「最後で思い切り泣きました」きみに読む物語 人生の糧さんの映画レビュー(感想・評価)
最後で思い切り泣きました
語彙が足りない。足りなすぎてこの良さを表現するにはおこがましい程。
観覧車であんな行動を取る男性に惹かれる。やっぱりみんながしないことをしちゃう人が好き。
かわいい子に怖気付かないで自由がないとハッキリ言えるノアみたいな人は現実正直少ない。自分の芯を持っているし本人からも自由が溢れていて惹かれる。
車道に寝転んで轢かれそうになって二人で笑って、踊るシーンは若さにあふれていて、私ならこの夜が永遠だったらいいのにと思ってしまう。そのまま音楽が続くところも好き。あの曲はなんだっけ。
二人は真反対だった。ケンカもした。しかしそれよりも二人はお互いを愛しあっていたのだ。
この言葉がとても響いた。なぜならその後の車でのシーンでよくそれが伝わってくるから笑
身分の偏見や仕事の偏見でその人を見る人はおかしいと思う。改めて思った。そのせいで別れなければならなかった、けれどそれがかえって2人の関係を続かせたのではないかと思う。
ものすごく好きなのに、会えないほうがかえって相手を思い出すから。毎日一緒に居られる日々も良いがそのうち飽きがくる。
別れ際にアリーが怒って強がってしまうところは自分に似ていて、必ず後悔する。そんなところが見ていて共感できるしもどかしかった。「あちゃー言っちゃった」ってカンジ。
お母さんも実は同じような経験をしていたことに驚いたと言うよりもお母さんが何を伝えたかったのか、それを汲み取ることができたような気がする。けれどそれを言葉にできないのがとてももどかしい。
白い大きな家をニコリとももせず怒り狂ったように建て続けるノアの怒りは計り知れないなと思って笑いながら見ていた。
だからこそアリーが戻ってきて、戻ろうとするときに「ここにきてまた振り出しに戻るのかよ」と言うセリフがとても沁みた。またアリーの気を引くものを探さなくてはいけない苦労を知っているから。
私が1番好きなシーン、
2人は小船に乗って雨に振られて船着場で言い争う。お互いの気持ちがわかってそのまま家になだれ込んでするシーン。
お互いの行動を知り、誤解が溶けて
憎んでいた気持ちから再び熱く燃え上がっていく心の変化に私も胸が高揚した。激しく言い争っていたから余計にその変化がはっきりと見えた。
気づいたら自分がすごく好きだった人をノアに当てはめて、自分はアリーになっていた。
一緒にケンカして、ノアの言葉をあの人が言っているように思ったら、泣いていた。あの人はノア程私を好きでいてくれたのかなあ。服を脱がせる手もおぼつかないくらい好きでいてくれたのなら、私は心が幸せで苦しくて泣いてしまう。二人を心から好きだった人と自分に置き換えてみることをオススメします。会いたくなります。
次に好きなシーン。
おじいちゃんとおばあちゃんになったノアとアリーが一瞬の幸せを取り戻すシーン。
アリーは、ノアとロンの間で気持ちが大きく揺らぐ。
本を閉じてデュークが「めでたし、めでたし」というと老女は、何かを思い出したように「そうよ、そうだわ」という。それがこのシーン。
ベッドで寝ていたノアが、何かの物音に気づき外に出るとそこには、荷物をまとめて出てきたアリーの姿があった。「30年後、40年後誰といたい?」という問いかけに答えを出したアリーにニヤケながら盛大な拍手を送った。ノアといたいと。それと車から出てくるちょっと不貞腐れた顔がかわいかった。ロンは本当かわいそうに尽きる。
そこでアリーおばあさんが「思い出した。私たち…それ、私たちね」と言って涙を流すシーンはもう「ウッ、、」ときた。泣かずにはいられない。やっと自分を思い出してくれたのだから。(大恋愛みたい)悲しげなピアノの曲を聴いた時点このおばあちゃんがアリーだとハッキリ分かっていたけれど、ここでスカッとした。「だよねぇ〜〜〜」と思いながら泣いた。
ここのセリフも雰囲気も、当時の二人と今の状況の二人が重なって、切なくて面白い。めでたしめでたしの気持ち。
アリー:「ノア、私どうしたの?」
ノア:「少し遠くに行ってただけさ。」
アリー:「残りの時間は?」
ノア:「どうかな、前は5分もたなかった」
そこでノアは、僕達の曲だよといってあの道路の上で踊った曲を流すところが変わってないなと思わせてくれて、ここに来てこの曲を思い出させるなんてずるい映画だな〜と思った。
けれど、数分後再びアリーは思い出を忘れてしまう。
ノアは、騒ぎ出したアリーを看護師たちが押さえつけ、鎮静剤を投与されるのを涙をこらえながら見ていることしか出来ない。その束の間の幸せが終わるシーンが虚しさと切なさとを両方味あわせた。
あの看護師さんの言動も大好き。アリーに会いたいノアに「夜は会わせられないわ。でも私は今コーヒーを入れてくるから、バカはやらないで」という黒人の看護師さん。
いやいや、あんた最高かって。こういう茶目っ気があって、いい手助けしちゃう脇役が大大大好き。
それで、アリーの部屋に行くと彼女は奇跡的に記憶をまた取り戻していた。アリーは、「私たち一緒に死ねるかしら」と聞くとノアは「私たちの愛に不可能は無い」と、アリーと手をつないだまま、彼女の隣で横になって眠る。
そして、死ぬ時まで手を繋いでお互いを愛し続ける二人の姿に涙がなぜか止まらなかった。これは涙の理由がはっきりと言葉にできない。もう言葉にするまでもなく、そのシーン全てに、見て分かるように二人の愛が表現されていたからなのだと思う。
こんなに大きく揺さぶられた映画は初めてでした。
今まで恋愛をしてこなかった私は、ロマンス映画や本漫画、そういうものが大嫌いでした。
でも、初めて本気で人を好きになってようやくその良さに、その美しさと切なさに気づくことができた。愛を知った。あんなに嫌だったロマンス映画なのに。本当に色々なことをこの映画は教えてくれたけれど、それに意味を持たせてくれたのは好きな人だったなと気づきました。
映画を作品と呼ぶ理由が最近になってやっと分かりました。映画はアートであり、人の人生と自分の人生を覗けるものです。