パフューム ある人殺しの物語のレビュー・感想・評価
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極楽の香り
パリに旅行したばっかりなので、パリにまつわる話が見たくて鑑賞。
いいチョイス。
現代のパリ、というよりちょっと昔のパリを見たかったので。
18世紀のパリの、衛生面が〜〜〜...というパリのあの感じから始まるのも「はいはい来ました、パリですね〜!こういうのを見たかったんですよ〜!」という、独特の需要を満たす形でスタート。笑
どうなっていくんだろう、どうしていくんだろう
終始こんな気持ちでずっと見ちゃう。
そして不思議だけど、犯罪者である主人公をどこか応援?と言ったら語弊がめっちゃあるけど、この不思議な物語をまだ見ていたい、捕まらないでくれ、という興味本位から、彼の動向を追っちゃう感じがあった。
絶対では見ないことだからこそ、フィクションだからこそどうなるのか見たい、というか。
クレイジーが行くところまで行った先にはどうなってしまうのだろうか。どう描くのだろうか。そんな怖いもの見たさで興味が湧いてしまった。
たしかに「香り」って、一瞬「ハァ〜.....」ってうっとりするような時ある。立ち止まってしまうくらいいい香りってある。
それは一瞬だからなんとかなってるのかもしれないけど、強く、ずっとそのうっとりがあると、作中のように「楽園」のようになってしまうのかもしれない。
香りって、すぐ慣れてしまう。
慣れてしまうから、すっごくいい香りもくさい臭いも、感じられるのは一定時間。もしかしたら、慣れずにずっとその感覚を感じ続けられるとしたら
いい香りの「ハァッ」ってうっとりする感覚から逃れられなくなってしまうのかな?ずーーっと嗅いでしまうのかもしれないな。
人間にとって嗅覚って、もしかしたらすっごく食欲や性欲と同じくらい依存性があって、狂わすものなのかもしれない。
エジプトの遺跡から出てきたとされる香水の瓶の香りは、極楽にいるのかと思わせる香りだった。と表現されていたけど、どんな香りなんだろうと興味が湧いてしまった。
この映画を見てると、香り、というものに対してすっごく興味が湧くし、口で説明されても体験しないとわからないものだから、自分もその香りを嗅いでみたいという欲求が強くなる。
ファンタジー要素も強いシーンはあったけれども、でも、自分も匂いフェチなところがあるからわかるけど、いい香りを嗅いでうっとりしてしまう瞬間をMAXで表現するとああなるんだろうな、と思う。
楽園、極楽、すべてを許してしまうような。
悪いやつも、ちゃんとしてるやつなのかも!?と思ってしまうような。
香りには、それぐらいパワーがあると思う。
おもしろい映画だった
原作『香水』をずうっと読みたいと思っていたが、まさか映画を先にとは
劇場公開時鑑賞。
クライマックスは、うわあこんなシーン撮っちゃうんだエキストラなのかもしれないけどそれはそれで逆にドイツすごいなあ、とブルブル震える。
殺人鬼青年の半生、くらいの心づもりでいたんだけど、なんだか全然違うところへ連れてこられてしまい、当惑する。パディントン…じゃなかったベン・ウィショーだからなのか。
想像と全然違った
サブタイトルを「ある狂人の物語」にしたほうが良かったのではないかと思う。
(と、見た当時思ったんだけど、実際そんなサブタイトルになった模様)
主人公の狂いっぷりと「匂い」への執着心はリアリティも感じられ、見事。
しかし……最後の落ちのつけ方は……。
なんか、ガッカリ。
育つ環境は大事
近世から近代に時代が変わりつつあるフランスに孤児として産まれたある男が、自身の存在意義を、至高の香りを作ることに見出し、連続殺人事件を起こしていく様を描いた犯罪ドラマ。
中世のまちの映像とともに、童話を読み聞かせるかのような語りは、物語にうずまく不快感や嫌悪感を和らげてくれ、そのおかげで、最後まで見れたと思う。主人公の動機や所作など、個人的には受け付けられなかったため、映像と語りによって、数歩引いた感じで物語を追えたのは良かった
ストーリーについては、好みが別れるでしょうが、私は好きな方である。主人公に関わった周囲の人は、もれなく不幸が訪れ、主人公の都合の良い方向に状況が転がり、その状況はまさに神に愛されていると言っても過言ではない。そんな男の末路がどうなったかについて、ちゃんと答えを出してくれているため、それなりに満足感は得られた。最後の涙は、最初の被害者は一目惚れだったということに気づいたってことなのだろうか。愛し方を間違えたことに気づいたと解釈したい。
ベン・ウィショーの演技が良かったなぁ。
香りに挑んだトム・ティクバの力作
日本未公開の「プリンセス・アンド・ウォリアー」で才覚を発揮したトム・ティクバ監督のベストセラー小説の映画化。18世紀のフランスが舞台でも、主要スタッフにドイツ人が多いためか、フランスの香りよりドイツ・グロテスク美学の色彩が強い。サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル演奏の音楽が贅沢。”香り”を視覚化する映画史上初の試みだが、制作に至るまでの障害を想像すれば、作品完成だけで満足すべきかも知れない。
衣装デザインと美術は素晴らしい。映画作品としては、俳優の演技含め独自の世界観に浸ることが出来なかった。思い切って香りのみに色を染めて、それ以外をモノクロ映像に近い抑えた画質にしたらと思ったが。この題材なら映画よりもむしろ、舞台のオペラなら成立するかもしれない。この世のものとは思えぬ、まさに究極の香りに包まれた観客は、身も蕩け恍惚と化し、深い理解と同情を主人公に抱くであろう。
香水にあんな力があったなんて
勝手に女性で香水を作って人々に売る話だと思ってたら少し違った
香水であんなことになるかな?って思うのはだめなんだろうけど少し考えてしまった
ラストは好きなんだけど処刑のくだりが微妙だったな
彼は天使なのか、悪魔なのか…
前々から気にはなっていた「パフューム〜」を鑑賞…ベン・ウィショーが素晴らしかった!
