ラマになった王様 : 映画評論・批評
2001年7月2日更新
2001年7月14日より渋谷東急3ほかにてロードショー
痛快な脇役のキャラがはじける出色のコメディ
ここ最近のディズニー・アニメのなかでも、これは出色のおもしろさ。よくある教訓おとぎ話ではあるが、なんといってもキャラが気持ちよくはじけて、コメディとしてのクオリティがひっじょーに高いのだ。
主人公は若き王様、クスコ。こいつの性格がもう、画期的にサイアク。彼がラマの姿に変えられてしまい、心優しい村人のパチャに助けられることで成長。唯一持っていなかった「友情」の素晴らしさに気づくわけなのだが、この2人のかけあいがいい。しかし、この楽しささえかすませるほどナイスな脇キャラが、王様を亡き者にしようと企む魔女イズマ(ドロンジョの婆さん版?)&手下のクロンクという悪役コンビだ。特にクロンク! 悪役とはいえ大きなカラダにヨワい頭脳を持った天然ボケで、愛すべきかわいい男ぶりが次第に露呈。心の中で天使と悪魔が闘ったり、なぜか料理に熱中したり、小学校時代に生物クラブにいてリスと話が出来たり。わかりやすいギャグでストレートに笑いを呼んで、痛快なまでに映画をさらいまくりなのである。
吹替版で残念なのは、クスコ役の藤原竜也がキャラのテンションについていけないところ。ほかの声優がうまいだけに、ちと痛いかな。
(若林ゆり)