リトル・ダンサーのレビュー・感想・評価
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何処までも名カットが連発する素晴らしい映画
目の肥えた人にはベタなシーンばかりなのかな。私には名シーンが連発で、こんな素晴らしい映画だとは想ってもみませんでした。途中の母親からの手紙と、ミルクのシーンでお腹いっぱい胸いっぱいになったつもりが、熱い抱擁の後は背を向けたままっていう父親の心情には泣かされました。そして喧嘩ばかりしていたアニキと共に、炭鉱へと沈んでいく・・・。更にラストシーン、人に上着を取らせる一般ダンサーとの格の違いを見せつけながら、行く末をご想像にお任せすること無く、きっちり見る人の期待に応えた主人公の成長ぶりに拍手喝采です。加えて、ゲイのお友達の成長ぶりも素晴らしい。むしろ、土地柄からして主人公よりも過酷な道のりだったろうに。
公開から24年目にして、改めてリマスター版でビリーの跳躍を浴びる喜び
名作は色あせないというが、この映画は今なお驚くほどフレッシュだ。主人公ビリーが近所を徘徊する祖母の手を優しく引くとき、ふとバレエガールズのステップに目を奪われるとき、はたまた父の前で渾身のダンスを披露するとき、全ての瞬間に言い知れぬ瑞々しい感情が迸り、彼が躍動するたびに無性の喜びが胸を勢いよく貫いていく。また、本作は当時の炭鉱町が見舞われた社会状況や、現代に通ずるテーマ性、いかに自分の情熱を周囲に伝えるかといった通過儀礼、さらにはビリーが放った電気に触発されたかのように父もまた一途な行動に打って出るところなど、縦に横にと織り込まれた魂のドラマに改めて感嘆せずにいられない。誕生から24年。面白いもので歳を重ねた分だけ、私はビリーだけでなく他の大人キャラたちへの理解や共感も深まったように思えた。1度目でも、2度目でもなく、かくなる年月を経た今だからこそ味わえる感動がきっと数多く見つかるはずだ。
踊りだすと何もかも忘れて
最初は体が硬いけど、踊りだすと何もかも忘れて、すべてが消えます。何もかも。自分が変わって、体の中に炎が……。宙を飛んでる気分になります。鳥のように。電気のように。
ダンスを踊っている時の気持ちを聞かれたビリーの言葉が、本当に美しい。ロンドンで鑑賞したミュージカル版が素晴らしく、映画版は舞台を超えられないだろうという偏見があった。今となっては、今日まで本作を見ずに生きてきたことを後悔している。
舞台は、イギリスの炭鉱町。母を亡くし、炭鉱で働く父と兄はストライキの真っ最中。全く好きになれないボクシングのレッスンに通うビリーは、近くで女の子たちが練習していたバレエに惹かれ、たちまち夢中になっていく。
暗く沈んだ家庭、父や兄との関係、ストライキにより緊張状態の街、バレエを女の子のものだと決めつける世間の目……まだ11歳のビリーは悩み、迷い、立ち止まる。しかし、踊り出すと全てが消え、自由になる。様々な苦難を超え、人々の思いをのせ、躍動するビリーの姿が胸に焼きついて離れない。心が動かされるダンスというのは、こういうものなのだろう。
ベッドの上で跳ねたり、チュチュを着た女の子の中で踊ったり。母が遺した手紙を何度も読んだのか、ウィルキンソン先生の声に合わせて暗唱したり、父と草の上を転がりながら抱き合ったり。心にそっとしまっておきたくなるような、愛おしいシーンが満載だ。そして、好きなダンスシーンが多過ぎて、ひとつに絞れない。ビリーの夢見る気持ちに照らし出された人々の表情が、心に炎を灯してくれる。厳しく、ままならない現実に押しつぶされそうになっても、ビリーのことを思い出せば、たちまちその炎は燃え上がる。
宙を翔ぶ鳥のように、舞い、踊る。
「グラディエーター」でも書いたとおり、
配信で映画を観ない私にとっては20年振りでも未見の作品のデジタルリマスター版の公開はありがたいのである。
10月30日(水)
新宿ピカデリーで23年間見逃し初見の「リトルダンサー」を。
サッチャー政権下の1984年、イギリスは不況である。
賃上げ要求でストライキ中の炭鉱労働者の父親と兄。母は亡くなっている。認知症が始まっている祖母の面倒を11歳のビリーがみている。ビリーは母の残したピアノを時々弾いている。
父から50ペンス貰って父が使っていたグローブでボクシングの練習に通っているが、ビリーはあまり気乗りしていない。ボクシングの練習場の隣で少女たちがバレエのレッスンをしている。
少女たちの動きに興味を持つビリー。
それに気付いたバレエの女教師ウィルキンソンは自分のトゥシューズを貸してビリーにバレエを教えてくれる。
(あれ、これは「ぼくのお日さま」と同じパターンか?リスペクト?)
