劇場公開日 2005年8月27日

メゾン・ド・ヒミコ : 映画評論・批評

2005年8月23日更新

2005年8月27日よりシネマライズほかにてロードショー

可笑しくも哀しくもある人生模様が味わい深い

冒頭に映るのは昭和30年代のモノクロ写真。伝説のゲイバー<卑弥呼>と店を継いだ2代目・卑弥呼の輝かしき日々。時は流れ、舞台は湘南の洋館へ。そこはゲイのための老人ホーム<メゾン・ド・ヒミコ>。建てたのは、死期を悟った卑弥呼だった。

映画「メゾン・ド・ヒミコ」は、こんな疑似ドキュメンタリー風に始まり、観客を物語世界へと誘う。そこから、少女のころ卑弥呼に捨てられた娘、彼女をホームに迎えにくる美青年、そこにに暮らすゲイやニューハーフ、そして、静かに君臨する卑弥呼。それぞれの関係がクモの糸のように絡まって、また新たな物語が編まれていく。舞踏家・田中泯の立ち姿、すっぴんの柴咲コウ、オダジョーの小姓ぶり、みんないいが、何より味わい深いのは、可笑しくも哀しくもあるゲイの面々の人生模様だ。

老後問題というシリアスなテーマを温もりを込めて描きながら、監督・犬童+脚本・渡辺のコンビは前作「ジョゼと虎と魚たち」同様、独特のエロスとタナトスをたちのぼらせる。タナトスはあってもエロスをバイオレンスに置き換えがちな昨今の日本映画のなかで、この2人が放つ湿潤感は貴重だ。

(田畑裕美)

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