嫌われ松子の一生のレビュー・感想・評価
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【”松子は最後の死ぬ瞬間まで目だけはキラキラしていたんだと思います”と中島哲也監督は言った・・。】
語弊があるのは承知の上で、
”見事なまでの、夢見る女性の転落の人生”
を描き切った物語。
各シーンでは観ていて辛い場面があるのだが、観終わった際の感想は、何故か、”ひたすらに男たちを一途に愛し、生き抜いた一人の女性の見事な物語”という感想を抱いた作品。
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松子が出会う男達が一部を除いて、”マトモな男”がいない。
究極の男運の悪さである。
1.中学教師時代に出合った同僚、”白い歯”の佐伯(谷原章介)
2.博多時代に出合った作家志望の青年、八女川(宮藤官九郎):DV男。で、自殺。
3.八女川の友人、岡野(劇団ひとり):不倫関係 松子を捨てる・・。
4.中州ソープ嬢時代 小野寺(武田真治):個人的感想だが、一番の屑。 で、松子に刺殺される。→松子、服役。
5.理容師、島津(荒川良々) 松子入水自殺決行地時に出合う。が、松子警察に追われる。 →所内で理容師資格取得。が、出所後松子が見た光景・・。
5.かつての教え子でヤクザ、龍洋一(伊勢谷友介)
→龍、逮捕。松子、出所をひたすら待つ。が、結局別れる・・・。
そのまま、荒川沿いの古アパートに引っ越し、一人暮らしの引きこもり生活へ・・。
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平成13年 松子と幼い時に会っている川尻笙(瑛太)が、松子の死を父(香川照之)から知らされ、松子の住んでいた古びたアパートを訪れる所から物語は始まる。
ゴミだらけの部屋の中で見つけたキーホルダーには若い着物姿の女性の写真が・・。
その女性の顔は”幼き頃、父と訪れたデパートでの楽しいひと時を過ごし、初めて食べたパンケーキの美味しさに感激し、屋上ステージでのお姫様ショーを楽しみ、松子が嬉しさの余りおどけ顔。(滅多に笑わなかった父が彼女の顔を見て笑い、父を笑わせようと頑張った末に、”変な時に”出てしまう松子の変顔であった。
そこから、笙は松子の哀しくも可笑しき人生を辿る事に・・。
<中島哲也監督の最高傑作(個人的感想)だと思っている作品。脚本の秀逸さとともに、松子を演じた中谷美紀さんの代表作でもある。又、俳優陣の豪華さも忘れ難き作品。>
<2006年6月1日 劇場にて鑑賞 その後、DVDにて数度鑑賞。>
人はあっけなくある日突然死んでしまう
当時観た時はこの映画、ぜんぜん面白くないと思った。
ところが10年歳月を経て改めて観てみると違った。
なんともリアリティがある。
波乱万丈に生きている様でもこの人みたいな人は割りと存在するんじゃないかな、と。
この映画を観て、この人は私!と思った人いると思う。
決して幸せな人生とは言えないし、人生の失敗例。
絶対あんな風になりたくないと思うけど、誰でも一歩間違えば…という危険性が。
松子の最期が何か事件に巻き込まれたのかと思わせて実は…そう来たかと。
川尻松子(1947-2001)の一生
ミュージカル仕立ての一代記。
平成13年7月10日(逝去)
午後三時の
渋谷 スカウトマンと女子高生
幕張 ジムで汗を流す女?