父からの50ペンスはボクシングからバレエのコーチ料になる。
ウィルキンソンは、練習を続けて行く中でビリーの才能に気付く。
ビリーは、亡くなる前に母が18歳になったら読めと渡された手紙をウィルキンソンに見せる。11歳だけどもう空で言える程内容を覚えている。
(ビリーは母親の事が大好きだった事が判る。母も踊りが好きだった。祖母もバレエダンサーになりたかった。僕は…。)
ストは長期化し、クリスマスの頃、父は母が残したピアノを壊して薪にしてしまう。
ビリーはウィルキンソンの指導のもと上達して行き、踊り出すとビリーのエネルギーの発露となる。
ボクシングでなくバレエの練習をしている事がバレてしまう。「男がバレエ!?」父も兄も理解を示さないが、父の前で一心不乱に踊るビリーに父は何も言わない。
ウィルキンソンのビリーをロイヤルバレエ学校にと言う思いと、ビリーの踊りを観た父はスト破りで働き始める。金を稼いでビリーをロイヤルバレエ学校に行かせるために。
スト破りをした父と長男は衝突するが、ストライキは解除され、また一緒に働くようになる。
ビリーは父に連れられてロイヤルバレエ学校のオーディションを受ける。
(審査員の様子が「フラッシュダンス」のオーディションを思いださせる)
最初は固くなって上手く踊れないが、エンジンがかかり始めると審査員の目を引く動きを見せる。しかし、思うように踊れなかったビリーは控室に戻ると別の少年を殴ってしまう。暴力沙汰を起こして万事休す。
最後の面接、踊っている時の気分を聞かれたビリーは「無になります。宙を翔ぶんです。電気のように。」
結果通知が郵送されて来る。隣室で一人開封するビリー。合格だった。家族が喜ぶ。
ビリーはロイヤルバレエ学校に旅立つ。
ビリーの舞台を観に行く父と兄。時間の経過が表示されない(私の見落とし?)が、歩みが遅くなった父を長男が、急かす。
そして、舞台では父と兄が観に来た事を告げられた25歳になったビリーが宙を翔び、舞う所で映画は終わる。
(クレジットではアダム・クーパー…ビリー(25)と表示される。アダム・クーパーは世界的なバレエダンサーだそうだ。)
ビリーの背中を押す、いい味を出していたバレエのウィルキンソン先生を演じたジュリー・ウォルターズがアカデミー賞助演女優賞に、監督も監督賞にノミネートされた。
11歳の少年の頑張りは70ジジイの心にも刺さりましたぞ。
一度書いたレビューを保存し忘れて書き直した。いよいよボケジジイの領域か。レビューは想いが熱いうちに書かないとダメだな。
ラスト一瞬のために
この映画を見る為に何度も劇場に足を運ぶのはアダム・クーパーの登場する一瞬を見るため。その為に何度も見てるのに、何度見ても涙が止まらない。
現在の映画は社会問題を無理矢理詰め込んだ感がわかりやすくてそこまでしなくても焦点は1つでいいのに・・・と良く思う。
けどこの映画は何個も詰め込まれてるのにぜんぜん押し付けがましくなく、全てに共感出来る。
音楽もキャストも背景も全てが調和している映画だと思う。
主人公のダンスの表現力に脱帽
ビリー役のジェイミー・ベルのダンスがとにかく素晴らしかった。さすが超厳しいオーディションを合格しただけのことはある。
自分は今までダンスを見てもあまり心が動いたことがないような人間ですがそんな自分でも、本作品の各シーンのダンスからビリーの感情を明確に映し出す「表現力」がとても力強く感じ取ることができた。
・オーディションを受けられなかった日に兄と先生に挟まれて口論をされて自分ではどうすることもできない無力感や苛立ちからくるモヤモヤした気持ち。