超人的な嗅覚の持ち主、グルヌイユ(ベン・ウィショー)。
フェロモンに誘われるがままにユラユラと群がる蛾を想像した。
初めて この上なく心地よい香りを放つ女性と出会ったが、彼の中の予期せぬ出来事により、女性を誤って殺してしまったことで、その香りを再現すべく 次々と女性を殺めていくが、その姿に余り狂気を感じなかったのは、グルヌイユの無垢な存在故なのか…。
人殺しなのに、何故か共感してしまう自分に恐ろしさを感じつつも、初恋の“香り”に全てを捧げ、その香りの様に 地上から消え去ることを選んだグルヌイユに、哀しくも心の平安を覚えた。
彼を食い物にした人間は、ことごとく命を落としていったけれど…一体彼は何者だったのだろう…。
芸術作品
再鑑賞。不思議な芸術的作品ですね。ウィショー君だからこの変態さも許せると言う感じですね。もうちょっとコミュ力があったら何も殺害しなくても香水作れたんじゃない?とかツッコミたくなりますが...。ダスティンホフマンが香水のついたハンカチをヒラヒラ〜ってするところ好きです。全体が薄汚れて汚い背景の中に、黄色いフルーツや赤い薔薇が鮮やかで美しかったですね。
聖と俗のさじ加減
むかしワインの仕事をしていました。
香りへの感受性の開拓。そして味覚を言語化する訓練。その中で出会った大著でした。
原作とこの映画作品は、香りそのものへの記述が少し物足りなかったかな。
大著から繰り出す壮大なドラマを経てイメージされる香りよりも、小さな紙片に綴るソネットのほうが僕は香りの表現としては好みです。
それでも興味深かったのは、グルヌイユの醜い容貌と臭気が民衆を争乱させる聖なる香りに隠されていた媚薬であった、ということ。
つまり、パフュームに秘められた屍の匂いや汗・体臭が実は人間の本能を虜にする隠し味なのだという事実です。
ワインのテイスティングの表現にも「革の匂い」「濡れた犬の匂い」なんていうのもあります。
「悲しみを流してくれる雨の香り」というお線香も・・・
《嗅覚》という原初の感覚は突然に古い記憶を呼び覚まし心にさざ波を立てる。これは誰もが思い当たる経験だと思います。
☆☆☆★★(1回目) ☆☆☆★★★(2回目) 《注意》かなり偏った...
