「ハネケ節全開」ピアニスト あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ハネケ節全開
オーストリア人監督、ミヒャエル・ハネケは人を不快にさせる映画をバンバン作ってる人です。そのやり方はほんとすごくて、よっぽどの確信犯的な自信がないと出来ないほど。「この人、友達いるんだろうか?」って余計な心配してしまうほどです。ちなみに、わたくし彼のファンです。
この映画の、音楽と人との関係は、「戦場のピアニスト」などの作品とはまったくの対極。音楽ばっかりして常軌を逸し、それでも尚人生を生きてる女性が題材です。あくなきプロ根性と申しましょうか。究極に突き進んだ人ゆえの痛さと悲しさが、胸につきささります。そして、そんな人は恋愛ですらも屈折してしまうんですね。普通を超越している故に、普通の感情表現ができないのです。
そういった主人公に、ハネケ監督は救いの手を安易にさしのべたりしません。すごい集中力で彼女を突き放しつつ、見捨てずに、最後まで描ききります。それが、この手の作品にややもすれば付着してしまう独善性を見事に払拭しているのです。あくまで見る人の目を意識し、判断を監督自身でするのでなく、観客に委ねているんですね。お見事です。
コメントする