・父にバレエをすることを認めてもらいたいがために本気の気持ちをぶつける気迫。
・そしてバレエ学校のオーディションのダンス披露時に、(後のシーンでビリーが語っていた踊っている時の気持ちのように)最初は動きが硬いが踊っているうちに徐々に緊張などの雑念が消えていくシーンなど、ダンスで全てを表現していたのがとても素晴らしかった。
本作はダンス以外のシーンも印象に残る場面が多く、
特に父がビリーのために考えを改めてからの家族の変化や、(他の方のコメントを見て気づいたのですが)ビリー本人や他の人ができないと言ってもウィルキンソン先生はビリーに対して一度も「できない」とは言わなかったのが良かった。
舞台版?はビリー役のキャストが自分の好きなトム・ホランドが演じているらしいので機会があれば是非鑑賞したいと思った。
P.S. ジェイミー・ベルのダンスに感化されて勢いで人生で初めて映画レビューを書き上げてしまいました。
拙い文章ですがこのコメントを見て共感やこの作品を見てみたいと思っていただければ幸いです。
泣ける
たんたんとしたタッチで少年が等身大で描かれている。監督の映画に対する真摯な気持ちが分かる。サッチャー政権のイギリスが背景にきちんと描かれているのも特筆すべき点だと思う。
彼がオーディションに受かるかハラハラした。
流石に大勢から選ばれた人だけはあった。
この人のダンスを見てるとテレビ見れなくなる。
本当の踊りを見る楽しさを教えてくれた。
見せなくても好きだよ
思春期ここではない何処かへ映画、母恋いし映画、労働者映画、ジェンダリティ・セクシャリティ映画なのだが、ヤングケアラー映画でもあるのが、予想外と言えば予想外、でもそうなるよなあという。主役のビリーの表情の代わり具合がすごい。/途中までのお父さんのトキシックぶりが個人的トラウマ映画『シャイン』を思い出させ、「やめてくれよ〜」と思いながら見たけど、大丈夫だった。
母の愛と家族愛
やはり、母親の存在は大きいのだ。
父親は、心ここに在らずの日々を送り、
ただただ長男や職場の同僚とストに行く。
長男トニーはある意味純粋か?
真面目にストに励む。
次男ビリー、母が恋しい11才。
おばあちゃんのお世話を任せられながら、
時折正気に戻るおばあちゃんから、
ダンサーだったことを聞かされ、
大好きな母さんも踊ることが
好きだったことを聞かされつつ、
父親に苦手なボクシングに通わされる。
その隣でバレエ🩰の練習があるという
でき過ぎた展開❣️
そもそも、人の顔を思いっきり殴る行為、
馴染めない人はボクシング🥊できないと思います
そんなことより、
ダンスの方がバレエの方が楽しそう、と
そっちへ行っちゃう。
女の子ばかりの集団にも怯まない。
身体が自然に動くのか。
鍵を渡しに行っただけなのに、
指導する先生も先生で、
あなた邪魔よ、とか、男の子でしょ、出て行って、
とか、言わない。
言えば反対に、関係ない❗️と。
足のサイズは?と
トゥシューズを履かせてくれる。
あるがまま、なすがままに。
ただ、50ペンス持って来てね、と声かけ。
翌日から父に貰うボクシング代の50ペンスを
バレエの先生に払い
集団に混じってバレエ練習。
このウィルソン先生、見た目と違い、
なかなか熱心で見る目のある方。
高圧的な父と兄に叱られたり殴られたりする
毎日を送るビリー、寂しい。
おばあちゃんは目を離すと直ぐいなくなり。
寂しくて母のお墓参りに行くと、
なぜか汚されている。
誰のしわざなんだろう?
