誰も知らないのレビュー・感想・評価
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静かに淡々とした日常の恐ろしさ
この映画の恐ろしさは、色々な出来事が全て一定のトーンで描かれていることかもしれない。
母親は子供を可愛がっているようなのに、恋人と出掛けて帰ってこない。この母、明るくて全然罪悪感ないのが不思議なのだ。この役をYOUが好演している。
長男はそんな母の代わりに3人の兄弟の面倒みてる。お金がなくなると,元の父親にもらいに行ったりコンビニに廃棄食料もらいに行ったり。
悲惨な貧乏暮らしなのに、それが普通のように淡々と描かれてる。そして、事故で末っ子が死んでしまうのもその子を埋めに行くのも日常のようにすぎていくのだ。
なぜ,周りが誰も気が付かないのか。子供が4人もいるのがバレないわけない。誰も知らないというタイトルはみんなが知らないふりってことか。
最後の子供達の後ろ姿、誰か気づいて助けてあげてほしいと思う。
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽ...
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽい演出で、そこにある現実が痛々しい。ドラッグストアでの万引きからアポロ、羽田への旅は泣いた。
事件の詳細を知ると、この事件を取り上げた事に違和感を感じ、演出家に嫌悪感を覚えた。
『四人で暮らしたい』と言いながら、みんな楽しそうにしていなかった。それが不自然すぎる。
育児放棄のバカ親を描くだけなのに、色々な事語りすぎ。人の不幸や、社会問題を描きたいなら、きちんとリサーチすべきだ。飢えをするくらい赤貧が、カップラーメン食べないだろうし、紙を食べる事もしないだろう。『ガダルカナル島』で玉砕間近の日本兵では無い。
長男の年齢では、挙動がおかしいのは仕方ないが、中二病にまつわるサブストーリーが多すぎて、緊張感がなく、主旨がぼやけてしまっている。
最後も『傷だらけの天使』なのだろう。そっくり。
あっては行けない愚行をただ描いて、なんの対策も考えずに『かわいそう』だけで犯罪を正当化させてしまっている。
見るに耐えない。現実はまだまだ過酷なはずだ。
残念ながら、共感できないし、この映画で、涙なんか流してたまるかと思う。
真実は、残念ながらバカ親のDNAをこの少年は引き継いでいるという事だ。
この演出家の延長線上に『PLAN75』がある。世界的に評価があるそうだが、それに対して、異議を持たざるを得ない。見る事に嫌悪感を覚える者もいるわけだから、演出能力が高い演出家とはいえない。
端的に申せば、
ほのぼのと終わらせるべき事件ではない。この映画の表現では、この事件の真実を『誰も知らない』ままだ。
絶賛する左翼リベラリストよ。目を覚ませ!
『ザリガニが鳴くところ』を今読んでいるが、同じような話だが、こちらはどう終わるか気になる。
ドキュメンタリーみたい
パッケージ写真の柳楽君に惹かれて視聴しました。
雰囲気がとてもリアルで本当に素晴らしいです。
YOUさんの演技とても自然で驚きました。
あと福くんに似てる子も居て驚きました。
物語は、なんというか、そこをオチにするのか〜と言う気持ちになりました。終始メリハリ少なくフラットに薄暗いというか…。
この人々の生活の終焉がどんな感じになるのか、とか、みんなの転換が起こる所を見てみたかったなと思いました。
母親は育児放棄。
12才の長男を頭に長女、弟妹の4人で暮らしている。小さい子どもを残して母は家にいない。
柳楽の落ちついた演技や時々みせる笑顔が可愛い。他の子供たちもとっても自然です。お金が無くなり暮らしていくのが大変で苦労する。本当だったら学校に行って勉強し友だちと一緒に楽しんでいるはずなのに…… 何とか解決しようと試みる。が そこに大人が介在しない。
事故で死んでしまった妹を飛行場に埋めて帰ってくる電車のなかで柳楽の横顔がを見ながらこれからどんな大人になっていくのか。と思った。
柳楽のしっかりした演技に脱帽です。ここから今の俳優の柳楽優弥に繋がっているんですね。
痛みを過去を深く掘り下げられた。
