地獄の英雄のレビュー・感想・評価
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これはかなり 心に残る作品だ
邦題が非常に気に入らない・・地獄の英雄・・ 原題はエース・イン・ザ・ホール。なんと素晴らしいタイトルだろう。 タイトルを含めて の作品であり このような邦題をつけることは 作品の改ざんだ。きっと権力のあるもの はこのようにして自分の自己満足で作品を作り変えたいという欲望が働くのであろう。そして なんと公開当時も 作品の評判が芳しくなかったからって 映画 会社が勝手にタイトルを変えたたらしい・・The Big Carnival・・・豆腐の角に頭をぶつけて死ね。
以下、ネタバレ注意
わかるよ・・ 作者が苦労したことが。最初は軽いノリで物語を始めて、これでいいんか?って自分で 悩み 出してね。そしてこのように正義感を入れてまとめたんだけどうまくまとまりきらなかったって言うんだよね。非常に作劇の努力の後が残る作品となった。でも、なんか最終的にガツンとくるものともなった。・・ 観客が作品に何を期待しているか 、カーク・ ダグラスに何を期待してるかというものを監督が知り尽くしている。そして見事に計算して、ここぞというタイミングで話を転換させた。そこのところがニクいぜ。
これはビリー ワイルダーの作品の中でも多分 異色 の作品で、そして もしかしたら最高傑作かもしれない。
マスメディアのセンセーショナルリズムを見事に描いた、とってもシニカルな傑作映画
監督・製作・原作ビリー・ワイルダーの1951年製作のアメリカ映画。
原題:The Big Carnival(Ace in the Hall)
酒癖の悪さでニューヨークの新聞社を首になった記者(カーク・ダグラス)が、ニューメキシコで男(リチャード・ベネディクト)が洞窟で生き埋めになった事故に遭遇し、保安官を活躍記事で選挙で有利にしてやると説得しわざと救助を遅らせて、一大事件・イベントに仕立て上げる。
煽った記事につられて、多くの野次馬が集まり、多くの新聞記者等も集まる。生き埋めになってる男の妻(ジャン・スターリング)が仕切る売店も閑古鳥が鳴いていたのが、一気に大繁盛。更に抜け目なく、押しかける人々から通行料も巻き上げる。
カーク・ダグラスは保安官やスターリングと結託し、ニュース源を完全に独占。更に、元居た大手新聞社から、記事配信と引き換えに復帰の約束も取り付ける。カークは記事を配信続け、話題の場所を一眼見ようと、まるでレジャーランドの様に、多くの人間がこの場所に押しかける。70年前の映画であるが、現代一層顕著になったマスメディアのセンセーショナルリズムを見事に描いていて、とっても驚かされた。
最後ハッピーエンドで終わらせるはずだったカーク・ダグラスだったが、生き埋め男は重篤な肺炎になってしまう。愛する妻にと買ってあったプレゼントを渡してと頼まれ実行するが、妻の方は感謝の気持ちは皆無。妻に怒り覚え首を絞めるが抵抗され持っていたハサミで刺されてしまうダグラス。生き埋め男も亡くなり、良心の呵責からか牧師手配とかで奔走したダグラスも重傷だったのか、最後倒れてしまう。
妻をひたすら愛したまま亡くなってしまうリチャード・ベネディクト、それに全く応えようとせず都会に行くことを計画してる冷徹で現実的なジャン・スターリング、エゴイスティックながらワルに徹することができず宗教心を思い出すカーク・ダグラス、その3人それぞれの人間模様もなかなかに味わいが深いものがあった。
ハリウッド映画では見たことが無いタイプ、シニカル度がとてもとても高い傑作映画と思えた。
脚色:ビリー・ワイルダー、レッサー・サミュエルス、ウォルター・ニューマン。
撮影チャールズ・ラング、音楽ヒューゴ・フリードホーファー。
出演は、カーク・ダグラス、ジャン・スターリング、リチャード・ベネディクト、
ボブ・アーサー、ポーター・ホール。
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