「おしゃれの鮮度の短さを感じる。」ムーラン・ルージュ あふろざむらいさんの映画レビュー(感想・評価)
おしゃれの鮮度の短さを感じる。
バズ・ラーマンの映画。
当時はおしゃれなミュージカル映画として人気だった。
製作費75億6千万円で興行収入は270億円。
かなりのヒットだ。
が、今見ると古臭さを感じる。
おしゃれな演出というのは、賞味期限が短いのだろうか。
ファッションに似ているのかもしれない。
2001年はローライズドジーンズやへそ出しタンクトップ。近年リバイバルしているが、20年前の写真などを見ると古臭さは否めない。日本ではガングロギャルなどが流行っていた。こちらはさすがに今は見かけない。
そう考えると、同様のミュージカル映画「グレイテスト・ショーマン」(2017年)を2037年に観たら、やっぱり古臭いのだろうか。
なぜ1899年のムーラン・ルージュを題材としたのか。
そして、延々と愛をうたい続けるだけで物語が展開し、やがて終わってしまう。
けばけばしい映像と派手な演出が続くにも関わらず、物語が「愛」一辺倒だからか、メリハリがない。
作中で、パトロンになった男爵から芝居の変更を命令されるシーンがあるが、同じことがこの映画の撮影中にも起きたのではないかと勘繰ってしまう。それぐらい特に刺激のない平凡なミュージカルになっている。
時代の波に乗るというのは、ヒットのひとつの要因だ。
過去のヒット作を観て違和感を覚えたら、その理由を探ると面白い。
賞味期限の短い要因でヒットした可能性があるからだ。
本作は20年以上前の作品だ。当時のことを思い返しても、現実と感覚の誤差はあるだろう。それでも考えることに意味がある。
映画とは目の前の映像を漫然と眺めるだけでは理解できないものだ。
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