ザ・メキシカン : 映画評論・批評
2001年4月16日更新
2001年4月21日より日本劇場ほか全国東宝洋画系にてロードショー
当代一のビッグスター初共演!
ブラッドとジュリアの初共演作はラブストーリーなのに、恋人たちが大喧嘩して別れるところから始まる。この大胆発想に、いかにもスター映画なロマンティック・モードを期待する向きはガッカリするかもしれない。が、実はこれが正解。
伝説の銃を求めてメキシコへ向かうジェリーのパートは、タフななかにトホホな笑いを交え、ダスティに。彼に愛想を尽かしてラスベガスへ向かうサマンサのパートは、彼女を拉致した殺し屋との掛け合いを早口トークで軽快に。と、“殴られる男”として新境地を開きつつあるご陽気系ハンサム、ブラッドと、「エリン・ブロコビッチ」な威勢のいい女王様ジュリアの持ち味が、それぞれのロードムービーにたっぷり活かされているのだ。うっかりしていると、これが2人の共演作だってことを忘れてしまうぐらいだが、結果的には強力なスター映画になっている。
はたして、これは「ガルシアの首」を連想させる展開をはじめ、クライムストーリーからコメディまでてんこ盛りの脚本を操りつつ、彼らのスターパワーを引きだしたバービンスキーの功績なのか。意外と、それもあるかもしれない。でも、自分たちの魅力がいかせる脚本を選んだブラッドとジュリアの目も侮れないぞ。
(杉谷伸子)