これを見てディテールを語ってる人や、ここはこうするべきだと語る人はこの経験を知らない。私は過去にネグレクト、虐待を実際に経験した。この作品を観ることは私を深く傷つけるとわかっていたので遠ざけて来たが、私の人生において腑に落ちたとき、初めてこの作品をみた。ネグレクトや虐待をする母をそれでも恨めないこと、そして "優しい母" が永遠に根強く脳裏に残ることがしっかり描かれている。Youはまさにその典型的な母を演じれていた、母である前に女を取った。「私は幸せになったらいけないの?」私もこの言葉を何度も聞いた、そして私はそれを聞くといつも何も言えなかった、母が好きだから幸せになってほしかったからだ。でもそこには自分たちが含まれてないと気がつく時、孤独と絶望が溢れ出るのだ。更に柳楽優弥演ずる明も典型的に献身で尽くす子である。母が自分の価値を生み出してくれる度、微笑んでくれる度もっと良い子になろうとする。母の駄目なところを見るたびに守ってあげなければと思う所も、よく描かれていた。それらが私を深く痛めつけた。あまりここのレビューでは触れられていなかったが、無邪気な茂もよく演じられていると思う。というか、彼そのものだったのかもしれないが監督が彼を映すときが秀逸だ。彼は無邪気で天真爛漫、そして常におどけて見せる。しかし人の顔色を散々伺うのだ。時にそれは鬱陶しく、何も見えていないが故に逆立てるが其処こそが社会に触れていない子どものリアルを映していたと思う。長女京子がしばし横になったり無言になっているのは生理が始まっていたのかもしれない、もしそうだとしたら、そこに関してもとてもリアルだった。中には病気にならないのが現実味がない、肌が乾燥していないと言ってる人たちもいるが、私は当時不幸な事に病気にならなかった。皮膚も健康そのものだった。具合が悪ければ母の気を引きつけられ、更に病院に救われる、そんな事もありえたのかもしれないが、そんな夢みたいなチャンスは実際にはあまり起きないものだ。又、その後を描かなかったことも私には良い結末だった。これをみる視聴者は怖いもの見たさ、残酷な世界を見るため、反面教師、した側、された側、子持ち、バツイチ、シングルマザー、様々な人が様々な意図で観ているだろう。同時に自分の感情も見ているだろう、そんな人には数年後にもう一度見てほしい。年齢、環境によって見方、感想が変わるからだ。私は5年前にみて今日また見た、5年前は母親、そして父親たちに腹が立って仕方がなかった。が、今は母親も可哀想な人間に見える。そして父親たちには納得さえするのだ。あなたは5年以上出生届を出していなかったのに今になって届けを出す勇気がありますか?届けを出していない様な女と添い遂げる勇気がありますか?それをようやく愛してくれた人に打ち明ける勇気がありますか?出しておけばよかったと言うのは簡単です、でも出してなかったのです。今に反省してもシングルマザーになり、どこから手を付けるのかわからない可哀想な人間もいるのです。その餌食になってる子どもたちも居り、そして彼らはそんな母を許し愛し恨み続けてしまうのです。実話と言う事で本当に亡くなってる子、しんどい経験をした子達に言いたい。あなたはあなたの人生を生きる事ができる、そしてあなたは同じDNAを持ってると不安になることもあるだろう。でも、あなたはその悲惨さ故に普通の人が計れない痛みも知っている事を忘れないでほしい。あなたが今を生き伸びれたことを私は誇りに思う。そして亡くなった子にご冥福をお祈りします、今は別の人生として家族に愛されていますように。
事実と違うのは仕方ないけど
題材としての実話があるけれど、事実とはあまりにかけ離れておりなんのセンセーショナルも感じなかった。
ゆきちゃんがなくなった経緯もまるで自然死のようだし、母親の仕事や男グセなどもなにも出てこなくて、こんなんでどうして賞を取ったのかまったく理解できない。
闇の子供たちくらいのセンセーショナルな映画にすることが出来るはずなのに。なんてつまらない日本映画
ラストが是枝監督らしい
ほかの方がおっしゃる感想そのまま。苦しみ、悲しみ、怒り、やるせなさ、そして日常。それらが淡々と描かれている。
『実際に起こった事件を元に…』の注釈を入れているにも関わらず、彼らの存在(や、ゆきの死)が明るみに出る経緯などは一切ない。ラストも「らしさ」全開だと思った。是枝監督の作風に慣れてなかったら、たぶんめちゃくちゃモヤモヤして星なんて0.5か1かみたいになっていたと思う。
「周りの大人たち誰も助けない。店員、飯上げてる場合じゃねーだろ通報しろよ」って感想もよく見るけど、私は声をあげる大人である自信がない。それじゃ監督がこの映画を作った意味もなくなってしまうのかもしれないけど、「助ける」と言い切る自信がやっぱりない。あの状況のどこまで気づいたら、手を差し伸べられるだろう。本当に自信がなくて………。