ビリーの親友マイケルは
女の子みたいに色白で可愛いお顔立ち。
ワンピ着て出て来た時、
女の子だと思った。
バレエしていることが父にバレてしまい、
先生と相談すると、
ロイヤルバレエ団のオーディションを受けない?
というまさかの言葉。
えっ、信じられない⁉️
先生との個人レッスンが始まる。
みるみるうちに上達して行くビリー。
だけど、ストへの警察の弾圧が強まり、
組合のリーダーの兄が逮捕され、
そのゴタゴタで
オーディションを逃してしまう。
先生が会いに来て父と対面。
父と兄にこっぴどくバレエを否定され、
先生にも失礼な態度。
先生とのレッスンはしなくなったが、
マイケルとのバレエごっこを父に見られ、
父の前で思いっきり踊り出す。
ビリーに才能があるとわかった父親は、
ウィルソン先生に掛け合い、
オーディションのことを聞き、
父親の自分が責任を持つと断言し、
信念を曲げてまでビリーの為に
金を稼ぐ道を選ぶ。
ビリーの為なら他にも方法があると
一緒に慟哭する兄トニー、
おばあちゃんも覚醒したのか。
しっかりして来た。
おばあちゃんは最初から応援、理解者。
父と共にオーディションへ。
審査員の前で踊り、最後の質問で、
踊るきっかけとなったのは?と聞かれ、
さあっ❓とだけ。
私は、母親だなと思ったけど。
踊っている時の気分は?と聞かれ、
電気みたい、何もわからなくなってしまう、と。
なぜか驚く審査員。
ビリーの合否を心配する父、兄、おばあちゃん。
旅立つ別れが辛そう。
父とトニーは、仕事再開でまた地下に潜って行く。
父と兄が普段と違うコート姿で赴いた先は?
入り口で、ビリーに家族が来たと伝言してと頼み、
座ると隣には成長したマイケルが。
時の経つのをわからせてくれる。
そして、舞台に現れたのは‥‥。
🩰やはり、ビリー少年役、ジェイミー•ベル、
幼少期よりバレエに親しむ、納得。
🩰成長したビリー役、アダム•クーパー、
世界に名だたるバレエダンサー、納得。
🥊儲けが労働者の給料よりも少ないゆえの
ストライキ。
出口の見えない日々を送る父と兄にとって、
ビリーが希望の星⭐️になって行ったのでしょう。
🇬🇧移動図書館でバレエの本をくすねる際のあの
お尻丸出し男性。どこにもいろんな人がいますね。
🇬🇧デビーちゃんのあの発言⁉️先生泣くで😱
成長したデビーちゃんも観たかった。👩🦰
マイケル、ゴッツなって、子供の頃可愛かったのに😢
しかし、父親、激しいな、
何もピアノを木っ端微塵にしなくても。
2024/10/23•24映画館で鑑賞❣️
クラッシュ
は、けっこう聞いていたのに、歌詞の意味や背景を考えたことがなかった。炭鉱不況のことは知識として知っていたはずなのに。「ロンドン・コーリング」が強烈だった。
予想していた話と全く違った骨太な話だった。
とてもよかった。
おれが持つんだ!!