新宿 バーで飲んだくれる男
荒川 土手で倒れている女
荻窪 居酒屋で飲んだくれているカップル
原作読んでないのでなぜこういう構成なのかわからないが、こういう感じで映画は始まる。非常にスピーディな、的確かつ短いショットでたたみこむ。
松子が実家の川尻家を出て30年。WEB資料によると中学校教師であった期間はわずか一年半。小説家の卵との同棲を経て、トルコ嬢になりヒモ殺しで女子刑務所に服役するまで二年弱。刑務所が八年。8歳年下のもと生徒の龍洋一と運命の再会するもヤクザになっていた洋一との暮らしは短く、荒川土手のアパートで12年間一人暮らし。光GENJIのファンであったらしい。この間ほぼ、引きこもり。
キャストが多い。松子の一生に関わる重要人物が
それぞれ濃いキャラ作りをしてきているので、画面はものすごく濃いのだ。
製作 東宝、アミューズ、TBS、幻冬社、博報堂MP
監督 中島哲也
原作 山田宗樹
主演 中谷美紀
奥ノ矢佳奈、柄本明、市川実日子
香川照之、木村緑子、濱田マリ
瑛太
黒沢あすか
BONNIE PINK
木村カエラ
土屋アンナ
蒼井そら
柴咲コウ
片平なぎさ
大久保佳代子
山田花子
あき竹城
木野花
谷原章介
カンニング竹山
宮藤官九郎
劇団ひとり
谷中敦
武田真治
荒川良々
伊勢谷友介
ゴリ
本田博太郎
田中要次
マギー
角野卓造
甲本雅裕
嶋田久作
木下ほうか
これは傑作
独特の色彩感覚と、切なくもポップなストーリー。
描いているのは松子の悲惨な人生なのに、
テンポよくコミカルな演出で、観ていて楽しい。
懸命に生きる松子の姿に胸を打たれる場面も多く、
最後に空への階段をのぼるシーンには涙腺を刺激された。
『下妻物語』とこの作品は間違いなく当たり。
まだの人には是非すすめたい。
最後に、中谷美紀ってキレイなのに色気を感じない不思議。
女性というより「生身」という感じがする演技だからだろうか。
女の子の夢物語
幾つになっても女の子の頭の中の夢物語はだいたいあんな感じで、それを見事に表現している。脳味噌の中の物語はあんな風にテレビのセリフに呼応して引き出されることがある。個人的には年代記のアレンジはフォレスト・ガンプ、ミュージカルシーンの色彩美はダンサー・イン・ザ・ダークを彷彿とさせた。中谷美紀は人形劇の人形のように忠実に役を演じていたと思う(これは褒め言葉だ)。エンターテイメントとして上出来。凝った演出に圧倒されていたので、感情移入はしなかった。
号泣
知り合いに強く勧められて視聴。
松子は不器用すぎて次々訪れる困難の中で上手く立ち回ることが出来ず、空回りを繰り返してしまう。トルコ嬢として成り上がっていくシーン、元生徒のヤクザをかばうシーン、お父さんや妹を思って天国への階段を上るシーンで号泣してしまった。
どんな困難が待ち受けても死ぬことなど考えずゆっくり前を向いて生きたい、と思った。
美しさと切なさと楽しさと悲しさの間
当時の流行りと公開当初2006年の流行りを上手く織り混ぜ、映像の色彩、音楽、歌声がとにかく美しくて見せ方が上手い映画だった。
切なくて、涙が出そうになるシーンがちょくちょくあるが、ミュージカル要素で楽しく打ち消して上手いこと泣かせてくれない。
でも、ラストで今まで溜めていたものが一気に溢れだす。涙が止まらなかった。
自分がそう感じただけかもしれないが、ラストで観ている側の感情を爆発させるような意図で制作しているのであれば凄いと思う。
ボロボロの姿ではなく、輝いていた時の姿で逝けてよかったね。妹にもお父さんにも会えてよかったね。
本当にあの世があるかなんて分からないけど、もしあるとするなら幸せに暮らしてほしい。
数年後また観返したい映画。
悲しすぎる喜劇
大いに楽しんだ。2時間10分ちっとも長く感じなかった。
次々松子に降りかかる偶然の不幸は、もちろんマンガチックでリアリティーなどあるわけがない。別に人生とは、、とか深い意味はまるでない。考えこむことはない。だが、人間の感情の断片的な真実はある。
ミュージカル仕立てで斬新な画面、花いっぱいや、いかにもCGらしいCG映像は楽しいし、テンポも悪くない。
現代の歴史を一応押さえ、懐メロもふんだんに取り入れている。
決してふざけてばかりいるわけではない、ホロリとするシーンもたっぷりある。とくに沢村めぐみとの友情や妹との関係はちょっと泣かせる。
