、これが、あっという間というくらいに短く感じる。
終わってみれば、スラムで起きたこの殺人事件は、乏しい証言にもかかわらず、日頃から品行の悪い息子による殺人と、かなり恣意的に決めつけられた判決だったのではないか、と明らかになる。最後は全員が確信を持って、「有罪とするには十分な証拠がないので無罪」と一致する。
たった一人が、「人の生死がかかった判決だから、(決めつけないで)話し合いましょうよ」という姿勢を貫いたからこそ得られた結論。
彼も、決して無罪の確信があったのではなく、「何か違和感がある」というのをそのままにして判決を出すのは嫌だ、という思いしかなかったという事実。
ためになって、面白い映画を、観た。今後も、ずっと残る映画なのだろうな。
アメリカ男子の縮図
今見ても色褪せない、新鮮さすら感じる作品
めっちゃくちゃ面白い。
舞台を見ているような作り、密室劇の神髄
始めて観たのは30年以上前高校生の頃。3本立てのうちの1本でお目当ての映画ではなかった。
ところが登場人物も少ない白黒の映画にあっという間に引き込まれ、二転三転する男たちの意見に、無罪なのか有罪なのかドキドキしながら見た記憶があります。
その後何度か見返してこの映画の素晴らしさが改めて分かったような気がします。
まず俳優たちの演技が素晴らしいですね。それぞれの人の個性が際立っていてアメリカ人のことをそんなに知らない私でも、実際にこういう人物がいそうと、すんなり受け入れられました。クールでありながら正義に対する情熱を持っている8番(ヘンリーフォンダ)は何よりかっこよかった。
演出は最小限の情報を小出しにすることで、観客の想像力を掻き立て、そのあとの展開が気になり前のめりにさせる。こういった手法は映画作りでは基本的なことかもしれないが、ここまでシンプルに作って成功している例は、未だ見たことがないですね。(下手をすれば序盤で観客が興味を失ってしまうリスクがある)
それから計算しつくされたカット割り。時には長回しがあり、いつの間にかスッとカットが入っていたり。舞台を見ているときの観客の視線を意識しているように感じられる。
密室劇の金字塔
男たちの激論
DVDで鑑賞(字幕)。
殆どのシーンが陪審員控室で進行し、少年による父親殺しの裁判の判決を巡る陪審員たちの議論が繰り広げられました。
議論を交わす中で陪審員たちの背景が浮かび上がる構成が良く、密室劇・会話劇ならではのドラマが見応え抜群でした。
陪審員8号だけが無罪を主張し、固定観念を捨て去り理路整然と組み上げられていく彼の推理によって、徐々に他の裁判員の意見も変化していく様がスリリング。
陪審員8号の熱意に心打たれました。陪審員への取り組み方も様々な面子に粘り強く語り掛け、自らの想いを籠めた推理を元に議論を展開する姿がカッコいい。
証拠物件を精査し、凝り固まった視点を解きほぐしていくことで、新しい事実が浮かび上がりました。意識を変えることで見えていなかったものが見えて来る…
※修正(2023/07/03)
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