映画.comで旧作をレビューすることは、今となってはかなり珍しくなったけど、劇場鑑賞したので載せておくことに。
見たい見たいと思いながらなかなか見れずにいた今日、デジタルリマスターとしてまさかの再上映!ということでようやく見ることが出来た。ストーリー自体はありがちな展開で、中盤あたりまでは良くも悪くも普通、のめり込むほどハマることは出来なかったんだけど、後半に差し掛かっていくあたりから最後まで、ずーーっと目頭が熱くなり、感動と興奮で胸がいっっぱいになってしまった。名作に良きお父さんあり。家に帰ってからも、"あの"名シーンは何回も繰り返し見ちゃうくらい、お父さんの行動に心動かされちゃうんだよねぇ...。
ビリーがバレエと出会うあの様は、先月ベスの映画「ぼくのお日さま」と酷似。この映画にインスパイアされたんだろうなぁ、と冒頭で感じていたら、それ以降も境遇や展開が非常に似ており、このタイミングで本作が公開されたのはまさに奇跡と言っていい。ついでに来月には「オペラ座・白鳥の湖」が上映されるって言うんだから、今年は完全なるリトル・ダンサー・イヤー。いやぁ、すごい年だ。
個人的には「ぼくのお日さま」の衝撃が強すぎたがあまりに、この映画にはあの作品以上の感動を得ることは出来なかったんだけど、口に出さない、語らない美しさという面では本作は心ズタズタになって、全身に響いて止まなかった。
重要なシーンを身体で表現してみせる。説明するよりまず行動。あのシーンのビリーには、労働者問題のストライキを全力で行う父と兄に似たものを感じる。「わたしはプロになれたの」と豪語するおばあちゃんと言い、バラバラのようだけどちゃんと家族なんだなって感じさせるところに心が温まる。
人は時に、合理的ではなく感情的に物事を判断することがある。ビビッときた!ってのがそれ。行動で示してくれたのなら、自分もまた行動で示そう。その連鎖がこの映画に大きな感動を呼んでいる。おれが持つんだ!とバッグを取り合うところとか、あぁ家族っていいなぁってしみじみと感じるよね。
恋愛シーンを入れたり、バレエが好きなことを家族以外の人達に批判されたり一切しないのが良い。自分のことが好きだったゲイの友達に対しても、ビリーは「自分はバレエが好きだけど、ゲイでは無い」と言い放ち、しかもその友達に内緒にしてくれる?と頼まれたら「もちろん」と答える。このテーマを扱っているのなら陥りがちな方向に、何ひとつとして向かっていない。家族に対しても友達に対しても、コーチに対してもバレエに対しても、どんなことでも真っ直ぐ正面から向き合うビリーの姿を見ていると、こんな風に生きたいと憧れの念を抱いてくる。
とても優しい映画。だけど、ちゃんとみんな人間的で自分らしく、自分に嘘をつかずに生きている。終わり方はベタではあるけれど、エンドロール中はシーンやセリフを思い出して、ガーッと感動が波のように押し寄せてくる。あぁ、よかったなぁ...。パンフレットもめちゃくちゃ可愛くて、総じて大好きな映画でした。映画館で見れて至極幸せでございます。
宙を飛ぶ
イギリスの田舎の炭鉱夫家族の物語
なんか「ぼくのお日さま」のホッケーよりもスケートのくだりが
今回のボクシングよりも…に似てるなあ、と思いましたね
やっぱりいつの時代もどこの国にも
男のスポーツ女のスポーツってあるよね
でもそれを認めるか認めないか、
子供を信じるか信じないかって親次第
親の気持ちで観ると複雑だけど
パパやるじゃんって感じでよかった
ビリーの演技もとてもよかったです
オススメです
父親目線
見逃していた気になる作品を劇場リマスター版化を機に漸く鑑賞。今更ながら感動です。。。
途中から想像していたのと違う展開に。父子を軸とした家族ストーリーだったんですね。もう巣立っているものの私も二人の息子の親と言うこともありずっと父親目線で観てました。共感したり、反省したり・・・そして主人公ビリーのみずみずしい感性とエネルギーに感銘。