nobody cares
名作と言われているので我慢してみたが、正直長い。だらだら続くだけ。映画を見た後、映画のもとになった話を読んだがやはり予想通り誰も子供たちに関心なく、子供たちも仲が良かったわけではなかった。実話では長男に三女は殺されている。映画は実際に起きた事件をモチーフに作製されたのであって、実際の事件とは違うことはわかっているが、コンビニの店員が長男を気にかけていたり、アパートの同じ住人が子供たちに声をかけたりなどは見ていてありえない、と思いながら観ていた。もし真に長男が弟や妹たちのことを考えていたのなら保護を求めたであろう。事故死した二女をスーツケースに入れて羽田空港近くに埋めるのも美化しすぎ。子供を純粋な存在と思うのは大人の幻想。
知らぬ間に咲いている道端の花
どこからともなく飛んで来た種から芽が出て、いつの間にか咲くものもあれば摘み取られるものもある、野花のような子供達。
温室で大事に育てられた花とは違うけれど、その生命力は逞しく純粋で美しい。
平穏だけれど静かに喪失感に蝕まれていく「誰も知らない」子供達の世界が淡々と描かれていました。
一見優しく楽しいこの母親、子供の人数を偽る以外に何が問題なのだろうと最初は思うのですが(もちろんトランクは有り得ないけれど)、物語が進むにつれ、長男長女が家事をこなして母親の面倒を見ているような家庭であることが分かります。母親の夕飯を心配する息子。明と母親の会話が完全に逆転していました。自分の子供からのSOSに、まるでひと事のように答えるけい子は、たまにお土産を持って遊びに来るおばさんといった感じでした。そんな「母親」のおままごとに嬉しそうに付き合う子供達。子供の健気な寛大さと愛情深さが、状況の深刻さを良くも悪くも和らげていました。
冷静に妹弟の面倒を見る明の「保護者ぶり」は大人顔負けです。彼らが寂しがらないようにとお年玉を偽る優しく賢い兄も弱冠12歳。学校に行けず同世代の健全な友人にも恵まれず、家計のやりくりに疲労困憊し、食料と水の調達に明け暮れて、自暴自棄になっていく彼を責める気には全くなれません。
大家、コンビニ店員、野球監督。
一体どの大人が然るべき対応を取るのだろう?!とモヤモヤしました。既に15年前の作品となりましたが、今でもこんなに我関せずかな…と悲しくなります。少しお節介な大人は居た方が社会のためかも知れません。
紗希が親に福島家について相談しないのだろうかと不思議でしたが、毎朝通学のふりをして外出し、援交も躊躇わない彼女は、家庭でも幸せではないのでしょう。
子供達の捨てられた世界は、異臭が伝わってくるほど悲劇的であるにも関わらず、最後までなんだかファンタジーのような非現実感がありました。子供ならではの楽しむ才能に彩られ、また紗希のように進学しても(恐らく)家にも学校にも居場所がないような子供にとっては安らぎの場であるようでした。
久しぶりに家の外へ出れて、太陽を浴び、はしゃぎ回る茂。お買い物ですら新鮮で楽しい。兄弟4人で公園で遊ぶ。外で元気に遊べることが子供にとってどれだけ自然で幸せなことか…。
花から種を摘むシーンで、誰か捨ててったんじゃない?と言う京子に、あ〜かわいそうだね、とさらりと答えるゆき。自分も憐れんだ花と同じだと気付いてしまったでしょうか。
トランクで家に来て、トランクで去った妹。
明は飛行機を見る度に、幼く死んだ妹の真っ直ぐな視線を思い出すのかも知れませんね…。
よかった
『万引き家族』を見た流れで前から気になっていたので見た。事前に悲惨であると聞いていたので覚悟して見たせいか、想定したよりは悲惨でなかったが、それでも悲惨で胸がいたんだ。児相にお世話になって欲しかったが、十年前は今より手厚くなかったかもしれない。
YOUが魅力的な分タチが悪い。子どもが4人もいてシングルならそれは大変だと思うのだがあまりにやり方が杜撰だ。それに貧乏人はなぜ袋麺を買わずにカップ麺を食べるのだ。
長男がお勉強していて健気だった。子どもがとてもいい子で、あんなもんか?と思うほどだった。それにすぐ肌がかさかさになったりぶつぶつができたり、虫刺されで痒くてかいて血を出して傷だらけになってしまうものだが、そういった描写はなかった。風邪も引かず、熱も出さないし、怪我もしない。重症にならない範囲で具合が悪くなっていた方がお医者さんに行かざるを得なくなり助かっていただろう。
