「誰にも知られない子どもたちの、誰も知らない生活」誰も知らない mayuoct14さんの映画レビュー(感想・評価)
誰にも知られない子どもたちの、誰も知らない生活
当時は子育てと仕事に忙しく、でも子育て中の自分のことと何か重なると思い、またメディアや映画関連のコンテンツや周囲の映画評などでかなりの高評価ということも気になり、ずっと「見なければ」と思っていて、封切りから約20年近くがたった今、ようやく見ることができました。
説明台詞は殆どなく、「この子たちはこれからどうなって行くのか」を脳内で反芻したり想像したりしながら見ることになります。
子供たちを全力で助けようとする大人は出て来ず、主人公が触れ合う少し年上のお姉さん(中学生の設定だが絶対そうは見えない韓英恵さん)も、寄り添うだけ。
こんな「いつ死んでしまうかわからない」子どもたちを、大人たちは「誰も知らない」し、子どもたちだけの(その中学生のお姉さんも後半は一緒になるが)小さな幸せやささやかな楽しみも「誰も知らない」という、重層的な意味を含んだ物語を、実際の事件からふくらませてよく作り上げたものだと、今のこの時点でも唸らされます。
是枝監督が描く、良いところもダメなところも併せた自然な子どもらしさも、なかなかだと思いましたが、抑制が効きすぎた演出のせいなのか、子どもたちの不満そうな様子が殆どなく、あんな風に「荒れた生活」に慣れてしまうものなのか、そこが少し引っ掛かりました。
それでも、実によく出来た、内容の濃い素晴らしい作品には違いないと思います。
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