パプリカのレビュー・感想・評価
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夢の世界の支配者。
天才科学者時田が開発したサイコセラピーマシンDCミニ。その装置は他人の夢の中に侵入できる画期的な発明だった。しかし、このマシーンにはそれ以上の能力が備わっていた。
装着を繰り返した人間は覚醒したままでも他人の夢の中に侵入でき、その意識下にほかの夢を植え付けることもできるという。
現実社会を悲観し夢の世界こそけして侵されない聖域と誇大妄想を抱いた黒幕の理事長はこのDCミニによる自身の世界への侵食を阻止して逆にこれを利用し夢の世界の支配を目論む。
現実世界では不可能でも夢の世界では支配者になれると考えたのだろうか。
原作は1993年から連載された小説。いま見ると他人の意識下に自分の夢を埋め込むとか、夢から醒めたと思ったらまだ夢の中だったとか、「インセプション」の元ネタに使われたのかも。
十代の頃にハマった筒井康隆作品。フロイトやユングの夢分析なんかは彼の小説で知ったくらい夢は彼の小説に度々モチーフとして使われていたように思う。
本作の原作は読んでないけど、とらわれたパプリカが皮膚の下に手を突っ込まれて身体をまさぐられるシーンは筒井氏のスラップスティック小説の一場面を思い出す。
今となっては「ザ・セル」とか「インセプション」みたいな他人の意識や夢に侵入するという作品が多く作られているが執筆された時期を考えるとやはり筒井氏の先見性には目を見張るものがある。
黒幕である理事長の口からはなにかと「支配」とか「テロ」なんて言葉が出てくる。テロを警戒する者、それはテロによって脅かされる体制の側の人間である。
テロの危険性を声高に叫びながら実は自分の野望のためにテロを起こしていたという矛盾。ありもしない他国からの侵略を警戒して戦争に突き進む為政者の姿を彷彿とさせる。
夢と現実の境界線が失われたようなクライマックス、DCミニの影響が大きくなって世界中の人々が覚醒したまま同じ夢を共有してしまったがために現実と夢が混在したような状況になったのだろうが、そうなる危険性をセリフでもいいから伏線として描いておいて欲しかった。
確かにアナフィラキシーで装置を装着しなくても敦子が夢の侵食を受けたというくだりはあったけど、世界中の人間までがいきなりそうなるのはちょっと飛躍しすぎでは。観客もあの展開にいまいちついてこれなかったのではないだろうか。
あと、敦子が理事長を夢ごと吸い込んで解決してしまうあたりもいまいちわからなかった。原作は読んでみようと思う。
映像はさすがに今監督作品だけに素晴らしい。筒井作品独特のシュールリアリスティックな世界観を表現するにはやはりアニメーションでなければ難しいだろう。実写化されたものは「時かけ」以外ろくなものがなかった気がする。
私の理解力が乏しいのか理解させようとそもそも監督が思ってないのか ...
上映当時に観るべきだった
夢とは儚いのです。
~さよなら興行~「テアトル梅田を彩った映画たち」にてリバイバル上映。
存在は存じ上げておりましたが初鑑賞です。ずばりめっちゃ面白かった。と、言っても多分半分も理解できてないけど。日本が世界に誇る大人向けアニメーション。
他人の夢をスキャンしてその中に入り込むことで精神的な治療を行うセラピー機器DCミニ。しかしそれが何者かに盗まれ悪用されてしまう。現実世界と誰かの夢の中を縦横無尽に飛び回るパプリカ。ストーリーはかなり難解ですが、映像はさすがのクオリティ。色彩豊かで細かな描写、加えてちょっとグロい。あとパプリカがかわいい。
現実なのか夢なのか。その区別さえつかなくなってゆき、やがて正常な生活を送れなくなってしまう。どれだけ素敵な夢でも夢は夢。人の夢と書いて儚い。そういうことです。
難しいス!
原作好き、監督も好き、キャストもしっかりということでハードル上がりまくっていた
【夢と現を、SF要素を全面に出して描き出した大友克洋等、後年のアニメに影響を与えたと思われる作品。精緻な描写にも驚かされる作品でもある。】
ー 「PREFECT BLUE」「千年女優」など、ハイクオリティかつ奥深い作品を生み出した今敏監督。
46歳という若過ぎる年齢でこの世を去った彼が最後に手掛けた長編映画。
だが、この稀有な監督の魂は、後人に受け継がれたと感じた作品である。ー
■財団法人精神医療研究所から、他人の夢を共有できる画期的装置・DCミニが盗まれる事件が発生。それと時を同じくして研究員たちが精神に異常をきたすように。美貌のセラピスト・敦子は、パプリカという名の女探偵となり、人の夢の中で犯人を追う。
◆感想
・筒井康隆氏の原作は読んでいた。
だが、あのスケール感を映画化、映像化していた方がいた事は知らなかった。
・今作の画の細やか過ぎるトーンは、容易に大友克洋氏を想起させる。
- 今敏監督が、大友克洋氏に影響を受けたのか、その逆なのか・・。
だが、今作の夢と現を描くシーンの細やかな描写は、魅力的である。-
・今作を彩る、エレクトロポップは、”P-MODEL"を牽引した平沢進氏が担当されている。今作の近未来感を創出されている事に、大きく寄与している。
<今作は、資料を見ると2006年の公開だそうである。驚きである。
全く古臭さを感じさせない、斬新的な作品構成に驚かされる作品である。>
夢に入り込む感覚
どんどん設定にハマっていき、世界観に浸かれる作品
折り重なる映像の中で夢が表現される。自分の夢もこんなもので誰から観ても夢というのはこんなに秩序のないものなんだなと思うことができた。
ストーリーの中で疑問に思うことがちりばめられているが解決されていく。それは少々観る側の考える力に委ねられている所もあるがそれが心地いい。
もともとノーラン監督のインセプションが大好きで、パプリカに似ているところがあると聞いて観た。両作品の夢への捉え方がよく似ているためパプリカの設定にもすんなり入れた。
またリンクするシーンも多くあり、エレベータを使用するシーンの使い方はハッとした。
ストーリー展開も飽きがないため、1時間半でよくまとめられた作品だと感じた。
アニメならでは
夢で心を映し出す
話題作らしいので観てみよう。でも内容を全く知らない。予習の為に予告編を見たらめちゃめちゃ怖そう。観るのを辞めようか…でも夢と現実が交錯する内容がとても気になり、夜眠れなくなるのを覚悟で観る事に。
ジブリや細田監督のアニメしか知らない自分にとっては色々と衝撃的でした。
まず、絵が怖い。人の顔や人形等、とにかくリアル過ぎて怖い。これまで観てきたアニメの温かさや爽やかさはどこにも無くて、毒々しくて不気味でした。でも知らぬ間にその世界にのめり込んでいました。
人の恐怖や欲望、深層心理を映し出す夢。そこで精神分析行い、心のケアをするパプリカ。彼女の患者(?)である刑事も過去にトラウマを抱えており、治療によって徐々に自分を取り戻そうとしていた。しかし、治療機器のDCミニが何者かに悪用され・・・
人の夢に入り込む。誰かの夢と誰かの夢が重なり合う。現実の世界に夢が侵入してくる。どこまでが夢でどこからが現実なのか。境界線がわからなくなってくる感覚が楽しくも感じました。
今晩の夢にはあのパレードがなだれ込んできそうです。
これは夢か現実か…
ずっと気にはなっていて、なかなか鑑賞出来ず仕舞いでしたがこの度地上...
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