豪華な配役陣、ほぼちょい役レベルでゴージャスな俳優陣が次々出入りする。その中で主人公級の瑛太が初々しい。醜い老松子の特殊メイクもなかなかすごい。
松子の死に関してはミステリー仕立てのサスペンスもあり、最後に明かされる真犯人にはちょっとびっくりした。
同時期の宮沢りえの某映画を見ていてあまりにばからしくて、途中で投げ出してこちらにスイッチ。よかった。拾い物。
昔と違う印象だ
先日何かで観たんですが「外国人に人気の日本のミュージカル」で一位になってたんですよね。
昔公開当日に観たきりでミュージカルのイメージがなかったので改めてVODで見直したんですけど、公開当時とはまた違った印象を受けました。
子供の頃に読んだ本を大人になってから読むとまるで違った話に感じる事ってあると謂うのですけど、今作もなんだか随分違った印象をうけました。
30代に観た映画が40代になっただけで自分はそんなに変わってないのに、違った印象を受けた事に驚きます。
それなりに自分も変わってるって事なんですね。
前は松子に対しての嫌悪感しか感じなかったのに、今見ると何だか愛らしい、誰にでも起こりうるちょっとしたワガママから偶然に人って転がり落ちるんだなって、なんだか同情しちゃいましたね。
そしていま見ても斬新で美しい中島哲也監督の映像美。
天国で妹と再会するラストシーンで思わずぽろりです。
やっぱり中島哲也って凄い監督ですね。
大好きです。
私は松子が好きだよ。
今を懸命に生きる松子が愛おしい。
何事も表裏一体。幸せも不幸も決めるのは自分。
演出もさすが中島監督。
ポップで毒々しい世界観が最高!いつ見てもお洒落!
どうしてこうなったの転落人生ストーリー。ポップに描いているがけっこ...
どうしてこうなったの転落人生ストーリー。ポップに描いているがけっこうハードな内容。友達の沢村めぐみの存在がすごい良かった。
アインシュタインのことば「人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が与えたものではかられるのです。」にも通じる。
刑務所の歌カッコイイ、サントラ盤も良い。
嫌われ松子の一生
シリアスと思ったらコメディであり、しかもミュージカルである。
ヒロイン中谷美紀の汚れ役は日本アカデミー賞主演女優賞に納得だが、すっとぼけた美しさは好きになりそう。
DVの作家が出て行ってた時に残した「生まれて、すみません」のシーンあたりはシリアスであり、玉川上水が笑わせる。以前、雑誌で見た太宰治の入水場面の挿絵が脳裏から離れなかった。
人生のイタズラがすべて悪い方向にしかいかなかった人の物語。スケール...
人生のイタズラがすべて悪い方向にしかいかなかった人の物語。スケールが大きくなくてもスペクタルは作れる。やるせないのに清々しい、不思議な気分になれる映画。嫌われ、というタイトルか本当に正しいかあやしいのが少し残念
気軽に「これがマイベスト映画です!」と言えないのが、さらにこの映画らしいというか。。。
内容が重すぎて、気軽に「これがマイベスト映画です!」と言えないのが、さらにこの映画らしいというか。。。
これを初めて見たときは、嗚咽まじりに号泣しました。
松子の人柄への激しい共感と、
普通なら憐れまれて終わるだけの不憫で不幸な女なのに、
美しい映像と軽妙な音楽、コミカルな展開で最高にデコレーションしてあって、
まるで松子へのはなむけのような、応援歌のような…。
こんな映画を作ってくれる人たちがいるんだなあと感極まったのでした。
初見から10年経ちましたが、何度も思い返す作品です。
それにしても…。中谷美紀さんが途中で降板しなくて本当によかった!
ツラすぎる
僕は人に与えた愛は自分に返って来ると思っています。だけど、松子は与えた愛を暴力や最終的には裏切りなど酷い形で返されます。
それでも松子は1人よりもマシだと自分に言い聞かせて、その人への愛を貫きます。
それなのに最後は周りには誰もいないまま死んでしまい、可哀想なんて安い言葉で…惨めというか、観ているのが辛かったです。
こういう人は世の中にいるはずです。
共感はできないかもしれないけど、認識し理解をする所から人は人を救うことができるのだと思いました。
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