「圧倒された」ピアニスト 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒された
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主人公のおばさんが高齢処女のなれの果てで、持て余した性欲でどんどんおかしくなっていく話なのかと思ったら、処女ではなかったようであった。
主人公は他者に対する配慮のなさは未熟な童貞と同じで、自分のことしか考えられないクソで、しかも老婆である母親と共依存のような関係にある。そんな内面なのに社会的には芸術家や先生としての地位もあり、アンバランスで、常に発狂寸前のような緊張感のある役どころを本当にそのもののように演じていて素晴らしかった。
しかしそんな人も感情を持った人間として世界に存在していることをきちんと表現している。クライマックスでそんなクソ女がどれほど素晴らしい演奏をするかと思ったらそこは肩透かしだった。その代わりに地味な自殺行為があって、それはそれでびっくりした。
ステレオタイプじゃない、本当のSMってこういうことなんだろうなあと思い、怖かった。変態の狂おしさは見事に表現されていた。
クソ人格の人間の行き着く果てを描いていた。また、世界にクソをぶっかけてやろうという気概に溢れていて、とにかく圧倒的な作品だった。
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