「この作品が好きならこのレビューはパスしてください」嫌われ松子の一生 こまめぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
この作品が好きならこのレビューはパスしてください
星は5つつけましたが、実はあんまり松子好きになれないんだなあ。
映画のせいとかいうことでなく、原作の時点でそうなので映画の評価とはちとズレますね。
一言で言えば、松子はだめんずウォーカーじゃないですか。
その手の話はまったくの笑いネタとして聞く分には楽しいけれど、当事者の視線に立つとなると全くその素養が無いもので、共感しにくいのです。
松子をすごく持ち上げているけれど神様までいうのはどうかなってところもあり。
松子は確かにそのときそのとき一生懸命だとは思う。
彼女は究極の幸福を求めて100%愛な瞬間を短くとも味わって、またそれを求めてのさすらいであるわけだ。
その分不幸も激しい。
でも松子自身も言ってるように幸せなんでしょう。
はたから見てどうかはまた次元の違う話。
しかしねえ、松子の周りの人はどうでしょう?
例えば弟。父。
そりゃあ松子に比べれば地味で面白みのない人生のようではある。
が、彼らだってMAX80%くらいであっても幸せ感じることもあるだろうし辛いこともそれなりにあってみんな、松子だけでなく、頑張って生きてるじゃん!?
松子と他は、針の触れ幅が違うだけではないか。
どちらも正負はプラマイ0じゃないかなあ。
それを、神様って…。
あくまで映画の人物がそう感じた、で終わればいいがなあ。
松子が自分の周りにいたら?
あんまり友達にもなりたくねえっす。
彼のため、愛のため、そう自分では言ってるけれども
それが相手にどう影響するかとか
重荷じゃないかとか、相手の気持ちあんま考えてない。
松子は実は「愛のためにがんばってる私」が一番好きなナルシストじゃないかなあ。
ひねくれて受け取りすぎかしら。
映画化する前に原作は読んでました。
原作段階で「なんやかや言っても不幸好きな女の話」て気がして
あんまり好きではなかった。
中島監督は「あんまりにも不幸すぎて逆に笑ってしまった」と
原作について言っている。
その感覚が私は凄く好きで、
映画もいったいどんなふうになるのかとワクワクした。
映画は想像以上だった。
どよんとしたドドメ色みたいな松子の話が
こんなにもセンチメンタルで
ビビッドで笑い泣きにまみれた
ワールドになるなんて!
ブラボウ!
こんな映画になって、松子は幸せもんである。
結局松子を応援しようって気持ちが生まれちゃうからな。
くやしいことに、やはり☆5つ!