豊かな国の貧困は親の喪失
有料契約をしなくても本格的な作品を放映しているのがすごいと思うし、若干気が引けるが、GYAO!でキネマ旬報ベストテンに入った作品群を放映しているという事と、柳楽優弥が14歳でカンヌ国際映画祭の男優賞最年少という受賞をしたのは薄っすらと新聞かテレビでやっていたかなと思い出したので観てみる。柳楽は『おんな城主 直虎』で私は認識したが、その後『ピンクとグレー』も観た。今の風貌のほうがかなり個性が出ていて、しかし14歳の頃も少し変わったルックスではあるかも知れない。是枝裕和監督については、何も最初から最後まで観た映画はないが、『海街diary』が異母姉妹のドラマらしく、どうしてそうした複雑なことを描くのか、スケベ親父のせいだし、女も女だと思って、そういうのを美化して描くのは偽善的だと思い、印象の良くない監督なのだが、少し調べたらこの映画も、シングルマザーになったのもわかるようなルーズな母親が失踪してしまい、残された子供4人の苦労の話らしい。現代の家族崩壊の病理を追った作品だろう。映像は、薄暗い色合いで高級感はない。ドラマの筋からいってわざとなのだろうか。海街にしても、この映画にしても、異母とか異父とかあるようでも4人という兄弟姉妹の人数は現在ではかなり多いほうになってしまっているだろう。淡々と独自の生活が続き、面白いなとは思えない映像が続く。映画というよりもリアルに描いているのだろう。見過ごしたが、出てくるコンビニは、14年後の現在のような、ファミマやローソンに吸収されていく以前のどこかのコンビニなのか。それはすでに歴史が動いている気がした。背景に音楽を流さない作りのようだ。主人公が父親に会いに行ったと思われるシーンがあるが、タクシー運転手をしていた。と思ったら、パチンコ店員の別の男も次に会いにきて、異父兄弟の別の父なのか。複雑な社会になると、よくわからない映画になる。理解不可能になるだろう。結局、母親の失踪で金が無くなったので、仮にまわっているのだろう。パチンコ店員はおじかなんかか。わからずじまいだ。元愛人か。しかし、こうした設定を苦労に強いとか、偽善的に映像化するのは良くはないだろう。というか、そう思ってみてはいけないだろう。不憫だとみれば、映像化の意味もあるのかも知れない。健気だとはいっても、悪いのはルーズな母親であり父親が元凶なのである。そこを見過ごしてはいけない。失踪したと思ったら、いったん戻ってきたが、長男は複雑な表情をしている。弟や妹はやや幼くて感情がわからない。しかし、母親はルーズながらも、長男の髪を切ってあげたりしている。貧乏だと1000円カットにもいけない。映像は薄汚くリアルに徹し続けている。1ヵ月も家をあけていたらしく、長女も不信がる。長女のさみしさを表すような演技も自然にみせている。また一重瞼の眠たい気味なそんな顔の子役である。数々の男と関係し、金もそれでなんとかしようとする母親だったとしたら、子供は辛いわけである。学校にも行かせてもらっていない。「だいたいお母さん勝手なんだよ」。「あんたのお父さんだっていなくなって勝手でしょうよ。学校なんかいかなくたって偉くなった人だっているのよ。田中角栄とか。アントニオ猪木とか。知らないか。」そしてまたどこかへ行ってしまった。四人の子供たちだけの生活が続く。どん兵衛のつゆにごはんを混ぜて食べるシーンや、長男が末っ子の5歳の女の子と手をつないで歩くシーン。女の子がアポロチョコがあと一粒だといとおしそうに口に入れるシーン。コンビニの名前は「新鮮組」だった。現在はローソンのフランチャイズをしているらしい。2004年。小学生の活動の場にコンビニが影響しているシーンが幾つかでる。生活苦でもないのに万引きを催促する悪い仲間。だがその時は主人公は万引きを断る。少し調べてしまったが、やがてその防波堤が、貧困ゆえに崩されていってしまうのか。やがて彼らは中学生になり、学校に行っていない主人公を嫌いはしないが相手にしなくなる。一方で、いじめを受けている女子中学生をみかける。アパートには隣への挨拶は母親が主人公を連れてしていたが、若干の遭遇があっても、部屋の中の状況までは近隣も気づかない。主人公はコンビニのアルバイトの募集年齢に1年満たない。タイトルが「誰も知らない」の意味が少しわかってきたような気がしてくる。コンビニの親切な女性の店員にも母親が帰ってきたと嘘をついてしまったりする。