ミニミニ大作戦 : 映画評論・批評
2003年6月16日更新
2003年6月21日より日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
きっちりオリジナル版の味を継承!
確かにこれは「ミニミニ大作戦」だ。奪った金塊を載せたオースティン・ミニ・クーパーが、普通じゃ通れぬ狭い空間をヒョコヒョコ走り抜けるのが見せ場なんだもの。でも、それ以外はほとんどまったく69年版オリジナルとは関連なし。前作は子供のケンカのような自動車産業国家どうしの代理戦争物語。イタリアの自動車会社の金をイギリスの泥棒チームがイギリス車で奪い取るという図式自体が冗談だったのだが、今回はそもそもイギリス人さえ出てこない。ミニ・クーパーもあくまで小回り抜群な動きの特殊性、そしてお洒落でユーモラスな外見、としてしか登場理由を持たないのだ。
では本作がオリジナルの味を継承していないかというと、ちっともそうじゃないのがエラい。2、3のキャラ以外、十把ひとからげ状態だった泥棒団の面々は個性豊かに大変身(特に颯爽としたC・セロン、最高!)。復讐譚に様変わりしたストーリーさえ、血も流れず暑苦しくもない。緻密ではあるが理屈に堕ちない展開も小気味よく、こんなにスマートでスケール感のある泥棒映画はこの20年、皆無だったといってもいいんじゃないか!? ただ69年版の、作者の神経を疑うような脱力オチがないのは寂しいが……ま、あんなムチャクチャな幕切れ、そうそう許されるもんじゃないよな。
(ミルクマン斉藤)