「自分をさらけだすという行為」ピアニスト ウチレオさんの映画レビュー(感想・評価)
自分をさらけだすという行為
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男女間において、自分をさらけだして、相手のジャッジを待つというのが、恋愛の王道だとおもえるのだが、相手によっては思いもよらない、結果になったりもする。
主人公のエリカは中年のこの歳まで、自分の欲望を抑えに抑えて生きてきた。
そして今自分の目の前に、自分を愛していると訴える一人の男が現れることによって、エリカは今まで押さえ込んできた感情を爆発させてしまう。
それが悲劇と映るか、喜劇と映るか。感情のかけらもなく、ただ冷徹な女として生活しているエリカだが、本当はとても純粋で可愛い女なのだ。
一方のお相手のワルターはどうなのだろうか(男の気持ちはよくわからない)確かに彼は彼なりに傷ついたのだと思う、「愛に傷ついても死にはしない」と自ら言っているのだから。それでも、とても誉められたものでない、自身の秘密を暴露したぶん、エリカのほうが彼に対する思いは深刻をましているのだ。
刺激的であっても、なんの喜びを味わう事もない出会い、プライドもクソもない生身の男女の壮絶なバトル。
その迫力には脱帽するしかない。
最後のシーンでエリカが自分の左胸を刺すのは、自分自身への戒めのように私には感じたのだけれど、はたしてそれで正解なのだろうか…。
とてもおくが深いとだけは理解できる。
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