四人兄弟姉妹で暮らしたいからと、児童相談所にもいかない。リアリズム映像で続けるが、こんな子供たちが本当にいるのかというのが、リアルなのかどうかというのが交錯している。豊かな国の貧困は、家庭崩壊が原因の一つだ。親と子は壊れている。しかし兄弟姉妹はこの映画では壊さないのだ。しかも異父である。『海街』にしてもなぜ是枝監督はこうしたモチーフを繰り返したのか。とうとう電気、水道などが止められる。知り合いになっていく女子中学生は、いじめで制服を着ながら学校に行っていないようである。ここら辺も豊かな国の病理だろう。さらに女子中学生が貧困の兄弟姉妹のために援助交際でお金を作ってしまうところは、怒りと悲しみが混在してしまう。そして主人公はそれを察してお金をうけとらずに走って別れてしまうのだ。この場面は思春期の衝撃とも受け取っても良い。感情もなく淡々と描いているが。豊かな国の病理。14年後に既に末っ子役や次男の役者は引退しているようである。それもリアリズムになんとなく感慨を与えるようだ。ここで気づくと背景に音楽が流れている。なぜか状況はますます苦しいのだが、映像が若干明るくなっているような気がする。技術的な差異に過ぎないだけか。どん兵衛の天ぷらを生でかじる次男。そばが食べたいというとどん兵衛。カップ麺がごちそうで、おもちゃのピアノで遊ぶ次女。弟や妹に献身的に尽くしてきた長男に、いら立ちが積もってしまう。服を売りに行くんだといって長女と長男は喧嘩になる。実際にあった事件がモデルになっている面があるそうだが、誰もまさか学校に通っていない14歳くらいの人がいるとは思えない。なぜ野球を知っていたかなどは突っ込みどころにもなるが、偶然に長男は少年野球のチームに助っ人で出してもらえて喜んで家に帰ると、末っ子が家の中で事故を起こして死んでしまっている。長男は母親の愛人宅に公衆電話するが、お金が切れてしまう。そして長男はそれまでしなかった万引きをして店を飛び出す。手を見つめる長男。女子中学生と再会する。以前の援助交際えの金を欲しいという。それでアポロチョコをいっぱいコンビニで買う。次女の弔いをするのだ。時すでに遅しなのか、母親から仕送りのような数万円が届く。長男に、「頼りにしてるわよ」と書いてあった。トランクに詰められた次女の遺体と、女子中学生と一緒に長男は電車に乗って空港に行く。飛行機の飛ぶ横の草むらを二人で掘って、次女を埋葬する。脈絡はわからないがなんとなく、古い洋画の『スタンド・バイ・ミー』が思い浮かんだ。私は複雑な周辺が生んでしまう複雑な物語は好まない。複雑を見せてくれても好みはしない。このどうしようもないタイミングでようやく映像は美しく映される。飛行機という巨大資本と、コンビニの廃棄おにぎりをいくつも礼を言ってもらう残された3人の兄弟姉妹と女子中学生の4人。その後はわからない。豊かな国にしておきながら2004年当時いまだに貧困映画が作られていた。
最初から最後まで重い
親に捨てられて子どもだけで生活していく日々を延々と描いた映画。
約束された悲劇をずっと眺め続ける苦しさ。重すぎます。
正直言って重すぎて面白くはないが、良い演技をする人が多く引き込まれる。
育児放棄に警鐘を鳴らす意義深い映画だと思う。
しかしバイトの人も、女子高生も、大家も、その他もろもろ
あんな状況の少年達を通報しないのは、優しさでもなんでもない。
金があろうがなかろうが、小学生が保護者の監護なしで
いっぱしの大人になれる可能性などゼロに等しい。
映画のための演出だと信じたい。
ところで、この映画を観て、誰も悪くない、という意見がネット上で
割りと普通に主張されている。
そういう意識が変わらない限り、悲劇は減らないと思う。
重苦しすぎる。
こんなに重々しい映画はダンサーインザダークとこの作品しかたった今は思いつかない。
映画として見てるだけなのに心が苦しくて苦しくて重くてどうしようもなくなった。
YOUの演技が物悲しさを引き立てていた。
こんな、悲しい事件、くそ。
ネグレクトを受けたことのある人なら分かる。こんな、悲しいこと、あっちゃいけない。
酷過ぎた。
まさかの妹の死。
オープニングと繋がったときの虚しさ。
よく、できた映画と思う。
柳楽優弥くんの演技とか、本当にすごいと思いました。
他の子役さんもリアルでした。
すごい作品だった。
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