誰も知らないのレビュー・感想・評価
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子どもたちのパラダイスと過酷な現実
世間的には悲惨な事件として認識された巣鴨の子ども置き去り事件。実際にそれは悲惨なものであるのだが、そのレッテルが覆い隠したものにこそ是枝監督は焦点を当てる。
子どもを置き去りにする母親の無責任さを断罪すべきという声が、欧米の観客からもあったという。子どもの人権を考えれば断罪すべきかもしれないが、監督にとって映画は誰かを裁くためのものではない。ここで描かれるのは、子どもたちの幸せだった時間。人間の生活は新聞記事ほどシンプルに切り取れるものではない。残酷な事件だが、されだけで彼らの人生は残酷なものばかりだったわけでもない。
断罪にこだわれば別の真実を見落とすだろう。努めて観察的な監督の視点は社会を見つめる上で重要だ。怒りも忘れてはならないのだが、多面的な視点はもっと重要だ。それが残酷な現実であればなおさらそうだろう。是枝監督の視線のあり方は本当に誠実で貴重なものだと思う。
自身の記憶になる作品
初鑑賞が20年も前。今まで何度観たことか。
いつ観ても色褪せない。
子供の撮り方が秀逸。
ぴたり寄り添う音楽。
柳楽くんの深い瞳。
気温、湿度、匂いをここまで感じる作品はなかなか無い。
最初から最後まで没頭できる。
辛い内容でありながらひたすらに美しい。
無知と無関心
実話をもとにした作品との事。実際の凄惨さよりは淡々と描かれていたのか、本人達は生まれた時からその生活が当たり前で違和感を感じていないがゆえに淡々と見えてしまうのか。
子供達の自然な演技が素晴らしい作品。でも、もう観たくない。辛い。関わりのある大人は居たのに、誰もが責任を逃れ、見て見ぬふりをして。でも、自分だったら…とも思えない。社会と個の断絶は映画が作られた当時より進んでいる。せめて、家族を大切にしよう。手の届く範囲には手をのばそう。
とても辛い。
苦しかった
これが実際に起こった事件を元にしているなんて信じたくないくらいの悲しすぎる内容でした。
号泣するような悲しさではなくひたすら絶望へと足を進めるしかない救いようのなさが苦しかったです。
誰か児相へ相談してくれれば良いのに、と思っていたけれどもし自分が目撃してもきっと何もできないんだろうな、と思いました。
映画での登場人物が走るシーンがなんだか印象的でした。
苦しみから逃れたくて走っている時、遊んでいて楽しくて走っている時、家族に見捨てられたくなくて走っている時、何か考察があるわけではないのですが撮り方が良いなーと思ってました。
子供達の演技がすごくよかったです。
静かに淡々とした日常の恐ろしさ
この映画の恐ろしさは、色々な出来事が全て一定のトーンで描かれていることかもしれない。
母親は子供を可愛がっているようなのに、恋人と出掛けて帰ってこない。この母、明るくて全然罪悪感ないのが不思議なのだ。この役をYOUが好演している。
長男はそんな母の代わりに3人の兄弟の面倒みてる。お金がなくなると,元の父親にもらいに行ったりコンビニに廃棄食料もらいに行ったり。
悲惨な貧乏暮らしなのに、それが普通のように淡々と描かれてる。そして、事故で末っ子が死んでしまうのもその子を埋めに行くのも日常のようにすぎていくのだ。
なぜ,周りが誰も気が付かないのか。子供が4人もいるのがバレないわけない。誰も知らないというタイトルはみんなが知らないふりってことか。
最後の子供達の後ろ姿、誰か気づいて助けてあげてほしいと思う。
やっと観た。
評価が高いのは知っていたので、以前から観ようと思っていたけど今回やっと視聴。ストーリーと実話に基づくという事も知らなくて、衝撃を受けた。
子供の頃の柳楽くんの演技、初めて観た。コレは賞も受賞するな。心に訴えかけてくるものがすごかった。
観ている間中、ずっと胸が痛かった。
健気で素直で、明るい子供達。親は子供を選べないかもしれないけど、子供も親を選んで産まれられない。ダメな親でも親。母親の帰りを今か今かと心待ちにしている。自分を犠牲にしている母親を、家に監禁された状態で。なのに、母親は全く顧みず一向に帰ってこない。
そんな中でも、子供達なりに仲良く生きていて、お兄ちゃんの責任感と子供の純真無垢な輝きに胸が打たれた。
育てる責任を全う出来ない親は、子供を産まないで欲しいと切に願う。
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽ...