たくさんの見せ場があるんだけど、個人的にはジェンダーを超えた親友との友情の描写がお気に入り。同じイギリス映画で私の大大大好きな「小さな恋のメロディー」のダニエルとトムとのそれを思い出しました。
公開されたのは約四半世紀前。色褪せていないですね。名作です。
スクリーンで観る価値がある
素晴らしすぎて鳥肌モノでした。
デジタルリマスター版で拝見、スクリーンで観る価値がありました。
初公開の2000年ころは仕事が忙しくて劇場に行く暇や気持ちの余裕がなく、テレビ画面でしか観たことなく、スクリーンでは初でしたが、観てよかった。
バレエダンスを踊るビリーの生き生きした表情と、全身からあふれる喜びがすごい。
ビリーを演じた子役の体幹のよさ、表情、演技すげーなー、と改めてしみじみ。
そういえば、このビリー役のジェイミー・ベル、最近は何やってんだろ?と調べたら、エルトン・ジョン自伝映画『ロケットマン』で作詞家バーニー・トーピン役だった、あのおっさんか!(時の流れは無情)と驚いたり。
ストの起きた社会背景や問題点も、この頃の英米の新自由主義を日本が真似て、40年近くかけて経済的にも文化的にも没落していった今ならわかるし。
このタイミングで鑑賞できてよかったです。
11歳の少年ビリーが、自分を取り巻く環境の中で心が揺れながら成長していくとこが面白かった。
今から40年前、1984年、サッチャー政権下、炭鉱ストで揺れるイギリス北東部ダラム州。
パパと兄トニーは炭鉱スト中。この2人はビリーに、男は強くなくてはいけないとスパルタ式できびしい。ママは亡くなっていて思い出の中。
1 1才のビリーはパパに言われてボクシングをやらされている。だけど、殴ったり殴られたりして痛いからホントはやりたくない。そしてパパには内緒でバレエをやっている。
ビリーはロンドンのロイヤル·バレエ学校で学びたいけど、ビリー家の財政は厳しいようで、まあビンボーじゃないけど、そこまで余裕はないって感じ。
パパは、男がやるのはボクシングかサッカーで、バレエは女の子がやるものだと言ってたが、ビリーの夢を叶えるため、妻の形見を質屋で売り、スト破りまでして資金繰りする。ナイス パパ。
パパがスト破りしたのを知って驚いた兄のトニーは、炭鉱までパパを追いかける。パパと兄トニーは、最近、ストのやり方に対する意見の違いで少しギクシャクしていた。スト破りが弟ビリーの夢のためだと知って、2人が歩み寄れた場面は良かった。
車の中で、パパがロンドンに行ったことがなくて、ダラム州しか知らないみたいなことを言う。ビリーがあきれて、「ロンドンぐらい行っとかなきゃダメだよ」みたいな事を言ってたとこも面白かった。
さて、バレエ学校の面接。
ビリーのダンスは、素人から見ると上手くない。もしかしてプロから見ると、体の使い方が柔らかくてイイとか、センター軸がぶれないとか、なんか素質があるとか、伸びしろが有りあそうだとか見えるんかのう。
控え室で他の子を殴っちゃった時点で、レッドカード1発退場じゃなかろうか? とは思うが、面接はしてくれた。でも、殴ったことは選考過程での考慮に入れると言われちゃう。ムムウ。
緊張の面もちで迎えた面接も、面接官に特別な印象を残したり、殴ったことをリカバリー(リカバー?)するような言動があったとは思えんもんじゃった。
ビリーのダンスをしてるときの気持ちも、全てを忘れて夢中になれるみたい事を言っただけだ。イヤ、ビリーだけじゃなく、ここに来る子はみんなそうじゃろう。中にはバレエは素晴らしいけど日頃の厳しい訓練に嫌けがさして、いやいやバレエをやってる子がいるやもしれんが。
最後にパパが面接官に言ったことも、特に面接官の心を打つような事を言ったとは思えん。何を言ったか忘れたが、僕は、「ここに来る子のパパはみんな同じ気持ちだろう」と思った程度の内容だった。
とここまで、絶対不合格だろうと言うような悲観的な事を散々書いてきたが、映画的、物語的には(というか僕の希望として)は、ここで受かってもらわにゃ気が済まん (^^)
だから、いよいよ届いたロイヤル学校からの結果発表通知の場面。6対4イヤ9対1位の割合で、ほぼ絶対受かってるだろうと期待して見ていた。だけど、物語としては1割ぐらい落ちる可能性もあるだろうと思ってた。