☆☆☆★★(1回目)
☆☆☆★★★(2回目)
《注意》かなり偏った考え方をしています。
外国映画。特にヨーロッパ系の作品を観た時に、極まれにですが「これって、キリスト復活を願って製作されているのでは?」…と、思う事が度々有る。
…等とほざいたところで、キリスト教に関しては全く無知なのですが(-_-;)
この作品では、単なる連続殺人鬼の男の話で在りながらも、終盤で処刑されそうになる刹那。それまでに創り上げた渾身の香水の香りにより、多くの民衆が彼にひれ伏す。
更には彼がその香水の香りを一振りすると、全員が【愛と平和】の世界に包まれる。
そして産まれた土地で在るパリへと戻り、自ら飢えた民衆の餌となり消えゆく。
その瞬間にこそ彼は、人々の信仰の対象として記憶に残って行く存在となる…とばかりに。
思えばこの監督は、処女作の『マリアの受難』での強烈なグロ描写で世間を驚かせたが。その辺りは本編でのパリ編のグロさと対比して観ると面白い。
大体《マリアの受難》と謳っている時点で、キリスト教との因果関係が内包しているのは明白じゃあないのかなあ〜?…と。
『ヘブン』での効果的な俯瞰撮影では、まるで神の視点の様に見え素晴らしかった。
今回、久しぶりに『パフューム…』を観直した訳ですが。その2本が奇妙に混然一体となった快作になっている気がしました。いずれは再評価されて然るべき作品なのでは?と思います。
初見 丸の内ピカデリー
2019年4月6日 シネマブルースタジオ
処刑台で香水を振り撒くグルヌイユのシルエットがエスパー伊東に見えた
エロティックなブラックファンタジーなどと、この映画を形容する言葉を探そうとしてもしっくりくるものがない。冒頭の処刑判決シーンからも繋がるラストの性の饗宴が強烈すぎるからだ。“禁断のベストセラー”という名にふさわしく、750人の舞踏集団“ラ・フラ・デルス・バウス”による圧巻のパフォーマンス。夢にまで出てきそうです。
“香りを映像化した初の映画”などと謳っていれば、ある程度身構えてしまう。映画館へと出かける前にしっかり入浴して自分の臭いを消し、しっかり鼻をかんでおいて匂い映画を体感しようと意気込んでの鑑賞になったものの、夕飯に食べた焼肉も気になってしまうほど。しかし、最初は悪臭漂う市場の映像で攻めてくる。これが18世紀のパリの現実なのか・・・と、匂いを感じ取ろうという気持ちさえ失せてしまうのです。
ところが、主人公ジャン=バティスト・グルヌイユ(ベン・ウィショー)が香水調合師バルディーニ(ダスティン・ホフマン)に師事する辺りから、館内の空気も変化し出す。バルディーニがホワ~ンと妄想する世界では明らかに匂いが感じられた。『チャーリーとチョコレート工場』のチョコレート効果よりも短かったけど、この一瞬の感覚が忘れられない。グルヌイユが最初に出会った赤毛の少女の匂いは想像も出来ないのですが、全体的には匂いを体感するよりも想像力を与えてくれる映画でした。
パリの貴婦人のために香水を調合して成功を収めた部分はほんのわずか。それよりもグルヌイユが自分の欲望のために運命の香りを保存することが大きなテーマとなってくる。彼を惑わせたフェロモン。それを保存するためには蒸留法ではなく冷浸法が必要と教わり、学ぶために向かったグラース。町の周りにはラベンダー畑。ラベンダーの香りによってタイムトラベルすることなく、彼は女性を殺して匂い収集を始めるのだった・・・(なぜか女性は処女じゃなきゃダメみたいだったが、最初に売春婦を使って実験するという徹底ぶり)
連続殺人の展開は、グルムイユに体臭が無いという特異体質や何キロも先の女の匂いもわかる超人的能力によって緊迫感はさほどなかった。しかし、無表情で次々と殺すことに悪意がないところはさすがに怖い。完全なフェロモン・コレクター。マッド調香師。捕らえられても、自分の欲望のために出来上がった香水をふりかける・・・さすが、エスパー・グルムイユ。
視覚と嗅覚
ベン・ウィショーは適役だと思った。でも一気読みしてのめり込んだ原作の興奮は映画からは得られなかった。小説冒頭でこれでもか、これでもかと延々と描かれる悪臭の世界は読んでるだけで気分が悪くなるほどで、その中に生まれ落ちる主人公ー不気味な赤ん坊ーというのが効いている。読者も当時のフランスの真っ只中に居る気になって、リアルにいろんな匂いや臭いや香りが渦巻く。視覚が脳内嗅覚の世界を弱めてしまうのか、映画に向いてないテーマなのかなあ。話はすごく面白いんだけど。
なりたい者になれ!!
長いですが、大人の絵本のような抜群の雰囲気を楽しむ映画だと思います。自分が、なりたい者になるのに生まれや常識、時代、雇用情勢は関係ない事が伝わってきました。師匠に認められるシーンが個人的にはピークでした。
純粋な狂気
モノローグが多くて映画だけど、物語も相まって本の読み聞かせみたいだった。
不思議な感じ、どう観たらいいかイマイチよく分からなかった。
主人公に肩入れするわけでもなく、悪いヤツだけど、変な性癖を持った故の悲しい運命とも見れるし、純粋故の狂気とも捉えられるし、主人公は何だったんだろうと考えている。
これ以上ない香水を作って満たされると思ったら満たされりどころか、誰にも愛されない自分に嫌気がさしたのだろうか…
ダスティンホフマンと香水を作る所が一番ワクワクした。
ラスト前の処刑シーンは圧巻だった。
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