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽい演出で、そこにある現実が痛々しい。ドラッグストアでの万引きからアポロ、羽田への旅は泣いた。
隠れて暮らすメリットとデメリット
是枝裕和監督作品『万引き家族』も好き。
YOUさん演じるお母さんは可愛らしい人だけど、実際何を考えているのか彼女視点で生い立ちから全てを観てみたい。
誰でも隣の芝生は青く見えるし、ないものを欲しがる。思い通りにいかないこともあれば、楽しいこともある。
隠れて暮らすメリットとデメリットを考えさせられた。
役者柳楽優弥の誕生。
劇場公開時鑑賞。
登場場面は少ないが、YOUがいい仕事してる。
柳楽くんが立派に成長してすごい役者さんになっているのを観るたびに、その誕生の瞬間に立ち会ったんだなあと、もはや親戚のつもりになってしまう。
こんなの特殊な話でしょ、と言いきれない方向にどんどん向かっているのがやりきれない。
酷い母親
若き日の柳楽優弥が可愛い。子役からやっていたんだって今知った。ゆう扮する母親は子供を捨てて男のとこへ。
ダメな母親。最低。4人兄弟の妹がなくなりトランクケースで埋められる始末。悲しき貧乏で子供だけの生活の過酷さが物語ってる。ドキュメンタリー映画みたいだった。
夢中で最後までみてしまった。
リアル
一番印象に残ったのは警察に行くことを勧められた明が、4人でいたいから行きたくないと言ったところだ。映画を観る中で私は、早く正しい大人に保護されてほしいと思ってばかりだった。でも明たちの幸せはそれじゃないんだなぁ。少なくともその時望んでいたことではなかった。ゆきが死んでも抜け殻みたいになっても、母が残したあの部屋で生活する選択をしていく明たちがすごくリアルだった。私はぬるま湯に浸かっていてばかりだなぁと実感。もしかしたら同じ教室にいるあの子が虐待されてるかも、近所のあの人が、そう思ってしまう。逆に同じ教室にいるあの子が虐待してしまうかもしれないし、自分がそうなるかもしれない。他人事ではいられない。この危機緩和このままの体温で生きていくことが私にできることなんだと思う。もし同じようなことに直面した時私は何をするんだろう、何をしてしまうんだろう。定期的に見るべきだし、私と同世代のこれから結婚をして子供を産む人たちに見てほしい。
最近はチンピラ役が多いような気がする柳楽優弥が、こんな純真な姿を見...
最近はチンピラ役が多いような気がする柳楽優弥が、こんな純真な姿を見せていたとは新鮮。
一見優しそうで良い母親とも思えるYOUだが、実は男にだらしなく、かなり無責任。
子どもたちを学校にも行かせず、長男以外は外出も許さないというクズっぷり。
その中で長男として懸命に弟や妹を支える姿には胸を打たれる。
本当は行政を頼った方がいいのだが、それでは兄妹が離れ離れになってしまう。
最後まで希望のない展開は残念。
じゃあ
どうすればいいのか。。みんなで一緒に暮らすためには、、、「誰も知らない」のか、、環境が過酷な程、知恵はつくのか、、万引きする子は、進学していく。明には、思いやりや責任感がある、向上心もある、これはやむを得ず背負わされた結果なのか、、ときおり輝く子どもらしさ、子どもが、特に長男の明は、子どもでいられない、くたびれていくシャツ、伸びていく髪、アジアの他国を連想する、、お金をあげ、食べ物を渡せばいいのか、、全責任は母親だけにあると、いえるのか、、ずっと問いかけられ続けた。ショッキングな映像よりも、子どもの瑞々しさを印象的に映す作風からは、重たさ、だけではないものが伝わってくる。
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