ほいで、落ちてしまった場合、そのあとは一体どんな展開になるうんだろうなんて、当事者じゃない御気楽な興味もわく。
結果を見て泣くビリー。落ちたと思ってガッカリする周り一同(家族、友人、恋人)なんてのは万国共通。こんなん落ちても受かっても泣くいつもの展開で百も承知。
落ちてるかもしれないという一抹の不安を抱えながらドキドキして見ていると、ビリーの「受かった」と言うセリフ、
思わずヨシと拳を握りしめてガッツポーズ ♪ヽ(´▽`)/
ここで終わったと思ったら、成長して主役を演じるビリー。その後を知りたい人のためのサービス映像。
まあ蛇足とは言わないが、エンドロール後のオマケ映像(エンドロール前だけど)
というわけでホッコリ気分で家路につく。
「いいんだ、誰だって怖いんだから」
炭鉱夫達の置かれた環境、ビリーの心境の変化、母を含めた家族の絆。どれも丁寧に映画らしく表現されている。
父が母のピアノを壊して薪にするところから始まるクリスマスのシーンは印象深い。特に暖炉の前での一人ひとりの描写、父の前で思い切り踊るビリーは目が離せない。
やがて成長したビリーはロイヤルバレーでプリンシパルに。これまでと見間違える様な筋骨隆々とした大きな背中と堂々たる態度。努力を積み重ねて世界トップクラスのダンサーとなった事が伝わってくる。
そして最高の見せ場を前に迎える幕切れ。もっと先を見たいという渇望が湧き上がり、思った以上に映画の世界にのめり込んでいた自分に気がつかされた。
跳躍
公開当時大ヒットしてたけど見逃していた作品。勝手に実話だと思い込んでたけど違ったみたい。
なんといってもジェイミーベルのダンスの躍動感!もどかしい気持ち、人生への怒り、父への挑戦、ダンスでこんなにも表現できるんだ。ラストのアダムクーパーの背中と跳躍のカットも感動的。
リーズの廃れゆく炭鉱とビリーの輝かしい未来の対比。跳躍するビリーと炭鉱へと降りていく兄。先生のうらぶれた中年女性っぷりもいい。人生に差し込む若い希望、応援するしかない。ストやぶりしてでも息子の未来に手を差し伸べようとする父に泣ける。
ロンドンのロイヤルバレエのシーンはおとぎの国みたいで迷い込んだような父子の戸惑いと憧れに感情移入した。
マイケルの存在とか、兄が警官から逃げながらお茶を飲むところとか、おしゃまな少女とのやりとりとか、細かい目配りも効いていて映画の楽しさがあるなぁと思った。
やはり名作、心を動かす作品とはこの作品のことを言う。
過去観た作品であったが、映画館で鑑賞するのは初めてだった。
言葉ではなく行動、ダンスで自身の未来を切り開くシーンには心を動かされるものがあり、気がつくと自然と涙が溢れていた。普段、作品を見て涙を流すことがあまりない私だが、気がつくと涙が溢れていた。そんな体験は本当に久しぶりで、心がはっきりと動かされた証なんだと思う。
思いの強さ。それを支える人々の思い。そんなメッセージを演技を含めた映像の力で表現しきった素晴らしい作品。
鑑賞動機:評判9割、たまたま1割
もうそんなに経つのか。劇場で観る機会に恵まれたことは、喜びたい。
ジェイミー・ベルありきの部分は大きいのだけれど、王道なストーリーと躍動感のある撮り方で、今でも輝いている映画だった。父ちゃん…。
なんとも瑞々しい、パッションに溢れた作品
いろんな要素を含んでいるにも関わらず、ブレのない脚本。
二分化された世界を、見事に描ききり、その溝が音を立てて埋まっていくさま。
ビリーが放つどうしようもないパッション。怒り、悲しみ、やるせなさ、無力感。それらがないまぜになった躍動が、なんだか自分の代わりに放たれているような、なんとも言えない解放感。
素晴らしい作品です。
心の底から「I miss you」が切ない。
見終わったそばから、またもう一度見たくなる、そんな作品でした。
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